あれは二月の終わりぐらいか

酒場ナビメンバー　カリスマジュンヤが

 

 

「イカはん　カネスの女将はんお亡くなりになりはりましてんなぁ」

 

 

と　福知山訛りで言ってきた

 

僕は咄嗟に

 

「いやいやいやいや　嘘つくなやっ！！」

 

と　声を荒げてしまった

 

 

なぜなら　その３週間前ぐらいに

僕はカネスに訪れ

９６歳の静子大女将に

お会いさせて頂いてたからだ

 

 

ツイッターを見てみると　

たしかにそのようなつぶやきがある

 

 

信じられなかった・・・

ついこの間お会いしたばっかりなのに・・・

 

 

いろんな感情が込み上げる

悲しさもある

お会いできた嬉しさもある

 

 

そして

 

思い出に写真撮らせて頂いとけばよかったな

 

と　強く思った

 

 

 

 

 

 

 

 

木場にやってきた

 

休業していた

河本

が　仮営業を初めたと聞いたからだ（カリスマジュンヤに）

 

 

僕の中での行ったことのない名店

否応にも期待感が膨らむ

 

 

 

 

 

１５時５０分に店頭に到着

 

 

 

 

 

 

えっ？！

これ店なん？？

 

 

暖簾も出てないし

知らなかったら

ただの空家

だと思う店構えだ

 

 

 

 

 

 

 

張り紙の情報で河本と確認

どうやら名物の煮込みはやってないらしい

 

 

恐る恐る中を覗いてみる・・・

 

 

１６時からと聞いていたが店内には

先輩方がちらほらと

 

 

勇気を出して扉を引いた・・・

 

 

 

 

 

 

 

圧倒された・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

入口から左を見ると

昭和にタイムスリップしたかのような空間・・・

 

初めて来たのに懐かしい・・・

 

 

 

 

そして右を見ると台所があるのだが

 

 

 

 

 

いや　これホンマに店かっ！！？？

 

 

 

ただの

 

おばあちゃん家

 

やないかいっ！！

 

 

 

 

僕は冷静なるために手のひらに

 

酒

 

と書いて飲み込んだ

 

 

 

 

この空間で飲むのか・・・

望むところや・・・

 

 

 

 

変形コの字カウンターだけの客席

 

先客は

 

 

 

 

この店に通いだして５０年は超えてそうな先輩が３人

 

いや先輩というより

お師匠サマ

だ

 

 

僕は

イタさ満開

で　あえて師匠達の隣に陣取った

 

 

 

 

 

 

 

カウンターの中にいるお姉サマが仰る

 

「ホッピーでいいですか？」

 

「あっ　はい　お願いします」

 

と僕は答え　同時に

 

あー　居はらへんねやー

 

と思った

 

 

 

どういう事かと言うと

 

河本が休業していた理由が

８０歳を超えてらっしゃる

 

ますみさん

 

というママさんが体調を崩されたからで

営業再開ということは

ますみさんが復帰なさってると思っていたからだ

 

 

 

会いたかったが仕方ない

この空間で飲めるだけで十分楽しいのだから・・・

 

 

 

 

 

ホッピーが僕の目の前に置かれた

氷なしのいわゆる

三冷

だ

 

 

 

 

 

 

冷奴も出して頂いて

チビチビやっていた

 

 

気づくと店内ほとんど満席だ

 

お客さんの年齢層は師匠クラスばっかり

 

すごい雰囲気だ

 

４０代の僕でもおそらく最年少であろう

 

 

 

 

っと　そこに

 

 

 

「イカはーん　遅れてすんまへーーん」

 

 

 

 

 

カリスマジュンヤ入場

 

 

「タンポポの綿毛に乗って来たんやけど　風強くてアルゼンチンまで行ってもうたんですわ」

 

 

 

店内の空気が一瞬止まる

 

みんなが不思議そうにこの金髪の青年を眺めている

 

 

 

「すんまへーん　お姉サマ　注文いいですか？　　温水洋一の寝汗あります？　なかったらホッピー頂けまっか－」

 

 

 

臆する

 

という言葉はこの男の辞書にはなさそうだ・・・

 

 

気付くと　

隣の師匠方と来年一緒に神輿を担ぐ約束をしていた

 

 

 

恐るべしジュンヤのコミニュケーション能力・・・

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと催し　トイレへ向かう

 

すると

 

 

 

 

 

扉の下に猫穴のような隙間があり　

引っ掻いたような跡も・・・

 

 

席に戻り　お姉サマに

 

「もしかして　猫ちゃんいるんですか？」

 

と　聞いてみた

 

「前は２０匹ぐらい居たんだけどね　今は１匹になっちゃったのよ」

 

 

 

にっ　にっ　にっ　２０匹ーーーー！！

 

 

凄すぎる酒場だ・・・

 

 

 

そしてタイミングのいいことに

 

 

 

 

残った１匹の

もんじろう

入場

 

 

分かっているかのように　一人ずつのお客さんのところに寄り添い

ちゃんと

挨拶

をしているようだ

 

 

皆さんに愛され・・・

 

まさに酒場のアイドルであろう

 

 

会えてよかった・・・

 

 

 

 

 

お客様からの差し入れの赤飯も頂戴し

 

師匠方との会話も楽しすぎる

 

 

最高の気分だが長居も野暮だ・・・

 

そろそろお暇しようか・・・

 

と腰を上げたその時

 

店内が急にざわざわと騒がしくなった

 

 

 

 

 

 

振り返ると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますみさんやーーーーー！！

 

 

やったーーー！！

会えたーーー！！

 

 

もう　嬉しすぎて

やはり

イタさ満開

で沢山質問してしまった！！

 

 

「ますみさんて　お幾つなんですか？」

「この間　二十になりました」

 

チャーミングすぎるっ！！

 

 

「僕とこいつ（ジュンヤ）とどっちがタイプですか？」

「金色のほうかねぇ」

 

今年一番ヤキモチを焼いた瞬間！！

 

「この店ってますみさんの旦那さんが始めたんですか？」

「アタシのお父さんが始めたの　昭和３年か４年に」

 

凄すぎるっ！！

日本史の教科書に河本を載せるように

文科省に言いに行こう！！

 

 

 

 

 

 

 

先日　新宿で真木よう子のロケ現場を見かけたが

正直その時よりも興奮していた・・・

 

 

 

 

 

 

 

ますみさんに

 

「有難う御座いました　また来ます　お元気で」

 

と　お暇の意思を伝えた

 

「ありがとう　また来て下さい」

 

と　ますみさんはジュンヤの方ばかり見て仰った

 

ジュンヤに殺意を持ちながら店を後にした

 

 

 

 

 

色々興奮していたのか

滞在時間９０分ぐらいで注文したのは

ワンコインセット

のみ

 

会計は一人５００円だった・・・

 

 

５００円でこの興奮と感動

 

 

木場　「河本」　

 

 

僕はディズニーランドより好きです

 

 

 

あーーー　大衆酒場って素晴らしい　

 

 

 

 

因みにこの方は

このブログをやり始めて３ヶ月

初めて

「酒場ナビ見てます」

と　声を掛けて頂いたIさん

応援有難う御座います！！

 

 

 

 

河本 （居酒屋 / 木場駅、門前仲町駅、越中島駅）
夜総合点★★★☆☆ 3.0