十三「十三屋」20歳の女の子とストリップ呑みした夏

30年前の暑い暑い夏
その娘は
大阪のアメ村にいた

古着を販売しているテントが
10軒ぐらいつらなる一角で
接客のバイトをしていた僕
ある時
「飲みモノ買ってくるけど なんかいります?」
と 女の子に話しかけられた

隣のブースで働いているという
その娘は
クリーム色のショートヘアー
ハッキリとした目鼻立ちに
ポテッとした唇
ヴィンテージっぽい黄色の半袖スウェットに
迷彩柄のマキシ丈スカート
足元はエンジニアブーツ
古着少女ヴィンテージガール
なんてドラマがあれば
主役はこの娘しかいないという
ビジュアル

吸い込まれそうな
パッチリお目目やなかい・・・
半袖のトレーナーなんて
あるんや・・・
迷彩のロングスカートなんて
オシャレすぎるやろ・・・

飲みモンいります?
に対し
なんとか振り絞った僕の答えは・・・
「ほな あったか~い おしるこを」
その娘はすかさず
「冬まで待たなあかんなー ってなんでやねん」
可愛い オシャレ ツッこんでくれる
完全に一目惚れったった

灼熱で劣悪で
地獄のようなバイト先だったが
その娘が隣にいるということで
ソコは天国に

聞くと年齢は僕と同い
彼氏はいないとのこと
全力で口説き
なんとか一月後には
付き合うことを承諾してもらった
「オモロいやん ソレ」
と
その娘が言ってくれるのが嬉しすぎて

寂しい退屈な毎日が
一転バラ色の日々に
時間は
全て彼女の為に費やした
イキりたい年齢
真っ只中の僕
普通のデートじゃオモんない
ディープな場所に彼女を連れ回した

そんなある日
イタさ満開でひとつの提案を
「十三ミュージックって知ってる?」
「聞いたことある なんやったっけ」
「ストリップやねん」
「ストリップか・・・」
「一緒行ってみいへん・・・?」
「・・・」
「・・・」
「オモロいやん ソレ」

初めて観るストリップは
想像に反して
スケベではなく美しく
綺麗なお姉サマが
踊りながら纏いを剥いでいき
結果真っ裸になるのだが
制欲を刺激するモノではなかった
ただ・・・
猛烈に興奮していた

観客は男だけで
ほとんどがおじいちゃん
その中に
20歳の可愛い女の子がひとり
僕はその娘と手を繋ぎながら
ストリップを観ている

なんて
型破りな行動をとってるのだろうか
なんて
人並み外れた感性の女の子なのだろうか
そんな娘と
僕は付き合えている
30年前の
脳汁ダダ漏れの
暑い暑い夏の日だった

随分と久々に十三へやってきた
なんとなく
あの日
を振り返ってみたくなって

十三ミュージックはあの後
ストリップとキャバクラを融合させ
2013年からは木川劇場という
大衆演劇場にリニューアルしたとか
その木川劇場も
2024年に閉館
光陰矢の如し

あの日は
十三ミュージックを後にして
あの娘と十三のどっかの酒場で
呑んだはず
西側だったような・・・
むっ!

この看板の形
怪しいぞ・・・
確か昔は・・・
思い出したっ!

サザエボンの発想そのままの
鉄わん波平
波平通りて・・・
こんなパクりを
堂々と街のシンボルにしてしまう
大阪人のノリ
守っていきたい
関西のオモロかったらええやん精神

キレイになりましたね
そっか
2014年に火事があったんだもんな
1999年の
新宿のほうのしょんべん横丁の火事は
野次馬で見に行きました

どこで呑んだんだろう・・・
昼からやってて・・・
あっ・・・

柄本明が行ってて
あの日の酒場ココじゃなかったかな
って思ったことがあったような・・・
そうだっ!
その名もズバリ
十三屋だっ!
ほう
今は西側じゃないんですね

東駅前商店街の・・・

この細路地でいいよな・・・

あったっ!
断言はできないが
おそらくこの酒場の
ション横時代の店舗だろう
せっかくなんで
おじゃましまんにゃわ~

店内はL字カウンターとテーブルが幾つか
ション横の頃は
テーブルに仕切りなんかなく
解放感があったような
扉も開けっぱなしじゃ
なかったっけか?

あん時は何を呑んで
何をツマんでたんだろう
まぁビール呑んでるだけで
たしなんでるつもりに
なれてたんだろうな
僕もあの娘も


ツマミもおそらく
唐揚げとか出汁巻きとかだろう
ちょっと背伸びして
ハマチの刺身ぐらいで
今なら渋いチョイスを
流れるようにオーダーできる
「イワシの天ぷら おでんの汁がけでぇ~」

30年前の僕に教えてあげたい
関西の甘めのおでん出汁は
下手な天つゆなんかより
天ぷらの味を引き立てると

そして
こんなん注文してる僕って黒帯やわぁ~
っと 自分にも酔えるんですと

ただ店によっては
「そんなん やってへんよっ!」
と 強い口調で否定されることもある
そんな時は
「ほな 別でおでんの豆腐 汁多めで」
と 切り返すのです
ポイントは
そう
顔色変えず間をあけず

あと
女の子と呑んでる時は
品書きを指差しながら
「すいません 本アあしマ 下さい」
と メニューの頭文字を横読みしてみると
まぁまぁウケますよ
店員さんにはあんまりですが

もうひとつ言っておくと
アナタが当時嫌いだった
高野豆腐
は 30年経つと好物に変わってます

ニンジンとグリンピースも
苦手ですよね
それらは今でも苦手です

今のアナタは
一番カッコつけたい年頃ですもんね
まぁ
男ッてな生き物は
幾つになってもそうなんですが

ただ歳を重ねると
やりたいようにやらせてもらいまっ!
という
開き直りが出来るようになるんです

ほら
日本酒のアテに
ガキツマミ代表の赤ウインナーなんか
頼めちゃったりもする

自分のままで正直に
不器用にカッコつけるより
案外ソッチのほうが
功を奏したりするんですよ
実際
今も店員のお姉サマの母性本能を
くすぐれている・・・
気がする

燃える恋程脆い恋
大事なモノを手放したくなく
自分を取り繕い
ソコを指摘されてギクシャクと
立て直そうとするが空回り
嫉妬の嵐
結果
七分袖の季節には
別れを告げられ絶望の日々
もう少し自分をさらけ出せれてたら
何か違っただろうな

あの娘
今どうしてるんだろう
それなりの年の子供が
2.3人居たりするかしら
あの娘がキッカケでNSCに入ったけど・・・
今
あの娘の子供がNSCに入っててもおかしくない
光陰矢の如し



十三屋様の復活を
心より願っております
十三屋(じゅうぞうや)
| 住所: | 大阪府大阪市淀川区十三東2-11-6 |
|---|---|
| TEL: | 06-6309-8816 |


