皆様

 

神戸

 

なんて聞くと

六甲山だったり

北野異人館街だったり

メリケンパークだったり

 

異国情緒あふれた上品な街

 

みたいなイメージではないですか？

 

 

 

 

ただ一口に

神戸といっても

なかなか広う御座いまして・・・

 

 

 

 

JR神戸駅にやってきた

 

ここは

元町「丸玉食堂」ディープ商店街モトコーの帰りには

でも書いたが

元町から続く

高架下商店街の終着場所だ

 

 

神戸市営海岸線

だと

ハーバーランド

なんてハイカラな名前の駅と

隣接しているのだが

 

 

ちょっと歩くと・・・

 

 

 

 

下町感

バキバキ

の雰囲気が漂い始める

 

 

 

 

大きな鳥居が見えてきた

 

ここが

松尾稲荷神社

 

関西でも数少ない

ビリケンさんが祀られている神社だ

 

数年ほど前まで

この一角に

稲荷市場

というアーケードがあったが

時代の流れか取り壊されてしまい

生き残っている店は

３店舗ほどしかない

 

 

 

ただ

この店店が

素晴らしゅう御座いまして・・・

 

 

 

 

 

駄菓子も売ってる商店の

台のダンボールのメッセージ性

を噛み締めながら

歩いていると・・・

 

 

 

 

 

出たっ！！

 

 

 

 

 

道端に突如現れた

 

ホルモン

１本５０円

 

の文字の看板

 

看板なんて言ったが

四角い木箱に

殴り書いただけ

 

炭酸や牛乳の

プラッチックケースに

重ねてあるところも

香ばしい・・・

 

 

 

 

この店の名は

 

中畑商店

 

 

 

 

ご覧の通り

店頭で焼肉用のモツたちを

販売しているが

店内でも

そいつらを焼いてくれて

呑みながらツマめる

という

夢のような空間だ

 

 

 

 

「中畑商店に敬意を称して　このスニーカー履いてきたっぺよ！！」

 

と　味論

 

「えっ？」

「だから中畑のNとニューバランスのNを」

「えっ？　どういうこと？？」

「中畑のイニシャルがNだもんでそれに合わせて」

「えっ？　えっ？？」

「ほらっ！！　アレだっぺよ！！　NがNだっぺさーーー」

「えっ？　えっ？？　えっ？？？」

 

 

 

バランスの悪い会話をしながら

暖簾引きならぬ

ビニールシート引きをして

いざ店内！！

 

 

 

 

入ると

右側のカウンターが印象的だ

 

椅子にしてある生樽が

いい味出してる

 

 

 

 

「いらっしゃーい」

 

マスターの優しい声で迎えてくれる

 

 

 

「いらっしゃ～い」

 

どこかで

女性の声が聞こえる

 

 

 

 

奥を見ると

お母サマが

テレビのロザンに爆笑しながら

迎えてくれていた

 

この

ゆる～い感じが

堪らない

 

 

「お兄ちゃんら　どっから来はったん？」

「東京からです」

「ようわかったなぁ　地元の人でもココ迷うんやでぇ」

 

 

 

お母サマご安心下さいませ

 

僕ら

酒場ナビメンバーは　

全員方向音痴だが

名酒場に行く時だけは迷子にならない

という能力があるのですよ

 

 

 

 

「お兄ちゃんら　前　座るかー」

 

前？？

 

鉄板があり

その手前に置き台のような銀盤がある

 

その台の前に椅子が二つ

 

 

「是非ともっ！！」

 

 

特等席に案内してもらえた

 

 

 

 

酎ハイを貰い

酒ゴング

 

 

 

カッチーーーンッ！！

 

 

 

今からの展開を想像すると

ワクワクして

自ずと

ゴングの音

も　大きくなる

 

 

 

 

何を焼いてもらおうかと

メニューを眺めてると

 

「串　適当に出そかー」

 

と　マスター

 

 

「お願いしますっ！！」

 

 

 

 

 

適当に・・・

 

 

堪らない・・・

 

 

 

 

まずは

５０円のホルモン

 

バサとも呼ばれるみたいだ

 

おそらく

フワを薄く切ったモノだと思われる

 

 

 

 

それを

タッパーにタプタプに溜められた

タレにダビダビにつけて・・・

 

 

 

 

食らいつくっ！！

 

 

んまいっ！！

 

流石お肉屋さんのホルモン

タレも絶妙で素晴らしい！！

 

 

 

 

「これで５０円っぺかよー　お父さん１本で儲けいくらだっぺかー？」

 

 

 

 

 

 

味論さん・・・

 

 

あえて聞かなくても・・・

 

 

 

 

シンゾー

 

これは１００円

 

コリグニュ

っとした歯ごたえが心地いい

 

 

 

 

レバー

アバラ

共に１００円

 

 

アバラの脂身が

あもうて

んまいっ！！

 

 

レバーもネギと焼かれている

レバーとネギの相性がいい

 

 

バランスがいい・・・

 

 

こんな串は初めてだ

 

 

まさに

ニューバランス！！

 

 

 

 

適当に・・・

 

 

 

適当の概念

は人それぞれだ

 

マスターはどんどん串を焼いていかれる

 

 

 

 

実はここに来る前に

西成で５軒ハシゴしていた

僕と味論

 

 

ちょいと脳が

満腹中枢を

刺激し始めてきた

 

 

 

 

しかし

サカバーたるもの

出されたモノを残すなど

言語道断

 

 

望むところやっ！！

 

 

と　

一心不乱に

バクバクいってやった

 

 

 

 

それでもマスターは

焼く手を休めない

 

 

正直苦しくなってきた・・・

 

 

しかし・・・

 

 

これはマスターからの挑戦状やっ！！

負けるもんかっ！！

 

と　心と胃袋を奮い立たせ

二人で頑張っていたら

 

 

 

 

マスターが・・・

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんら　ウチの店　焼いたやつ全部食べんでええんやでー」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーーーーーー！！」

 

 

 

「いや　マスター　それ先に言うて下さいよーーー！！」

「勢いええから　刑務所から出所してきたとこか思ててん」

「誰が　幸せの黄色いハンカチの高倉健なんすかっ！！」

「嫁はん　待ってくれてたらええなぁ」

「ああ～　スーパーのレジ打ってるところナンパした嫁　って　もういいっすよー！！」

 

 

 

 

 

 

うう・・・

 

苦しい・・・

 

 

 

 

 

「すいませーん　ほるもんいっぽんくださーい」

 

 

 

可愛い声が聞こえたので

振り返ると

小学校低学年の女の子が一人でいた

 

 

女の子は

マスターからホルモンの串を受け取ると

ジャブジャブとタレをつけ

それを頬張り

串を串入れの筒に刺し

５０円玉をマスターの手の平に置いて

 

「ありがとー」

 

と　言って帰っていった

 

 

 

 

 

なんてホッコリとする光景でしょう

 

と　顔を見つめあう　

僕らをよそ目に

当たり前のように

オシゴトを続けられてる

ご夫婦が

 

 

 

 

 

 

とっても

カッコよかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様です　ひかりも行ってみます」

「ひかり　カツ丼とラーメンあったかなぁ」

「高倉健やないすか！！　・・・有難う御座いました」

 

 

 

 

 

 

この後　お隣の

お好み焼き　ひかり

に味論と駆け込むのだが

 

それは

次回　味論が・・・

 

 

 

 

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