ダニオ

という男がいる

 

 

大阪立ち飲みニスト

という酒場巡りサイトを手掛ける傍ら

酒場ナビYoutubeの

撮影編集を手伝ってくれている

頼もしく優しい

ツマミで例えると

高野豆腐みたいな男だ

 

 

 

そのダニオと

カリスマジュンヤと三人で

西成の街を歩いていた

 

 

酒場を出て

次に行く酒場を

あーだこーだ話しながら

決めようとしていたら

ダニオが

 

「あそこ怪しいでんなぁ～」

 

と

囁いた

 

 

怪しい・・・？

 

 

ダニオの視線のほうに目をやると

シャッターが半分だけ開いている

安アパートのような建物があった

 

 

近づいて覗き込んでみると

年の頃なら６５ぐらいだろう

一人のお母サマが

包丁で何か食材を切られている

 

 

飲食店なのか・・・？

 

 

勇気を出して

お母サマにお伺いを立てようとした

その時

 

 

「まだやー！！　あと１時間はかかるわー！！」

 

 

お母サマに叫ばれた

 

 

ビックリはしたが

１時間後にはおそらく

もう半分のシャッターも開くであろう

何か食べれるだろう

という情報は頂けた

 

 

 

「あっ　お母さんっ！！」

「なんやっ！？」

「お酒ありますか・・・？」

「そこのローソンで買うて持ってきーー！！」

 

 

 

 

 

酒場を１軒はさみ

そろそろ

あれから１時間・・・

 

 

コンビニでお酒を購入し

再び例の場所へ戻ってみると・・・

 

 

 

 

開いてるっ！！

 

 

注文の品を待ってるお客さんも

店頭にいて

 

奥では

座って召し上がっているお２二人の姿も

 

 

飲食店に

間違いない

 

 

 

 

あっ　

 

鉄板がある・・・

 

 

先の半シャッターの時点では

認識できなかったが

鉄板焼き屋さんなんだ・・・

 

 

鉄板焼き・・・？

 

 

場所は西成・・・

 

 

ってことは・・・

 

 

「お母さんっ　ホルモン焼いてくれるんですかっ？？」

「あたぼうやんけっ！！　うっとこホルモンしかないわいっ！！」

 

 

 

 

 

 

長年西成に関わってきたが・・・

 

 

ここは知らなかった・・・

 

 

ダニオの酒場センサーの恐ろしさよ・・・

 

 

 

 

「アンタら何食べんねん」

「っていうかお母さん　鉄板真ん中ヘコんでるやないですかっ？？」

「４０年やっとんねん」

「４０年っ！！」

「長いことやっとったら　人間も鉄板もワヤな部分出てくるわっ！！」

「ワヤて・・・　何があるんですか？？」

「ココにあるヤツやっ！！」

 

 

 

 

奥にある冷蔵庫に

生の状態のホルモンが入っていた

 

 

「ほんならレバーとツラミ焼いて下さいっ！！」

「レバーとツラミやな」

 

 

 

 

お母様は

冷蔵庫のホルモンを

鉄板にのっけ

玉ねぎをドサッとかけ

焼き始めて下さった

 

 

 

 

「あっ　お母さん　ニンニク一緒に焼くんですね」

「そらそうよ」

「ニンニク潰す機械使ってるやないですか」

「こんなん機械ちゃうわっ！！」

「へっ？」

「オモチャの親戚やがなっ！！」

「オモチャの親戚てっ！！」

 

 

 

 

「うわぁ　お母さん　旨そうやわぁ」

「旨そうちゃうで　ホンマに旨いねん」

「香りだけでも旨いわっ」

「最近ここらへんでも　新しいホルモン屋増えてきたやろ」

「はい」

「うっとこ　あんな　にわかホルモンやないからなっ！！」

「にわかホルモンっ！！　初めて聞いた言葉ですっ！！」

 

 

 

 

などと

談笑しながら

焼けるのを待っていると・・・

 

 

 

 

「アホボケカスっ！！」

 

 

 

 

すぐ近くで

おまわりさんに囲まれた先輩が

叫んでらっしゃった

 

 

 

「唾だけ散らんよう注意して下さい」

「言いがかりじゃ！！」

「終わりましたんで」

「ええ加減にせいドアホっ！！」

 

 

 

 

うん・・・

 

 

西成は元気です・・・

 

 

 

 

「お母さん　ココお母さんがやり始めた店なんですか？」

「オトンがやっててん」

「２代目ってことですか」

「せやな」

「お住まいは西成ですか？」

「大正区や」

「えっ　ほんなら電車で通てはるんですか？」

「アホかっ　毎日チャリやっ！！」

「カッコいいっス！！」

 

 

 

 

「跡継ぎいらっしゃるんですか？」

「うっとこの子供はやらへんやろなぁ」

「ほな　お母さんが４０歳やから・・・」

「はぁ？」

「この店　あと３０年ですね」

「アホかっ　はい焼けたでっ！！」

「やったーー」

「ありがとうございます！！」

 

 

 

 

プラッチックの容器に入れて

新聞紙を敷いて完成

 

 

 

めちゃめちゃ旨そうやっ！！

 

 

 

 

お店の対面にあるテーブルで

頂くとする

 

 

ふいに遭遇できた

西成の

青空ホルモン

 

 

心が

登美丘高校ダンス部バリに

踊っている

 

 

 

 

ワンカップとも

画になっている

 

早く頬張りたいが

もう一度凝視

 

 

 

 

脳とベロに

今からVIPをお連れしますのでご準備の程を

と　訴えかけて

箸でつかんで一口・・・

 

 

 

 

ツラミ旨いっ！！

 

肉の味が濃いところに

お母サマの手作りのタレがドンピシャに合う

 

そこに玉ねぎの甘さが追っかけてくる

食感も丁度いい

流石の焼き加減だ

 

 

今まで抱えていた

他人や世間への

恨みツラミが

全て吹っ飛んでいった

 

 

 

 

レバーの旨さも言わず物がな

 

 

 

あの店ではキモって言ってたな・・・

 

あそこより・・・

 

好きや・・・

 

 

 

 

日も落ちてきて

常連さんたちが集まり始めた

 

新参者は

潔くスペースをお譲りしなければ

 

 

それにしても

素晴らしいホルモン屋さんに

出会えたな

 

ホルモンの美味しさ

お母サマのキャラの面白さ

警察に囲まれて叫んでる先輩

 

動画で見て頂いたほうが

お伝え出来ると思います

 

大爆笑して頂けるでしょう

 

皆様

是非とも見てやって下さいませ

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