富木「内海酒店」全国猫ちゃん酒場漂流記始動
暑い・・・
汗が目に入って視界もはっきりしない・・・
足の裏が痛い・・・
痛すぎる・・・
サンダルを脱いで確認してみる
マメができて潰れている
そういや昨日から
めちゃめちゃ歩いているもんな・・・
絆創膏を貼りたいがコンビニも見当たらない
はたして本当にたどり着けるのだろうか・・・
こんなことなら・・・
鳳からバス乗っときゃよかった・・・
富木(とのき)
大阪の天王寺と
和歌山をつなぐ
阪和線
の 鳳より和歌山のほうに
ひとついった駅
地元の人は
とんき
と 呼ぶらしい
もう二つむこうの
信太山には所用でいったことはあるが
富木に来たのは初めてだ
お目当ての店が
駅から遠いことはわかっていた
まぁ 歩いて向かって
ホンマに疲れたらタクシー乗ればええか・・・
この考えが甘かった
この夏の異常な暑さ・・・
15分ぐらい歩いて国道にたどり着いたが
その時点で
もうフラフラだ・・・
これは甘えるか・・・
と思いタクシーを探すが
1台も走っていない
歩みを止めると
体中から汗が吹き出てきた
もっと湧き出ろ僕の汗!!
掻けば掻くほどビールが旨いぞ!!
この時点では
まだ若干余裕があった
ここどこや・・・
Googleマップを開いてみる
スマホが熱い
どうやら
完全に変な方に向かっている
道 間違えたな・・・
タクシーは一向に見当たらない
疲労で頭を上げれない
上げたとて
蜃気楼のようなぼやけた目の前
うつ向き加減でゆっくり歩く
アスファルトってよく見ると
ツブツブで気持ち悪いな・・・
などと
普段は気にならないことが気になる
Tシャツが
汗のせいか重く感じる
朦朧としている
これが噂に聞く熱中症なのか・・・
死ぬのか・・・
今までいった酒場が
走馬灯のように蘇る・・・
庚申酒場 のおばあちゃんが笑っている・・・
きぬ川 のお姉サマが笑っている・・・
大林 のお父サマが怒っている・・・
味論 カリスマジュンヤ・・・
僕の棺桶には
王将の餃子と
橋本奈々未の写真集を
入れといてくれ・・・
その場に倒れ込もうとした
その時・・・
あれ・・・
もしや・・・
最後の力を振り絞り
近づいてみると・・・
出たっ!!
内海酒店!!
元醤油蔵の建物の角打ちだっ!!
渋すぎる・・・
駅からの歩いた時間は
有に1時間はあるだろう・・・
たどり着けた・・・
若干の安堵感・・・
ただ・・・
営業してないかもしれない・・・
この疲労感で
しんどかったけど 開いてへんかったわー
というエピソードトークだけでは
割に合わない・・・
店の正面に立ってみる・・・
やったーーー!!
暖簾が出ている
中から笑い声も聞こえる
高校入試の合格発表の時
掲示板に
自分の番号を見つけた瞬間の
気持ちのようだ
駆け込むように
内海酒店に入った
入るやいなや
目に入ってきたのが
椅子
座れるんや・・・
抱え込むようにイスを引き寄せ
腰をかけ
「すいませんっ!! ビール大瓶下さいっ!!」
泡の配分なんか
おかまいなしで
グラスにドボドボと注ぎ
一気に飲み干す
これを3回繰り返す
ハーーーーッ!!
乾ききった喉と体に
入ってくるビールが凄いっ!!
細胞の一つ一つに
染み渡っていくのを感じる
達成感もフツフツと湧いてくる
旨い という表現があってるかわからない
旨いの向こう側だ・・・
旨閻魔(うまえんま)
とでも名づけとこうか・・・
4回目の
それをやり再び
ハーーーーー!!
「兄ちゃん 大丈夫け?」
隣の先輩が仰る
僕の形相が
物凄かったのだろう
「富木の駅から歩いてきたんで 疲れてもて・・・」
「歩いてて アホちゃうか!!」
「あはは・・・」
ふぅ・・・
生き返った
落ち着きを取り戻し
改めて店内を見てみる
L字カウンターと
長テーブルがひとつ
7・80ぐらいの先輩方が
ご満悦中だ
渋い・・・
渋すぎる・・・
床のコンクリが堪らない
天井からぶら下がる
ハエ取り紙の
カッコ良さにゾクゾクさせられる・・・
平成も
そろそろ終わるというのに・・・
もうっ!!
渋くないところを
探すほうが難しいっ!!
渋さの向こう側・・・
渋閻魔(しぶえんま)
とでも名づけとこうか・・・
お店を
切り盛りなさってるのは
お父様とお母様
ご夫婦だろう
長年
二人で人の善悪を見てきたのだろう・・・
もう
ご夫婦の向こう側・・・
俱生神夫婦(くしょうじんふうふ)
と 心の中で勝手に思わせてもらおう
おツマミもある
少し休んだら
小腹もすいてきた
火照った体に
火照ったおでんもオツじゃないか
うん
余裕も出てきた
割り箸の刺さった
練り辛子がまたいい
久々に見たなぁ
洋食屋さんで
水の入ったコップに
スプーンを刺して出してくれた時のような
懐かしさがある
ハイボールにチェンジして
手羽揚げみたいなヤツも
もらってみる
塩をたっぷりかけてしまう
体が塩分を欲している
もうちょいツマみたい
となると・・・
関西角打ちの
必須アイテム
ポールウインナー
この
ジャンクな味がとてつもない
おじいちゃん
とも言っていいお年の先輩が
コイツを咥えている様は
滑稽で見てて楽しいし・・・
気付くと
お父様は座って
一杯やってらっしゃる
常連さんだろう先輩方との
お喋りが楽しそうだ
時刻はまだ17時前だが
先輩方は
一人 また一人と
お店を後にされる
「今日 息子夫婦と孫来んねん」
「あかん 酔うたわ お母ちゃんに怒られるわ」
「よっしゃ はよ帰って明日に備えなな」
お会計前の
一言を先輩が言うと
決まって
お母サマが放たれるセリフがある
「いやーん 泊まってったらええやんかいさ~」
聞いてるだけで癒される・・・
僕が帰る時も
頂けるのだろうか・・・
「あっ みーちゃん 来たんかいな~」
お母サマが
楽しそうに高い声をあげてらっしゃる
見ると・・・
猫ちゃん登場
「みーちゃん 挨拶しに来たんかいなぁ~」
お母サマは
みーちゃんに癒されてるみたいだ
そのお母サマを見て
僕も また癒される・・・
内海酒店
圧倒的やな・・・
「お母さん お勘定して下さい」
「は~い~ お兄ちゃん大丈夫か~」
「はいっ!!」
「表にバス停あるから乗りや~」
「はいっ!! 有難う御座いました」
泊まってったらええや~ん
は もらえなかったが
まぁいいか
また来ます
因みに
今までの酒場ナビで出てきた
猫ちゃん達は
こちら
↓
皆様
猫ちゃん酒場ご存知でしたら
教えて下さいませ
内海酒店(うつみさけてん)
住所: | 大阪府堺市西区草部1438 |
---|---|
TEL: | 072-271-2355 |
営業時間: | - |
定休日: | - |