渋谷「富士屋本店」東京三大立ち飲み その3
拝啓
20年前の僕へ
元気でやってますか?
20年前といえば
あなたは
大阪から東京に出てきた時期ですね
相方の
と一緒に上京し
バイトばかりの毎日の中で
お笑い芸人として売れるために
ネタを作り
ライブやネタ見せに
挑んでいるのでしょう
苦しそうですが
楽しそうですね
羨ましいです
ホームシックを引きずり
なおかつ
人見知りのあなたは
東京に馴染めていませんでしたね
そんなあなたに
相方にも教えない
秘密基地
が あったのを思い出しました
渋谷での
ネタ見せ
の 帰りに見つけた
富士屋本店
の看板
恐る恐る
階段を下りていくと
そこには
これでもかっ!!
って広さの
立ち呑みがあったんですよね
当時は
特殊な先輩の
お客さんも多くて
その独特な雰囲気に
おののきながらも
何故か
惹かれて
しまったんですよね
おそらくあなたは
思い通りにいかない日々
常に ちょっとイライラしている毎日の中で
この店に
安堵
を感じるようになったのでしょう
居場所のない東京で
ココでは
自分が居ても
邪魔にはならないんじゃないか
こんな僕でも
受け入れてくれてるんじゃないか
ココで酒を
呷る
ことで
かき消していたんでしょうね
寂しさと苛立ちを・・・
ホッピーを
初めて呑んだのも
この店でしたね
関西では
全く見ることのなかった
謎の呑み物
周りの先輩方が
当たり前のように呑んでいる
それを
あなたも勇気を出して
頼んでみたんですよね
焼酎を
あまり呑んだことがなかった
あなたには
とても美味しいと思えない味でしたね
ただ
ちょっとだけ大人になった気がして
ちょっとだけ先輩方の仲間になれた気がして
好きでしたね
それを呑んでる自分のことが・・・
安心して下さい
すぐにあなたは
焼酎にもホッピーにも
ハマっていきます
今では
中5 外1
ぐらいの塩梅で
それを楽しんでます
えっ?
それはもうホッピーじゃないですって?
確かにそうですね・・・
中3 外1
ぐらいにするよう
心がけます
そういえば
女の子を
ココに連れてきたことがありましたね
下北沢の踏切で
タケちゃんと一緒に
「あっ すいません PUFFYのお二人ですよね?」
なんて
しょうもないツカミで
ナンパした女子二人組
奇抜な
ピンク色の髪の毛の
女の子の方に
あなたは一目惚れし
僕らの誘いを
断固拒否する
その子に
「遊んでくれるって言うまで ここから動かへん!!」
と 叫び
その場に土下座をして
尚 拒否されてましたね
結果
「ええ携帯持ってるやん ちょっと見して」
と その子の携帯電話を見せてもらい
すかさず自分の携帯に電話し
半ば強引に
電話番号を
教えて
もらったんですよね
気をつけなさい
そろそろ
コンプライアンス
なんて言葉が
流行りだしますよ
あなたの
東京での初デートは
ココ富士屋本店でしたね
ピンク色の髪の毛の女の子と
「行きつけの店連れてったるわ」
的な感じで
イキってましたが
店員さんに
「まいどです~」
と言って
「あ? 初めましてー」
と 返され
舌噛んで死にたくなるぐらい
恥ずかしがっていましたね
あなたは
まだ
知らないでしょうね
後に
隣にいる
ピンクの髪の女の子がキッカケで
大衆酒場
というジャンルに
どハマりするのことを
その子のお父さんは
凄い呑兵衛で
子供の頃から
毎晩のように
墨田区中の酒場に
お父さんを
迎えにいってたらしいのですよ
迎えに行った先で
よく晩御飯を食べてたらしいのです
その子
墨田区中のツマミの美味しい店
ほとんど知ってますよ
機会があれば
連れてってもらえばいいでしょう
うだつが上がらないクセに
就職する気など全くない
あなたの元から
離れていってしまうような
予感もしますが・・・
まぁ・・
頑張って下さい・・・
大衆酒場巡りを
始めたあなたは
あまり富士屋本店には
来なくなってしまいましたね
まぁ
気持ちもわかります
なけなしのお金で
色んなお店に行きたい
いったことがる店より
行ったことのない店を
求めるのは必然
あはは・・・
大丈夫です・・
それを
浮気
と呼ぶような
器の小さい
富士屋本店ではありません
それでも
場所が場所だけに
時々はあの階段を
下ってましたね
心の中で
ただいま・・・
なんて呟いて
何となく
東京での
自分の原点みたいな場所と懐かしみ
どっしりと
そこに構えていてくれることに
安堵
してましたね
歩道橋を渡れば
実家がある
なんて・・・
少し大袈裟か・・・
ご報告が2つあります
一つは
富士屋本店のことです
20年後の秋に
富士屋本店は
その長年の歴史に
終止符をうちます
あなたにとっては
辛い報告でしょう
でも
仕方ありません
始まりがあれば
終わりは必ずあります
寂しがるのではなく
ありがとう
という気持ちで
そのタイミングをむかえてみては
如何でしょうか
でも
覚えておいて下さい
ココに素晴らしい
立ち呑みがあったことを
そして
語り継いでやりましょう
もっともっと
年をとった時
ココにきたことのない若手に
「なんだね君 アソコいったことないのかい? 可愛そうだねぇ~」
と ドヤ顔で自慢してやりましょう
えっ?
ウザがられるですって・・・?
結構じゃないですか
だって富士屋本店なんですもの・・・
自慢ぐらいさせてもらいましょう・・・
もうひとつは
芸人としてのあなたの現状です
単刀直入に言うと
あなたは
タケちゃんとも解散し
ちっとも売れていません
聞きたくなかったですよね・・・
けれども
それが現実です
そうなりたくないのであれば
もっと
目から血出るぐらい
オモロイこと考えなさい
せめて
そのツマらない
人見知りなんかは辞めて
もっと社交性をもちなさい
あれ・・・
ガチでヘコんでるじゃないですか・・・
まぁまぁまぁ
そんなに
悲観なさんな
人生はいろいろです
もう一つ言うなら
あなたは今
結構笑えてますよ
もしかしたら
20年前よりも・・・
敬具
富士屋本店
東京三大立ち呑みの一つに
させて頂きます
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富士屋本店(ふじやほんてん)
住所: | 東京都渋谷区桜丘町2-3 富士商事ビル B1F |
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TEL: | 03-3461-2128 |
営業時間: | [月曜~金曜]17:00~21:30[土曜]17:00~20:30 |
定休日: | 日曜・祝日・第4土曜 |