祐天寺「ばん」粋ってなんだね?
酒場での
粋
ってどんなんだろうか
イメージすると
立川談志さんみたいなオジサマが
老舗の蕎麦屋の昼下がりに
「おねえちゃん 冷やと天ぬき頂戴な」
の流れから文庫本なんぞ開き
「冷おかわりと もり頂戴な」
ササッと蕎麦をたぐり
飲み干したお猪口をテーブルに
カンッ!!
入店から30分弱で
「おあいそして頂戴な」
こんな感じだろうか
ポイントとしては
飲み過ぎない
食べ過ぎない
長居をしない
ってことかしら
祐天寺の ばん に初めて行ったのは5年ぐらい前
季節は覚えていないが曜日は火曜日だ
なぜ火曜日を覚えているかというと
この店は火曜日は
ゆでたまごサービスの日なのである
カウンターに座るやいなや
漬物と
ゆでたまご
が僕の目の前に置かれた
ゆでたまご・・・
ゆでたまご・・・??
居酒屋で??
「ビールとテッポウみそとカシラたれで下さい」
漬物でビールを飲みながらモツ焼きを待つのだが
どうにも ゆでたまご が手持ち無沙汰だ
卓上に調味料があるので塩でもかければ
つまみにならないこともないのだが
なんとなく画にならない気もする
などと思っていると
「いらっしゃいませー」
「一人です」
「カウンターどうぞー」
新しいお客さんが入ってきて僕の隣に座った・・・
えっ!!
僕は驚いていた
隣に座ったのは20代後半と思われる
女性
である
しかも美人だ
戸田恵梨香似のべっぴんさんだ
この店は若い女性客も少なくはないのだが
ほとんどは複数だ
戸田恵梨香がバキバキの大衆酒場に??
一人で??
なんで??
それだけでも僕はちょっと興奮していたが
それは序章にすぎなかった
「レモンサワーとトンビ下さい」
恵梨香が注文をする
トンビとな??
メニューを見渡すと
豚尾
と書いてある
豚のシッポをどうにかしたヤツなのか・・・
焼酎の入ったジョッキと炭酸とレモンが恵梨香の前に置かれた
恵梨香はそれを作り上げると
うまそうにジョッキの半分ぐらいまで一気に呑み
「ハーー」
と息をつくと
漬物を食べ始めた
漬物なんてモンは一切れ一切れ
チビチビ食べるのが普通だが
恵梨香は器を手に取り
あたかも卵かけご飯でも食べるがごとくかっこんだ
なんやこの人??
刑務所から出所したての高倉健やないかい!!
などと心の中で呟いていると
「お待たせしましたトンビでーす」
見たところどうやらシッポの肉の煮込みのようだ
うまそうやなー つぎアレ頼もうかな
などと思った時 恵梨香がまたやってくれた
殻をむいたゆでたまごを
煮込みの中にドボンと入れると
トンビもろともグチャグチャにかき混ぜ
再び卵かけご飯のごたる
「ワシャワシャシャーー」
っとかきこみ
残りのレモンサワーを
「グビグビビーー」
ジョッキをカウンターに
ドンッ!!
「すいませーーん お会計して下さい」
カ カ カ カッコイイーーーー
ゆでたまごはそうやって食うんやーー
粋だ
これが粋というヤツだ
時間にして10分程度
注文は一杯一品
しかもべっぴんさん
粋でなおかつエロさまで感じるぐらいだ
なぎら健壱さんの
東京酒場漂流記
という本に
山利喜でモツ焼きを煮込みの中に入れ
グチャグチャにして食べるのが粋
なんてエピソードがあり
きちゃないなー なんて思っていたが
実際に見ると
美しかった・・・
そして先日僕は ばん に行ってきた
曜日は火曜日
そうなのである
あの時の粋な女性のマネをしに来たのである
カウンターに座ると
出てきた出てきたゆでたまご
「レモンサワーとトンビ下さい」
隣には60代と思われる先輩
帰り際に
「おにいちゃん 粋だねぇ」
ぐらい言わせてやるつもりだ
レモンサワーで漬物を流し込んだところに
トンビ到着!!
ゆでまごを投入し
グチャグチャに
一気にかきこみ残りのレモンサワーをグビグビビーー
ジョッキを
ドンッ!!
ここまでの流れヨシッ
あとは会計して出るだけ
っとそこに
「はーーい タンハツレバーでーす」
隣の先輩のモツ焼きが運ばれてきた
う う う うまそーー
ここ祐天寺か・・
そんな頻繁には来れへんよなー
ここまで来て・・・
モツ焼き食わずに・・・
あーーーーーー
「す すいませんナカとテッポウみそ カシラたれで下さいっ!!」
粋ってムズいなーー
ばん(ばん)
住所: | 東京都目黒区祐天寺2-8-17 |
---|---|
TEL: | 050-5869-3577 |
営業時間: | [月~金] 16:00~23:00 [土] 15:00~23:00 [日] 15:00~22:00 |
定休日: | 年末年始・お盆・祝日の月曜 GWの何日間 |