神田「鶴亀」これが満腹中枢がおかしくなった酔っぱらいの食欲だっ!!
「今から 神田来れるけ?」
師匠からの
呑みのお誘いは
ラブストーリーかのように
いつも突然だ
師匠
というのは
僕に酒場巡りのオモシロさを
教えてくれた
という男のことだ
師匠の命令に逆らうことなど
僕の選択肢にはない
「30分でいきますっ!!」
観ていた
Xvideosを停止させ
パンツを履き
すぐさま玄関を飛び出した
道中のLINEのやり取りで
たどり着いた酒場は
藤田酒店
酒屋さんだが
呑れるスペースもある
いわゆる角打ち
僕が
来たい来たいと思っていたが
なかなかタイミングが合わず
宿題にしっぱなしだった酒場だ
むむっ!!
カウンターに
見慣れた後ろ姿を発見っ!!
「師匠っ!! 遅なりましたっ!!」
「遅いんじゃダボーッ!!」
この男が
シュンデルマツモト
神戸で生まれ
全国を転々とし
現在大阪在住の
酒場人だ
本日は
出張で東京にきたとのこと
「遅くなってすんまへん」
「何しとったんじゃボケーッ!!」
「家出ようとしたら 表に深田恭子が居ましてね」
「深キョンがかいな?」
「ガス代と電気代まとめろ って言うてきたんでね」
「まとめる手続き しとったっちゅうんかい?」
「手続きは この前やったんですけどね」
「ほな 何しとったんじゃい?」
「浮いたお金で タラバガニ食いにいってて遅れたんですよ」
「ワシも呼ばんかいドアホッ!!」
うん
いつもの感じのやり取りだ・・・
「いやでも師匠 僕 藤田酒店来たかったんですよ」
「ホンマけ?」
「何で この店チョイスして頂けたんですか?」
「道に 赤星のええ香りが漂ってたからな」
「サッポロラガービール赤星でっか?」
「香り追っかけてたら この店入ってもうてたわ」
「いや ビールの匂いなんかわからへんでしょ」
「香りと・・・ 食べログや」
「食べログやん!! 」
隙あらば
カッコイイ言い回しを
したがる師匠
うん
いつもの感じだ・・・
「っていうか師匠 赤星呑んでませんやん」
「オンドレが来る前に 空いてもうたんじゃ」
「今呑んでる日本酒なんでっか?」
「宮水の華じゃ 神戸の櫻正宗やないかいっ!!」
「ほう 東京に来て 地元神戸の酒すすりますか」
「ワシって 粋やろ~」
「粋って 人に言われなアカン言葉でっせ」
「ワシ粋やわ~」
「もうええっすわ 僕のおんなじの貰いまっ!!」
まぁ
なにはともあれ
ちべたい日本酒で
酒ゴング
「師匠 なんかツマンではりますか?」
「ワシ粋やからなぁ あんまりツマミとらへ」
「いつまで言うてんねん!! 僕 腹減りましたわ」
「ほなら 里芋煮でも」
「すいませーん すき焼き風とキュウリ竹輪下さーい」
「野暮だねぇ~」
「使い方間違ってまっせ」
「師匠 ココ雰囲気最高ですね」
「酒だけやなしに この店が酔わせてくれるなぁ」
「・・・そうですね」
「見てみぃ お客さん みんな笑ろてるわ」
「・・・あそこの1人で呑んでる人 笑ってないですよ」
「ここに来たら 総理大臣も日雇い労働者も関係ない」
「・・・どっかで聞いたようなこと 言おうとしてませんか?」
「酒を前にしたら 立場や上下関係なんかなくなるんじゃーー!!」
「・・・師匠 後ろ社長室ですよ」
「反射的に 媚へつらっとるがなっ!!」
「あっ!! 無意識にっ!!」
「どんだけ 太鼓持ち染み付いてるんすかっ!!」
「ワシの指 ゴマすり過ぎて指紋なくなってもうてん」
「凄いすねっ!!」
「でも そのおかげでな」
「出世したんすか?」
「来月から 係長代理補佐見習いの研修受けれんねん」
「ヒラ社員やないかいっ!!」
「売れたでーー!!」
「師匠・・・ 僕ら周りのお客さんから 変な目で見られてますね・・・」
「東京ちゅうの忘れとったわ・・・」
「どないします・・・?」
「・・・2軒目いこか」
二人共
関西人特有の
声のデカさを発揮しすぎてしまい
恥ず恥ずとお会計をし
2軒目に
東京に
長い間住んでいて
神田は庭
と豪語する師匠に
店のチョイスはお任せする
「ココやココや」
「渋いっすねぇ」
「お前 この店ではさっきみたいに騒がしくすんなよ」
「お互い様でしょ」
「粋を忘れんなよ」
「・・・」
あい津
ココも
僕が来たかったお店
流石
師匠の酒場ナビだ
店内は
カウンターと
テーブルが2つの
こじんまりとした空間
全体的な飴色と
マスターの優しそうな雰囲気も相まって
メニューに
癒し0円
とないか探してしまう
新潟
市島酒造の夢で仕切り直し
「師匠 おツマミどうします?」
「任しとけ」
栃尾揚げとマグロのヅケ
栃尾揚げは
味噌を塗って焼かれており
ヅケは特製ごまダレで仕上げてあり
どちらも
初めて食べる美味しさだ
「師匠 めちゃめちゃ美味しいですね」
「せやろ マスターのセンスと愛情を感じるやろ」
「ホンマですね おツマミもお酒も最高っス!!」
「心地ええなぁ・・・」
「はい!!」
「酒は心の香水みたいなもんやな」
「・・・え?」
「酒というんは人の顔を見いひんもんな 貧乏人も金持ちも同じように酔わせてくれるやん」
「・・・へ?」
「世の中に下戸のたてたる蔵もなし・・・ か」
「師匠!! 何言うてるんすか!?」
「あ・・・ ワシだいぶ酔うたわ」
「マジすか!!」
「そろそろ お開きにしよか」
「僕 もっと呑みたいっすわー」
「まぁまぁまぁ 粋なシメ食って帰ろうや」
「・・・粋なシメ??」
「師匠 これは・・・?」
「煮麺や」
「にゅうめん!!」
「どや 久しく食うてへんやろ?」
「たしかに」
「子供っぽい ラーメンでもない」
「はい」
「カッコつけすぎた もりそばでもない」
「はい」
「この 煮麺っていうラインが粋や思わんか?」
「めっちゃ納得してるわけではないですが 師匠は粋ですっ!!」
「苦しゅうない苦しゅうない」
「師匠 にゅうめん旨いっス!!」
「・・・ひとつ教えといたろか」
「何でしょうか?」
「粋っていうのはなぁ 満足させすぎひんってことや」
「・・・」
「この わびさびは お前にはまだわからんか・・・」
「勉強します!! 師匠ご指導ご鞭撻宜しくお願い致します!!」
「あはは 愉快愉快」
あい津を後にした
「師匠 今日はご馳走様でした」
「・・・」
「大切なお言葉沢山頂いて 有難う御座いました」
「・・・」
「明日から 粋を心がけ鍛錬に次ぐ鍛錬を・・・」
「・・・」
「・・・師匠 如何なされましたか??」
「・・・ちょっとだけ」
「えっ?」
「ちょっとだけ・・・」
「えっ? えっ?」
「へー 立派なメニューやなぁ」
「えっ? えっ?? えっ???」
「いや 師匠ホッピーすかっ??」
「チーズせんべいに もつ焼きに 餃子2人前て!!」
「焼きビーフンも食うんかーーい!!」
「ふう 満足満足」
「欲望に負けすぎやないですか!!」
「麻婆豆腐とライスも追加するけ?」
「どこが粋やねんっ!!」
「酒に感謝せなあかんな」
「はい??」
「酒が罪を着てくれるおかげで 人間が救われるんや」
「はあ??」
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鶴亀(つるかめ)
住所: | 東京都千代田区内神田3-21-2 |
---|---|
TEL: | 03-3251-0552 |
営業時間: | [月~金] 16:00~24:00 [土] 16:00~22:00 |
定休日: | 日曜日、祝祭日 |