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高円寺「七面鳥」 オムレツライスの行方

東京も長いこと住んでいるが、どこで狂ったのだろうか、気づけば「関西人」ばかりと”つるんで”いる。
東京のド真ん中で何人かと遊んでいて、ふと自分以外が関西人であることなど日常茶飯事。

 最近では、確実に標準語より関西弁の方が耳馴染んでいるのだが、この関西弁で未だに”不思議”で仕方がない言い回し方がある。

 

『知らんけど』

 

 会話の前後に、まあまあの出現率で「知らんけど」を付けるのだが、一体これは何の為に使っているのかがよくわからない。

関西出身の酒場ナビメンバー「イカ」と「カリスマジュンヤ」も例外ではない。

 

『知らんけど、そうなんちゃう?』

 

 これは何となくだが理解できる。”ほんとはどうか分からないけど、きっとそうだと思う”という事なのだろうが、会話の頭に言う「知らんけど」はかなり強めに言う傾向がある。免罪符的な意味で先に強めに言うのであろうか。

 

『そうやと思うで。 知らんけど』

 

これが理解し難い。
 自分の結論で話を終わらせているのにも関わらず、突然、”実はわからない”と追加で言われたら「どっち!?」ってなってしまう。

 

少なくとも、東北出身の私が知ってる方言や言い回し方に、これと当てはまるものはない。
関西人のイメージだと、グイグイ意見を言いきってしまいそうな感じもするのだが、なぜ、このような言い回しが一般的となったのか…、 不思議だ。

 

先日、そんな関西出身のイカが、

「高円寺の”七面鳥”、そろそろ店辞めるんちゃう。 知らんけど」

と、見事なまでの”知らんけど”を呟いた。しかも、別日にもう一回言っていた。

 

確かに、高円寺を代表する古い店。建物の耐久性の事も考えれば怪しいところだし、店主も恐らくかなりの高齢。
酒場ナビの”サカバー”が予言するのだからと、念のために訪問しておくことにした。

 

 

 

 

 

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久しぶりの「七面鳥」。さすがの迫力。

だが、いつ入口に”永い間、ありがとうございました”と張り紙が貼られていても不思議ではない。

 

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私は、張り紙が貼られていないことを確認して中に入った。

 

「いらっしゃいませ!!」

 

この佇まいとは裏腹に、威勢のよい声。
客は数名。私はコの字カウンターの厨房に近い奥の席へ座る。

 

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 何を食べようかと、壁掛けの短冊の中から目に留まったのが「オムレツライス」であった。
オムレツライス? ああ、オムライスのことか。そういえば大量にある酒場写真の中に「ビールとオムレツ」なんてなかったはず。
ここに来れるのは最期かもしれない…、 いやそんなことはないが頼んでみるか。

 

「オムレツライスいっちょう!!」

 

先ほどの若大将が威勢よく厨房へ声をかける。
ラジオのボリュームがガンガンに響いている厨房には、店主と女将が所狭しと中華鍋を振り、盛り付けを勤しんでいる。

 

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「おまちどうさま~」と次々に厨房から出てくる料理はどれもこれも旨そうだ。

 

 

私「ビールください」

若大将「えぇ、どうぞ」

 

どうぞ?
そうか、ここでビールを飲むには入口にある冷蔵庫から自分でビール取りに行かなければならないのだ。

 

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同じ冷蔵庫には色々な形のグラスも冷やされており、何だか友達の家に泊まりに来て、これから家飲みでもするような感覚に陥る。

 

私「お~い、グラス借りるぜー?」

…などの茶番劇はせず、適当にビールとグラスを持って席へ戻る。

 

 

 

女将「オムレツライスおまたせしました~」

この女将もすごく若々しい。
私がビールをコップから溢れさせてしまい、慌てていると直ぐに布巾で拭いてくれるという瞬発力も抜群だ。
店主もあの重い中華鍋をバンバン振ってるし、もしかしてこのおじいちゃまと腕相撲をしたら負けてしまうのではないだろうか。

 

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そしてこのフルセット。

卵はいい具合に半熟で、割ると堅さの丁度いいチキンライスが、満を持して登場する。

 

 

 ケチャップと卵とチキンライスをスプーンで掬って口へと放り込み、ビールでゴクリ。
子供が食べるものだとばかり思っていたオムライスが、こんなにビールと合うとは露知らず。
よかったな、子供の頃の私よ。楽しみは後に取っておくものだな。

 

食べていて気付いたのだが、コの字カウンターのテーブル部分はかなり綺麗だ。
割と最近に新しくしたのであろう、まだまだ店は続ける意気込みを感じた。

 

 

 

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にわかに、

緩やかな時間が流れる。

 

厨房ではAMラジオと鍋を振る音。

 

客間には夕方のニュースが流れるテレビ。

 

 テーブル席ではカップルが天津丼をつつきながら愛を語り合い、常連客達はまるで自分の家に帰ってきたように冷蔵庫からビールを取り出しては席で新聞を読む。
そして帰りは「七面鳥」の家族みんなで、気持ちよく送りだしてくれるのである。

 

店主と女将と、このお店。

失礼ながら見た目にどれも年期はあるものの、それはこの緩やかな時間を刻んできた証。

いつもの光景はこれからも変わらず続き、当分このオムレツライスの味を失うことはないのだ。

知らんけど。

 

 

 

 

 

 

 

うーん、

 

 

 

 

 

使い方、正しい?

 

 

 

七面鳥

ジャンル: 中華料理、定食・食堂、中華麺
最寄り駅: JR高円寺駅 徒歩5分
住所: 東京都杉並区高円寺南4-4-15
TEL: 03-3311-5027
営業時間: 11;30~15:00 / 17:30~21:00
定休日:土曜日 ただし、ごくたまに日曜日も連休にする場合あり

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投稿者プロフィール
2016-11-30-11-56-03
【出身地】
秋田県秋田市
【オススメの酒場】
信濃路(鴬谷)
【お気に入りの酒】
焼酎紅茶割り
【個人SNS】
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