新橋「ニュー ニコニコ」 サラリーマン達の詩

20160805_154023_413

20160805_150304_338

20160805_150253_648

2016-08-07-13-42-09

2016-08-07-13-42-25

2016-08-07-13-42-45

2016-08-07-13-41-33

 

 

 

久しぶりの新橋。
夜には何度も来たことはあるが、昼に新橋を訪れるのは初めてかもしれない。
勿論、この日も酒場探しである。

 

しかしこの日は暑かった。
どうやら高温注意報も発令されていたようで1時間ほど徘徊した後、これは危険と思い新橋のシンボル「ニュー新橋ビル」に逃げ込んだ。
冷気に誘われ、地下へ地下へと潜る。

 

地下に潜るとそこは酒場街。
へえ、こんな地下に結構な数の酒場があるなと思いつつも、時間的に殆どの店が準備中であった。
そして、ある一角に差し掛かると私は足を止めた。

 

「二ユー ニコニコ」

と、記された看板と暖簾。
どんだけ「-」が多い名前だよ。でも、なんか可愛らしい名前だ。

店を覗くと、どうやらこの時間でも営業中のようだ。
これも何かの縁だし、私はこの店に入ることにした。

 

「いらっしゃませ~」

店へ入るなり、女将が店名と同じく「ニコニコ」しながら出迎えてくれた。なるほど、ここは笑顔を売りにしているのか。
店内はすべてテーブル席で、小さな座敷もある。

「食事にしますか?お飲みになりますか?」と丁寧に確認されたので、私はビールを頼むことに。
まずは女将の笑顔に乾杯する。

店内は私以外に老夫婦の二人と、座敷席にサラリーマン風の紳士二人が酒を飲んでいる。
老夫婦はいいとして、この街のサラリーマンは仕事中であろう時間にスーツのまま酒を飲んでる光景をよく目にした。
ここのサラリーマン達も「カキフライくださーい」と女将を呼び、また宴を続ける。

私には「煮込み」が届けられる。
女将が「すごい熱いから気をつけてね」と言い、器を触ってみると確かにチンチンに熱されている。女将はよくこれを素手でここまで持ってこれたなと思ったが、肉も柔らかく味は良かった。

はんぺん好きの私は「焼きはんぺん」を頼んだ。このはんぺんには「味付け海苔」が挟まれており、これが見栄えも良いし海苔を咬ませるだけで一味違ってとても旨かった。

 

「だからお前は駄目なんだよ!!」

 

店内が一瞬、静まり返った。

何事か、と声の主を探すと先ほどのサラリーマン風の紳士二人のひとりが発したものだった。
どうやらこの二人、上司と部下の関係で上司の説教が始まったようだ。
しかしこの上司と部下、部下の方が上司より確実に年上であろう。そして怒鳴られた部下は”いかにも”仕事が出来なさそうな容姿である。

 

上司「俺はお前がミスってんの報告しなかったこと知ってるんだぞ!?」

部下「…」

上司「適当なことやってるんじゃねえよ!!」

部下「…」

 

部下は下を向いたまま何も発しない。

 

上司「数字あげる前にやることあんだろ!?」

部下「…すみません」

上司「謝らなくていいよ!!」

部下「…」

女将「カキフライお待ちどうさま~」

 

先ほど頼んでいたカキフライを女将が会話を割って持ってくる。

 

上司「…お前もソースかけて食べろよ」

部下「…(無言でソースをかける)」

上司「…」

静まり返った店内では、上司の食べるカキフライの音だけが響く。

 

私は既にお腹一杯だったのだが、この様子をまだ見たかったのでレモンサワーと「きんぴら」を追加注文した。
このきんぴらも細切りで食べやすかったのだが、正直この二人に夢中だったので味は覚えていない。

 

上司「…トイレ行ってくる」

部下「…はい」

ここの店のトイレは、店の外にあるようで上司は店を出た。
部下は下を向いたまま、全く動かない。そして、

 

「ドンッ!!」

 

私も女将も老夫婦もビクッとなった。

部下が”テーブルドン”をしたのだ。ここに来て部下の我慢が爆発。これは上司がトイレから戻ったら修羅場になるなと、誰もがそう予感した。

来た、上司が戻って来た。

 

上司「…」

部下「…」

 

この状態が10分程続く。
おいおい、部下は何もやり返さないじゃねえかよ。

 

私はこのまま帰る訳にもいかず、レモンサワーをさらに注文する羽目に。
こうなったら私が酔い潰れるか、部下がやり返すまでかの根競べだ。

 

上司「…もう帰れよ」

部下と私「…え?」

 

さすがに痺れを切らしたのか、上司が部下へ帰れと言い放った。

 

上司「もうお前の顔なんか見たくないから帰れよ」

部下「…」

上司「帰れって!!」

部下「……お疲れさまでした」

 

部下は軽く頭を下げ、鞄を抱えながら店を後にした。泣いていたかもしれない。

「まいどあり~」とそれでも女将はニコニコしながら部下を送った。

 

上司を見ると、今度は上司がうつむいたまま全く動かない。
どうするのだ上司よ。

 

そのまま5分程経っただろうか。
上司は携帯電話を取り出し、電話をかけた始めた。
誰にかけているのかはもうお分かりだろう、電話が繋がる。

 

 

上司「本当に帰るなバカッ!!」

 

 

 

 

 

日本を支えるサラリーマンの聖地、ここ新橋。
今も昔も、多くのサラリーマン達がこうやって物語を酒場に刻んできたのだ。

私はニヤニヤ…いや、ニコニコしながら店を後にした。

 

「まいどあり~」

 

 

 

ニュー ニコニコ

ジャンル: 居酒屋、定食・食堂
最寄り駅: 新橋駅から83m
住所: 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル B1F
TEL: 03-3501-6667
営業時間: [月~金] 11:30~22:00 [土] 11:30~19:00
定休日: 日曜日・祝日

この記事のブックマークをお願いします
投稿者プロフィール
2016-11-30-11-56-03
【出身地】
秋田県秋田市
【オススメの酒場】
信濃路(鴬谷)
【お気に入りの酒】
焼酎紅茶割り
【個人SNS】
最新の投稿
はしご酒しませんか?

ランキング