大和「鳥清」O型な人にみる酒場での行動傾向
血液型の『O型』というと、どんなイメージであろうか。
〝血液型にイメージなんかあるか、この占いオカマ野郎!!〟と思う読者もいるとは思うが、よく言われるのは〝おおらか〟というイメージではないだろうか。
かく言う私も『O型』だ。しかも酒場ナビのように〝濃い目〟である。
幼少期より自分でも気づいていたが、〝感覚で生きている〟だったり、〝失敗しても気にしない〟などの『O型的な思い出』は多々あるが、その中で今も尚、O型の〝最大の長所〟であり〝最大の短所〟である特徴で失敗することがある。
それが、
《大雑把》
である。
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『大和駅』
初めて訪れる町とはいいものだ。さらに、そこで初めて行く酒場があるとなれば尚のこと。
駅を降りると、まず目の前に〝存在感〟たっぷりの『南店街』がお出迎えをしてくれるのだ。
時間が早かった為か、店は殆どやっていなかったものの《バキバキ》のトタンアーケード街は風情がある。
「猫先輩、ここらでいい酒場はあるかい?」
「……知らにゃーよ」
初めての町を散策しながらも、本来の目的である酒場へと向かった。
「あれ……? ここか?」
『鳥清』
──ここへ来た理由。
たまたま友人に教えてもらった『鳥清』という〝渋い〟酒場を目指してこの『大和駅』まで来たのだったが……
なんだか……
〝渋い〟どころか〝綺麗〟なのである。
おかしいな……本当にここで合ってるのか……?
友人は『駅を出てすぐだから』と言っていたから、ここだとは思うが……
そんなことを思いつつも、まずここに来て得意の『O型』モードが発動する。
〝ま、いっか〟
店先の提灯にはでかでかと〝鳥清〟と書いているし、実は中に入ると〝渋い内観〟になってるのだろうと、あまり気にせず《暖簾引き》をして中へと入った。
「いらっしゃいませー」
店内は広々としており、造りにもこだわりを感じる……が、
うーん……
やはり、〝綺麗〟なのである。
しかも、人気店と聞いていたが客は私だけである。
おかしいな……本当に、本当にここで合ってるのか……?
さすがに不安がよぎる。
あ! そうだ!
知人の話だとここには〝名物メニュー〟があったはずだ!
ここ『鳥清』には、名物メニューがあるらしく、それが……
「あ! ちゃんと『若鶏の蒸し焼き』あるじゃーん!」
『若鶏の蒸し焼き』という名物料理の存在に一安心。
〝よかった、やっぱここじゃん〟
これにより、完全にここが目的であった『鳥清』だと信用しきった私は、すぐにその蒸し焼きの『鳥もも』と酎ハイを注文する。
よく言えば〝合理的〟であり、悪く言えば〝単純〟な『O型』が、ここでも現れるのだ。
『鳥もも』
デカいッ!!
バムリと腿塊にかぶりつくと、パリピと音を立てて皮が破れ、中からじゅんわりとした肉汁が口腔をめぐる。焼いたような、揚げたような、その中間の噛み応えも食欲を掻き立て、このデカさにも関わらずあっという間に骨だけにしたのだ。
せっかく遠くからここまで来たのだからと、なんとなく目についたオススメの『かぶと焼き』という料理も注文したのだが……
『かぶと焼き』
これもデカ──いッ!!
が、
〝……まぁ、多分食えるだろ〟
今年で39歳になった私は、一番〝老い〟を感じる瞬間というのが、なんといっても〝食欲の減退〟である。それならなお更なのだが、やはり『O型』であることによって、店員に〝どれくらいの量なのか〟や〝どんなものなのか〟をまった確認しない事で後悔することも多々、ある。
しかしながらこれもオススメとあるだけに、先ほどのものとは違い、どっしりとした肉厚の身にあっさりとした淡味が酒を飲ませる。好みで塩をパラつかせて食べるのも《ヤキトラー》としても十分満足できる一品である。
「あ”ー、もう食えねぇ」
中年手前には堪える量だったが、なんとか食べ終え〝大満腹〟で店を出ることができた。
まあしかし、名物料理というだけあり味のほうも大満足であったので、ま、いっか。
この日、『大和駅』にあるお目当ての酒場はここだけだったので、店を出た後に駅へ向かった。
そして2、3分歩いたくらいだったろうか、突如として〝渋~い〟店構えの酒場が現れた。
「ありゃ!? ここめっちゃいいじゃん!!」
満腹とはいえ、《サカバー》としてこんな外観を見せられて黙っているわけにはいかない。
次回への《宿題》とするにしても、とりあえず近くに寄り、店の名前を確にん……
フムフム、
『鳥清』ね、
とりせい……
とり……
……は?
いやいや、……えっ
一瞬、本当になんのことだか理解できなかった。なんたって、『鳥清』とは先ほど行ってきたばかりの満腹酒場だったからだ。
──ちょっと待て、
ここにきて、やっと友人に確認のLINEをしたのだ。
おいおい……今更そんな重要な説明をいうのかね……まぁ、私も《大雑把》にしか聞かなかったのも悪いのだが。
因みに、この友人もやはり『O型』である。
つまるところ、先ほどの『鳥清』は〝はなれ〟であり、こちらが〝本店〟だったのだ。「っざけんなよ!!」と怒り心頭となる人もいるかと思うが、もちろんここでも『O型』の私は、
「ま、いっか。入ってみよう」
と、さっきまでの〝色々〟は、すべてクリアされ、店の中へと入っていったのだ。
アッハ────ンッ!!
渋いッ!!
これこれ、これが〝欲しかった〟んだよ。
色褪せた焦げ茶色が中心の店内。
薄っすらと漂う鶏を焼く煙と香ばしい匂い。
ちゃんと、先輩らもいる。
間違って〝はなれ〟に行ってしまった? ハハッ、そんなもん、今がイイんだからイイんだよ、とばかりに、私は『鳥清本店』の店内を愉しむのだ。
さーて、何を食べようか……
あ! いけね! もう満腹だったんだ! デュフフッ
などと、『O型』みたいに単純なことしつつも、現実は本当に満腹なのである。
はて、どうしたものか……と、一応メニューに目を通すと、やはり名物料理である『若鶏の蒸し焼き』に目が留まる。
〝絶対に食えない……でも〟
《大雑把》や《おおらか》ばかりが目立つ『O型』で、実は好きなことに関してはだけはとてつもなく《こだわる性格》の性分でもあるのだ。
サカバーとして、その店の名物を食べないってのはどうなのか……? と、思ってしまったらそこはやはり《こだわる》のだ。
「す、すんません……蒸し焼きの、鳥もも……くださいっ!!」
表情を見れば分かる通り、もう胃袋に入る隙間など1nanoもないナノだ。だが、どうしても注文せずにはいられないナノだ。
『鳥もも(本日2回目)』
やっぱし……デっげーなぁっ!!
ンだけど、ンまいッ!!
〝はなれ〟のものと、さほど変わりはないのだが、調理している機器の年季の違いなのか、〝鶏風味〟がわずかに違うように感じる。パリッとした歯ざわりから鶏油の香味がホンワリと口腔に伝わり、後から滴る大胆かつインパクトのある肉汁が満腹感を忘れさせる程だ。
「……うーむ、これだけウマけりゃ他のも食えそうな気がする」
単純だ、実に単純である。
すっかり気をよくした『O型』胃袋は、事もあろうに、さらに『焼鳥』まで注文してしまう始末。胃袋はとうに限界に達しているはずなのだが……
『焼鳥』
何の3本だったっけなぁ……ま、いっか。
ただこれはしっかりと覚えている。あっさり目のタレが〝口直し〟として抜群によかった。それをカリリと仕上げられた焼身が、舌に絶妙かつ舌妙に絡み……
この〝武者ぶりつき〟具合を見ていただければ、読者諸氏の想像で罷り通ずるはずである。
だがしかし、
そんな《大雑把》なことをしてばかりいると、積もり積もってこうなる。
『も、もう無理……うっ」
この後、1時間かけてなんとか……なんとか食べきることが出来た。
……なぜこんな注文の仕方をしたのか、我ながら未だに理解できない──。
無計画、
無鉄砲、
失敗しても成功しても〝ま、いっか〟
そして、《大雑把》
でも私は、そんな『O型』が好きである。
なんなら、生まれ変わっても『O型』で生まれてきたい。
そんな感じもまた、『O型』なのかもしれないのだが……
この記事をニヤニヤと読んでいたあなた。
さては、『O型』だろ?
鳥清(とりせい)
住所: | 神奈川県大和市大和南1-4-6 |
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TEL: | 046-264-2853 |
営業時間: | 16:00-23:00 |
定休日: | 祝日 |