お世話になっている酒場の

アルバイトの女の子が実家に帰るという

 

餞別というわけでもないが

今までのお礼に

何か差し上げればと・・・

 

 

 

 

 

何をっ？？

 

 

 

 

二十歳そこそこの女性に

プレゼントする物など

想像できないぞ

 

日用品・・・？

コスメ用品・・・？

ワイン・・・？

高級缶詰・・・？

 

 

むう・・・

 

 

喜んでもらえる自信がない

 

自分じゃ絶対買わないモノがいいわよ

なんて誰かが言ってたっけ

 

 

 

むむう・・・

 

 

 

もう自己満足でいいやっ！！

 

 

 

アレなら

ご迷惑ではないだろう

 

 

 

 

飲食店の酒類提供が禁止になる

なんて噂が流れ始めた４月下旬

 

合羽橋にやってきた

 

用事は二つある

 

 

 

 

ひとつは

件の女の子への

贈り物を購入すること

 

 

 

 

 

食品サンプルはどうだっ！！

 

 

 

 

 

こんなモノ自ら買う

女の子はいないだろう

 

そして

その酒場は蕎麦も提供している

 

ならば

蕎麦麺リフトのヤツで

ご機嫌を伺ってやろうじゃないか

 

 

 

 

「あはは　ありがとうございます」

 

 

結果

ちょっとウケたぞ

 

よかったよかった

 

 

 

 

もう一つは

せっかくこの界隈まで来たんだ

 

アソコで呑らせて頂こう

 

 

 

 

出たっ！！

 

ときわ食堂っ！！

 

 

東京ときわ会

の中でも

屈指のレトロ感を醸し出す食堂

 

 

ここに来るのは

十年ぶりぐらいか・・・

 

 

変わらずの外観に

安堵している僕がいる

 

 

 

 

こちらにも

食品サンプルが

 

僕と

購入先は同じなのかしらん

 

 

 

 

中の雰囲気も同じくで嬉しい

 

ん？

 

昔はペコちゃんは

いらっしゃらなかったような

 

 

 

 

有線もテレビもラジオも

鳴ってない

 

 

聞こえるのは

振り子時計の音だけ

 

 

王子「山田屋」

しかり最高の

酒場BGMだ

 

 

 

 

そうだった

 

働かれてるのは

女性ばっかりだった

 

東向島「岩金」もそうだったが

コッチも素敵な

大衆ガールズバーだな

 

 

 

 

大衆食堂疑問あるある

 

ハムエッグと目玉焼きの

値段が一緒なのは何故だろう

 

正解は

目玉焼きは玉子２個

ハムエッグは玉子１個

というからくりだよ

 

 

 

 

お姉サマに

大瓶ロクサンサンと

そのハムエッグをお願いした

 

 

おんやっ？？

 

 

 

 

お通しのキンピラを

マヨネーズ付きで頂けた

 

 

斬新だな・・・

 

 

 

 

やはり

玉子１個のハムエッグが登場

 

今日は

醤油一本鎗の味付けを変えてみるか

 

 

 

 

漫画美味しんぼの

国際目玉焼き会議の回で

大原社主が

七味唐辛子をかけて食べていたな

 

 

やってみよう・・・

 

 

 

 

ダメだっ！！

 

なんの旨味も感じないっ！！

 

 

 

やっぱり醤油をかけよう

 

 

究極のグルメを作成してる会社のトップが

なんて陳腐な味覚をしてるうだろうか

 

 

 

 

敷かれていた

キャベセンにマヨネを付けて

 

 

お姉サマ

こういうことであってますよね

 

 

 

 

もう一品欲しいな

 

シューマイって手作りかな・・・

鮭フライって随分食べてないぞ・・・

サバみそ煮もそうだな・・・

 

などと

メニューとにらめっこしていると

救世主が現れた

 

 

 

「すいませーん　出来てますかー？」

 

 

 

 

一人の男性が入ってこられた

 

 

「ちょっと早かったですか？」

「あー　いえいえ　出来てますよー」

「よかった」

「はいー　銀ダラ１０人前持ち帰りね」

「ありがとうございます」

 

 

 

１０人前だと・・・

今から銀ダラパーティーか・・・？

一人で爆食いか・・・？

 

どちらにしろ

 

男性に

教えられたことには違いない

 

 

 

「お姉サマ・・・」

「あら嬉しい　オネエサマだなんて」

「銀ダラってまだありますか・・・？」

「ちょっと待ってね」

「・・・」

「銀ダラまだあるーーー？」

「・・・」

「ありますよ」

「お願いしますっ！！　ぬる燗もっ！！」

 

 

 

 

旨そうだ

 

 

お告げ

を頂いた銀ダラ

 

 

 

 

丁度いい茶色具合

 

煮汁がシュンデるぞ

 

ほぐして口中へ・・・

 

 

 

 

旨いっ！！

 

コッテリとして濃厚っ！！

 

 

煮魚ってヤツは

サバにしてもブリにしても

パサッと感が出てしまう

 

銀ダラだけは

それを感じさせない

トゥルットゥルの仕上がりになる

 

 

脂っこくなった口に

日本酒を

ツイッーーーッ

 

 

 

 

至福極まりない・・・

 

 

本日も有難う御座います・・・

 

 

酒場の神様

 

 

 

 

明治時代に

牛スジの肉豆腐をご飯にぶっかけた

牛めし

を出す店としてスタートしたらしい

ときわ食堂総本店

 

浅草ときわの２代目が

２８歳で経営者

というキャッチコピーで料理人を募集し

暖簾分けを広げていき

合羽橋店もその一つ

 

古い食堂でよく耳にするのが

東京都指定民生食堂

という言葉

 

東京都指定民生食堂ってなんぞや？

 

分かりやすく言うと

災害などの非常時に

炊き出し

を出してほしいと

都が指定した食堂のこと

 

やはり

合羽橋店もその一つ

 

 

銀ダラの雑炊

なんかが振舞われたりしないかな・・・

 

 

何を考えてる・・・

 

 

炊き出しが無いコトを願おう

 

 

 

 

ジョンレノンオノヨーコ夫妻

を彷彿とさせるお二人は

静かに杯を傾ける

 

 

 

 

細木数子感のマダムは器用に

電話しながら

スポーツ新聞を読みながら

玉子丼を召し上がっている

 

 

皆様ご近所の常連さんだろうな

 

 

ずっと見ていたい癒される風景だが

 

 

混んできた

 

 

野暮はせず

 

 

諸先輩方に席を譲ろう

 

 

ごちそうさまでした

 

 

 

 

因みに・・・

 

 

先日久々に

食品サンプルを渡した酒場に

顔を出してみたところ

 

 

 

 

彼女

持って帰るの忘れて

実家に戻ったとのことだった

 

 

迷惑だったかな

 

 

 

 

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