平野「いぬい」これが大阪平野の串カツやっ!!
今から25年前
高校を卒業した僕は
とある街で一人暮らしをすることになった
その街は
お寺が多く
静かな雰囲気を醸し出す一方
パチンコ屋 大衆食堂 大衆酒場 スナック
がひしめき合い
特殊な先輩方も多く
18歳の少年には
その独特な雰囲気に慣れるのに
少々時間がかかった
しかし住めば都
程なくして
ディープな肉屋さんの店頭で焼いてる
フワの串を買えるようになり
きちゃない食堂の
酔っ払った特殊先輩の隣で
他人丼ときざみうどんを食べれるようになり
ランチをやってる不気味なスナックで
女か男かわからないママさんの作る
焼きうどん定食を食べれるようになり
その街に
だんだん馴染んでいった
当時は
お酒を呑んでないので
酒場
というモノに
興味を示すことはなかったのだが
気になることが一つだけあった
それは
串かつ どて焼き
と書かれた看板 暖簾の店が
異常に多いのだ
その年まで
串かつを食べたことのない
僕にしてみたら
食
のほうで気になってしょうがない
その街の
住人になりつつあった僕は
ある日
怖々バキバキの串かつ屋に
一人で飛び込み
生まれて初めての
串かつどて焼きを頬張り
ウーロン茶で流し込んだのを
今でも覚えている・・・
その街が大阪の
平野
という場所だ
鶴瓶師匠や久本雅美さんを生んだ
大阪の下町
地下鉄谷町線でいうと
読めない駅名で有名な
喜連瓜破(きれうりわり)
のお隣だ
先日
味論と関西酒場巡りにいった際
僕のワガママで
「どうしても あの店いきたいっ!!」
と ダダをこね
僕が串かつ童貞を捨てた
思い出の場所に
同行してもらった
いぬい
記憶が曖昧だが
看板は綺麗になったような・・・
ただ
暖簾はあの時のままな気がする
どうあれ
ゾクゾクする店構えには
変わりはない
串かつの
つ
の部分を暖簾引きして
20数年ぶりの
いぬい入った
うわっ!!
店内は
L字カウンターと
奥にはテーブルもあり
バキバキの雰囲気だが
何より圧倒されたのは
串かつの
タネ
の品揃えだ
定番の
食材は勿論のこと
太刀魚に
ハモに
キビナゴに
うなぎ
ブドウなんて
悪ふざけかっ!!
と 思わされるヤツまでいやがる
見たらんかいっ!!
とばかりに
これだけの種類を並べられたら
圧倒的
だっ!!
酒場百景
の一つに加えよう・・・
カウンターに陣取り
とりあえず
酎ハイとどて焼きで一息
60円のどてが
あもうて
旨い!!
20数年ぶりに
マスターとご対面
正直
ほぼ当時の記憶はないが
お元気そうでなによりだ
優しそうなマスターの雰囲気に甘えて
話しかけてみた
「マスター 僕 20数年ぶりに来たんですよー」
するとマスターは
ひふみんの様な喋り方で
「おお~ 覚えてるで~ ちょっと痩せたか~?」
店内大爆笑!!
流石
鶴瓶師匠を輩出した街やなぁ
「昔から こんなに品数ありましたっけ?」
「お客さんのお願い聞いてたら 増えてもうて~ん」
あっ!!
好きな言葉聞けたっ!!
出汁に浸かった
豆腐も美味そうだが
ここで串かつを頼まないなんて
ピョンチャンにいって
オリンピックをテレビ観戦してるようなモノ
本場の串かつ初体験の
味論にチョイスを任してみた
「そだね~ 選ぶの難しいっぺよ~」
と 味論が迷っていると
カウンターの隣に座る
桐谷健太似の常連の男性が
「お父ちゃーん ナスときびなご揚げてー」
と 注文された
マスターのことを
お父ちゃん
と 呼ぶこの感じ・・・
関西やなぁ・・・
なんて思っていると
間髪入れずに味論が
「お父ちゃ~ん ナスときびなごくれっぺよ~」
と ブッコみやがった
ゴリゴリの
いぬい初心者が
いきなりお父ちゃん・・・
しかも
隣の人と同じチョイスをするという
店内の空気が一瞬止まる・・・
時間にして1秒ぐらいだろうが
めちゃくちゃ長く感じた・・・
その空気を
桐谷健太が
「いや 真似すんのかーい!!」
の 一言で救ってくれた
ふぅ・・・
助かった・・・
味論って頭おかしい・・・
なすび60円
内側だけに衣をつける
演出がニクい
かぶりつくと
激熱のナス汁が口いっぱいに広がり
火傷しそうになる
「はふいへろっ ほへっ ふはひっぺよー」
熱さと秋田訛りで
何を言ってるかは理解できないが
味論は
上手に童貞を捨てれたみたいだ
きびなご200円
鯉のぼりのごたる
縦に並んだコイツラらが可愛い
味論が欲張って
ソースをジャブジャブに付けていると
きびなご達が串から外れて
ソースの中で
まさに 面白そうに泳ぎだした
「お父ちゃん あわわ すまんっぺよ~」
と 味論が縮み上がっていると
マスターは
「かめへんで~ そいつらが取れた海も そんな色しとったから~」
店内大爆笑
「キャベツで助けてあげてんか~」
助けてて
オモロッ
大タコ300円
これは衣をつけずに
素揚げに塩コショーで提供される
タコ自体の旨みが凄い!!
「お父ちゃん これ明石のタコっぺか?」
と 聞く味論に
「種類なんか知ら~ん ノラダコや~」
「ノラダコ??」
「タコの雑種や~」
お父ちゃん・・・
素敵すぎます・・・
隣の
桐谷健太が
「大タコいって 大エビいかへんのかいな?」
と 味論を煽る
「大エビっぺかよ~」
「そんなん甲子園いって 売店横のモニターで野球みるようなもんやで」
「ズラー ズラぜよー」
「通天閣いって 卓球だけして帰るようなもんやで」
「お父ちゃん!! 大エビ揚げてっペよーー!!」
大エビ
この店で一番高い
650円
写真では伝わりづらいが
めちゃめちゃデカイ
「うんめぇっぺよーーー」
と 叫ぶ味論に
桐谷健太が
「教えといたるわ 60円の普通のエビ5本頼んだほうが得やで」
「・・・ ぺよっーーー!!」
西成のやまきでもそうだったが
味論は先輩方にイジられる
体質のようだ・・・
桐谷健太が
「お父ちゃーん シューマイでアレやってー」
と いかにも常連なセリフを放った
見ると
素揚げしたシューマイの串を
湯豆腐の出汁に浸けている
この発想・・・
以前
でやった
松本さんの天ぷらの食べ方とさも似たり
「お父ちゃん オラにも それくれっぺよー」
と またも味論が
ツマミ泥棒をやりやがった
「おまち~ ようシュンでるでぇ~」
いい感じに
シューマイの皮に
出汁が染みてて旨そうだ
味論が一口・・・
「こっただジュクジュクだったら 素揚げせんでもよかっぺなぁ~」
また店内の空気が止まる・・・
味論は
確実にアタマおかしい・・・
そして
僕が どうしても気になっていたのが
ブドウ
果物を揚げて
美味しいのだろうか・・・?
恐る恐る一口・・・
うん 旨い!!
甘い果汁が広がり
爽快感を与えてくれる
こってりしたモノが続いてる時に
串休め
に ちょうどええ
「マスター ブドウ美味しいですっ!!」
と 告げると
「こんなんが~? お兄ちゃん 口がアホなんちゃう~」
どうやらいぬいに
まともな人はいないみたいだ・・・
「昔 平野にもチンチン電車が走っててやぁ」
「ワシ 映画が30円やった時からココ来てんねん」
「お母ちゃん ベッピンギャルやってんでー」
常連の先輩方が
僕らに教えて下さる
マスターはママさんに
「お前 ギャルやったんか!! 今晩もっぺんギャルなれー」
なんてノロケてらっしゃる・・・
店内の全員が笑ってる
長い長い
いぬいの歴史の中に
20数年前
ちょっとだけ参加出来ていたことが
なんだか嬉しかった・・・
いぬい
絶対また来よう
帰り際
桐谷健太が
「お兄ちゃんら 綿安酒店しってるか?」
と 聞いてこられた
「知らないです」
「あそこもエエで ホンマは教えたないけど」
「有難う御座います!! 行きます!!」
いぬいを後にした
その足で
綿安酒店にいってみると
まさかの
以前僕が住んでいた建物から
50mぐらいのとこだったのだが・・・
それは・・・
また別の話
いぬい(いぬい)
住所: | 大阪府大阪市平野区平野本町2丁目4-15 |
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TEL: | 06-6796-1194 |
営業時間: | 16:00~ |
定休日: | 月曜日 |