船堀「大川原商店」チャーミングママさん酒場漂流記始動
休日
前日の深酒がたたって
起きれば15時
カーテンを開けると天気は雨
うーん 今日は家で一人呑みか・・・
Amazonで頼んだ鍋島があるな・・・
冷蔵庫にはポールウインナーもある・・・
カワイイ子猫の動画でも見ながら
ダラダラ呑って
Xビデオ見て寝ればいいか・・・
なんて
今日の予定を考えてると
金髪呑んだくれパンクスこと
カリスマジュンヤ
からの電話が鳴る
「イカはん!! 船堀いきまっせっ!!」
「・・・ふなぼり」
「ギャンブル場の周りには 名店多いでっしゃろ!!」
「・・・ああ ・・・江戸川競艇」
「イカはんの好きな 特殊先輩ぎょうさんいまっせ!!」
「・・・すき?」
「何時に駅来れまっか!!」
「・・・雨やなぁ」
「大雨洪水警報はでてまへんなっ!!」
「・・・ ・・・今日は家で」
「酒場ナビ酒訓第22条!! 雨降りの日は外で焼酎の雨割りを呑めっ!!」
「・・・ ・・・ ・・・15時半で」
強引すぎる
カリスマジュンヤの誘いなのだが
まぁ
一旦家を出てしまい
一口呑めば
楽しくなるのは分かっていた
結果この日は
打ち上げと称して寄った
地元の鳥貴族を合わせると
7軒ハシゴしてしまった
その中で
僕が
一番印象的だった酒場が・・・
大川原商店
から
と立ち寄り
竹のこのマスターに
教えて頂いたお店だ
「でも あの店 いつも5時ぐらいまでしかやってねえからなぁ」
「えっ!! もう5時半ですやん!!」
「もう閉まってんじゃねえかなぁ」
「有難う御座います!! マスターご馳走様でした!! また来ますっ!!」
ダメもとで
いってみると・・・
シャッターが
半分閉まっていた・・・
「あかんわ シャッター半分閉まってるわ」
と カリスマジュンヤに言うと
「これは 閉まってるんやのうて 半分開けてくれてまんねん 間に合ったわー」
と 放ち
かがみながら
中へ入っていった
うーん・・・
酒場ポジティブ
中へ入ると
薄暗い・・・
っていうか
ここホンマに店なん?
と 思わされる雰囲気だ
二人で
恐る恐る奥へ進んでいくと・・・
「お客さんですか~?」
「うわっ!!」
「出たっ!!」
暗闇の中に
一人の老婆
いや
瀬戸内寂聴のような
柔和な笑顔の
可愛らしいママさんが立っていた
「あの~ すいません まだ営業なさってますか?」
と 尋ねると
「あ~ もう閉めちゃったけどね・・・」
「 ・・・けどね?」
「せっかく居らしてくれたんで~ 呑んでいってください~」
「やたっ!!」
ジュンヤ
有難う・・・
「こっから 好きなモンとってください~」
わぁ
OHS(オカズの入ったショーケース)だ
「これ ママさんの手作りですか?」
「アタシだったり~ 娘だったり~」
「選んだら コッチおいで~ 電気付けますう~」
明るくなるとわかった
ちゃんとテーブルと椅子がある
お酒のメニューも
貼ってある
代金引き替えにてよろしくね!^o^
可愛い・・・
缶チューハイに
くじらベーコン カマボコ 筍のたいたん
などを貰って腰を下ろす
即座に
カリスマジュンヤが
「この店長いんでっか?」
「ママさん お幾つなんでっか?」
「お名前なんていうんでっか?」
と
も出来てないのに
ママさんに質問した
ママさんは
「もう 50年とかになるかしら~」
「アタシ 80超えちゃった~」
「美しいに枝で ミエっていうの なんか恥ずかしい~」
と 丁寧に答えて下さる
喋り方が
めちゃめちゃチャーミングだ
「ミエちゃん これなんでっか?」
「これは おでんとかの屋台~」
名前を聞いた途端に
ミエちゃんと呼ぶカリスマジュンヤだが
ママさんは楽しそうに話して下さる
「競艇のある時とか出してまんの?」
「う~ん 最近はあんまりかなぁ~」
「ミエちゃん 趣味はなんでっか?」
「アタシ 旅行が好きなの~」
「へぇー 最近はどこ行きはりましたん?」
「去年は~ スイスにいったのよ~」
「スイスッ!! ミエちゃん元気でんなぁー」
「楽しかった~」
「何食べはりましたん?」
「日本食レストランの~ うどんが美味しかった~」
「うどんっ!? なんでや? もっとスイスの料理ありまっしゃろ」
「歯ないから うどんぐらいしか食べれませんのです~ キャハキャハ~」
「おおっ!! ノーデンタルトラベラー!!」
「キャハキャハハ~」
「ガッハッハッハッーー」
年の差
50歳以上の二人が
親友のように
笑い合っている・・・
「ミエちゃん それにしても可愛いなぁ この椅子のカバー」
「そうでしょ~」
「どこで売ってまんの? こんな可愛いの」
「姉の手作りなの~」
「お姉さん? ミエちゃんの?」
「そう~ アタシ9人兄弟の次女でね~」
「9人兄弟!!??」
「長女が送ってくれるの~」
「お姉さまも元気でんなぁーー!!」
「弟一人 先日亡くなったけど~ あとは みーんな元気~」
「あっ ミエちゃん ・・・旦那様は?」
「20年前に逝っちゃった~」
「・・・そうでっか ・・・ちょっと寂しいでんなぁ」
「ううん~ 必ずどちらかは先に逝くからねぇ~」
「・・・」
「思い出いっぱいあるし~」
「・・・」
「あの人と出逢えたってことが大切だから~」
若い頃
福島県から上京して来た
美枝さん
東京で出会った旦那さんと
最初は
子供さん目当ての駄菓子屋を始めたそうな
場所柄
だんだんと今の
スタイルになっていき
お店は美枝さんだけが守るようになり
旦那さんは
他でオシゴトもやられてたみたいだ
「 ・・・でもねぇ~」
美枝さんは
入口の方を向いて
会話を続けた
「いつも店閉めてから~ あの人帰って来てたのよ~」
「・・・」
「あの人が入りやすいようにね~」
「・・・」
「シャッターは半分開けとくようにしてたの~」
「・・・」
「さっきアンタらが入ってきた時~」
「・・・」
「あっ!! あの人が帰ってきたーー!! って思っちゃった~」
あれ・・・
ハイリキって
こんなに
しょっぱかったっけ・・・
「ミエちゃん おおきに ・・・お会計してくれまっか」
「は~い~」
美枝さんは
電卓でもなく
ソロバンでもなく
競艇のマークカードの裏で
計算をなさっている
1810円
僕とジュンヤで
千円札を1枚ずつ出して
美枝さんに手渡した
190円の
お釣りを待っていると・・・
美枝さんは
95円を二つ
僕らに返してくれた
初めての
お釣りのもらい方だ
場所柄
細かいお金にも
敏感な人が多いのだろうが
この心遣いが嬉しい
美枝さん
素敵すぎる・・・
ジュンヤがなんだか
感極まっている・・・
「ミ ミ ミエちゃーーん!!」
そう叫びながら
三枝さんに駆け寄る
ジュンヤ
猛烈に
ハグ
が したくなったのだろう
これは
美枝さんとジュンヤの
熱い抱擁が見れるぞ!!
と 思いきや
「何してんねーん!!」
「あっ!! 愛おしすぎて つい」
「ママさん すいません!!」
「いいよ いいよ~ アンタらと話せてオモシロかったよ~」
「こちらこそです 絶対また来ます」
美枝さん
数々のご無礼申し訳ありませんでした
また近々
お話聞きに来させて下さいませ
皆様
チャーミングママさんの酒場
ご存知でしたら
教えて下さいませ
大川原商店(おおかわらしょうてん)
住所: | 東京都江戸川区東小松川3-5-10 |
---|---|
TEL: | 03-651-9084 |
営業時間: | - |
定休日: | - |