18歳の時に

３回だけデートした女の子の話

 

 

高校を卒業し

大阪の平野区で

１人暮らしを始めた僕は

大阪の香ばしさが楽しすぎて

しょちゅう天王寺　西成周辺を

見学に行っていた

 

 

 

 

そんな中

地元兵庫県西宮の友達が

女の子を紹介してくれた

 

会ったのは

どこの喫茶店だったかな

 

 

 

 

その娘は

同い年の神戸在住の

関西弁で言うところの

ええとこの子

 

育ちのいい

箱入り娘だった

 

CoCoの羽田惠理香に

似てたかな

 

僕とは毛色が違うと思いながらも

せっかくなんで

遊ぶ約束をさせてもらった

 

 

 

 

イタさ満開

イキりガキ

 

自分がハマってる世界を

見せてやろう

 

その娘を初デートに誘った場所は

よせばいいのに

新世界西成界隈

 

今考えると

遠路はるばる

よく神戸から来てくれたモンだ

 

 

 

 

先ずはジャブ程度に

天王寺動物園

 

キリンを見て

「首長ーい」

 

ライオンを見て

「怖ーい」

 

ゾウを見て

「おっきいー」

 

と　

見たままの感想を

元気に叫ぶ彼女に

純粋無垢を感じる

 

 

 

 

動物園の次は

通天閣

 

展望台から景色を眺め

「高ーい」

 

と

見たままの感想を

元気に叫ぶ彼女に

純粋無垢を感じる

 

 

 

 

さあ本番

 

ジャンジャン横丁を抜けて

西成へ

 

地ベタにゴザ敷いて

ピッカピカの10円玉を20円で売ってる店などを

見学し

三角公園

へ向かった

 

 

彼女に

引いてる感

は微塵もない

 

 

 

 

公園には

特殊先輩の方々が

列をなしている

 

理由は炊き出し・・・

 

なんていいタイミング

 

食べてみるかと彼女にお伺い

 

「食べてみたーい」

 

元気に叫ぶ彼女に

純粋無垢と世間知らずを感じた

 

 

 

 

2人で列に並び順番が来て

プラッチックの容器に入った

雑炊を貰う

 

彼女はソレを

サラッと口に運ぶ

 

「味薄いけどオイシーーッ」

 

と元気に叫ぶ彼女に

もはや尊敬の念を感じていた

 

 

 

 

彼女が雑炊を食べ終え

ゆっくりと炊き出しの光景を見渡し

呟いた言葉が今も忘れられない

 

 

 

「この街って・・大きな動物園なんやぁ」

 

 

 

 

2回目のデートは

今度は僕が神戸へ

 

神戸と言っても目的地は

メリケンパークでも異人館でもなく

ここでも僕のイタさ満開

元町高架下モトコー

 

 

盗品なんかも売ってる雰囲気のある

ええとこの子は足を踏み入れない

ごった煮商店街

 

「神戸にこんなとこあるんやぁ～」

 

と楽し気に騒ぐ彼女

 

神戸っ子に

裏神戸を紹介できて

鼻高々の僕がいた

 

 

 

 

夜

イキって三宮の高架下の

渋い焼肉屋にアドリブで飛び込んで

店員さんに進められるがまま

未経験の豚足をオーダーし

そのビジュアルに

うわっ！

と　たじろぎ

ダセェ自分を披露したことを

記憶している

 

 

 

 

3回目のデートは

平野の

串かつ武田

 

そう

僕が住んでいるアパートのお近く

 

 

その日は

もう一つの願望・・・

 

 

欲求・・・

 

 

下心があったのは間違いない

 

 

 

 

ディープな場所が好きで

そこに女の子を連れてきてる

自分も好き

 

寺の横にテントを張って

ソコで串かつとどて焼きを

食わすなんて

その時の僕にしてみれば

興奮高揚熱狂スポット

 

 

 

 

頬張る彼女は例のごとく

 

「オイヒーー」

 

 

と喜んでくれてる

 

ソースジャブジャブの串かつ食って

ドーパミンダビダビ状態に

 

 

うん

 

 

この流れは・・・

 

 

いける気がする

 

 

 

 

お会計を済まし

 

 

「なぁ　今から家ウチけぇへん？」

「えー」

「スグソコやねん　歩いて10秒」

「えーー」

 

 

 

 

「真心ブラザーズのCDあんで」

「誰ソレ」

「アレッ　好き言打てへんかったっけ」

「言うてへんよ」

「・・・」

「・・・」

 

 

 

 

「アメリカンショートヘアって知っとう？」

「知っとう　可愛いネコちゃんやろ」

「アレ　ウチでぁ」

「まさか飼ってるとか言うんちゃん」

「玄関あけっ放しにしてたら　入ってくる思うねん」

「何言うてんの」

「・・・」

「・・・」

 

 

 

 

「パペポのビデオ　2年分ぐらいあんで」

「それはちょっと見たいかも・・・」

「ホンマッ！おいでやっ！」

「・・・」

「・・・」

「・・・やめとく」

「なんでよっ！ええやんっ！」

「・・・魂胆・・・あるやん」

「・・・」

「・・・」

 

 

 

 

「別にしたってエエやん　そういうこと」

「付き合ってへんのに・・・」

「じゃあ付き合おうや」

「じゃあて何なん　ソレ目当てやん」

「・・・」

「・・・」

 

 

 

 

「今日のイカダツ君・・・」

「・・・」

「あんま好きやない・・・」

「・・・」

「・・・」

「おん　来んでもエエよ　家」

「・・・」

「・・・」

 

 

 

 

「アタシ　帰るね」

「送って・・・」

「来んといて　一人で帰る」

「遠いやん　梅田ぐらいまで」

「一人で帰りたい」

「・・・」

「・・・」

「・・・ほな」

「・・・バイバイ」

 

 

 

 

イキがったガキの

しょうもないプライド

 

相手を思いやるより

苛立ちが勝つ

 

レンタルビデオ屋で

飯島愛を借りて

家に帰った

 

 

 

 

結局彼女とはそれっきり

 

 

今は・・・

 

 

ええとこのお母さんに

なってるのかな

 

 

 

 

30年ぶりにココに来て

そんなことを思い出した

 

 

あの時は呑んでなかったが

今じゃ

すっかり溺れてる

 

 

時が経ったもんだ

 

ほろ苦ぇなぁ

 

 

串かつ武田が

営業している奇跡に感謝

 

 

 

 

余談ですが

平野には当時もう一つ

おとぎ話のような屋台があって

そこに別の女の子を

連れて行ったことがあるのですが

 

 

 

それはまた別の話

 

 

 

 

 

 

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