「アタシも西成いきたいです・・・」

 

 

そう僕に

話しかけてきたのは

ユナちゃん

という女の子だ

 

 

ユナちゃんというのは

２３歳のクセに

ディープな酒場が大好きで

以前は

日本三大ドヤ街の一つ

横浜の

寿町の真澄

でも　先輩方と肘を付き合わせ

外呑みした女の子だ

 

 

「ふーん　行ってきたらええやん」

 

 

僕は

ぶっきらぼうに返事をした

 

なぜなら

彼女の性格上

こんなセリフを放つ時は

確実に

連れてってくれ

という流れになるのが

分かっているからだ

 

 

「そんな冷たいこと言わないで　いきましょうよ～」

「いやー　やめとくわ」

「またまた～　西成ですよ～」

「だからやん！！　特殊先輩ばっかりの街やぞ！！」

「だからいきたいんです～」

「アホかっ！！　若い女の子の行くとこちゃうわっ！！」

「大丈夫ですって～」

「大丈夫ちゃうわっ！！」

「最近は　静かな街になったって書いてたじゃないですか～」

「何に？」

「但馬屋酒店の記事に」

「・・・よう見とんなあ」

 

 

「・・・記事にしていいですよ」

「えっ？」

「女子と西成にいった記事・・・」

「・・・」

「いきましょうよ～」

 

 

 

 

「・・・日帰りの弾丸やからな」

「えっ？」

「ユナちゃん危ない目にあいそうなってもなー」

「はい」

「僕　走って逃げるからなっ！！」

「あはっ！！　望むところですっ！！」

 

 

 

 

後日

僕とユナちゃんは

JR新今宮駅にいた

 

 

理由はモチロン

西成呑み

を　する為だ

 

 

 

 

駅を降りると

そこには

西成のシンボル

あいりん福祉センター

 

 

 

 

ユナちゃん越しの

それを見て

 

ホンマに来てもうたんやなぁ・・・

 

と　再確認させられる

 

 

 

 

この街に

２３歳の

カタギの女の子

を　連れてきてしまった・・・

 

 

何も起こらなければいいが・・・

 

 

 

 

「っていうか　ユナちゃん行きたい店とかあんの？」

「あの～　三角公園って場所あるんですよね～？」

「うん　特殊公園」

「まずそこ　いってみたいです・・・」

「アホかっ！！　・・・っていうても無駄やな」

「よくお分かりで・・・」

「よっしゃ　ほんならいこか」

「やたっ！！」

「せっかくやから　三角公園で外呑みすんぞ！！」

「望むところですっ！！」

 

 

 

ユナちゃんの

いてまえ精神

に感化されだし

 

ニシナリーズハイ

に　なりつつある

僕がいた・・・

 

 

 

 

まずは

先日カリスマジュンヤが潜入した

２００円ラーメンの　夢

に立ち寄り

 

 

 

 

玉子焼と

おにぎりを購入

 

因みにこの店は

酒場ナビ的にいうところの

猫ちゃん酒場

である

 

猫の毛だらけの

おにぎりのような気もするが

かまやしない

 

 

だって僕は今

ニシナリーズハイだから

 

 

 

 

そして

西成には

１０８つ

あるといわれている

お酒の自動販売機コーナーで

 

 

 

 

発泡酒を購入

 

これで準備万端

 

 

いざっ！！

萩ノ茶屋南公園！！

 

 

 

 

三角公園は

いつも通り

先輩方で賑わっていた

 

 

 

 

 

たじろいで

しまう・・・

 

 

僕だけでも

ココに入るのは

多少足がすくむが

隣には

２３歳の女の子がいるという

シチュエーション

 

 

入った瞬間

先輩方が

ゾンビのように

ユナちゃんに襲いかかり

噛まれたユナちゃんが

特殊先輩になってしまうんじゃないだろうか

なんて

考浮かぶ

 

 

尻込みしてしまう・・・

 

 

ユナちゃんの方を向くと・・・

 

 

 

 

「わー　わーー　わーーー」

 

と

水族館の魚群の群れを

追いかけるように

公園内へ入っていた

 

 

 

 

この子の辞書に

怯む

という文字はなさそうだ・・・

 

 

 

 

 

「あっ　ベンチ座って呑みましょうよー」

 

ユナちゃんは

先輩方の間を通り抜け

ズイズイ

と歩いていく

 

 

何故

ビビらない・・・？

 

 

おそらく

この子は

幼少の頃

オオカミに育てられたのだろう・・・

 

 

 

 

戦利品

たちをベンチに並る

 

 

購入時には

気にもとめなかったが

こう見ると

のりたまふりかけも相まって

玉子率が高すぎる・・・

 

ツマミチョイスの

感覚が鈍っていた

 

恐るべし

ニシナリーズハイ

 

 

 

 

「ぷしゅー　ぷしゅー」

 

発泡酒を流し込み

気持ちよがる

ユナちゃん

 

キラッキラの眼で

公園全体を

眺めてらっしゃる

 

「いや　ワカコ酒でこんな状況あるかっ！！」

 

と　

ツッコもうとしたが

魅了されてるところを

邪魔してしまうと思い

言葉を押し殺した・・・

 

 

 

 

 

 

「あはっ　この卵焼きもおにぎりもオモシローい」

 

味を

独特の言い回しで

表現なさる

ユナちゃん

 

それにしても

この状況下で

モグモグよく食べる

 

以前

味論と

ココで呑んだ時

は

足して８０を超える二人が

萎縮しながら

日本酒をすすったが

 

 

この子は・・・

 

 

只者じゃないな・・・

 

 

 

 

「ユナちゃん　この後どうすんの？」

「ちょっと調べてきたんですよ～」

「店を？」

「はいっ　酒場ナビの３人が～」

「うん」

「いったことのないお店　連れてってあげますよー」

「えっ！！　ホンマに？？」

「あはっ　酒場ムラムラしてますか～？」

「うん　でも大丈夫なん？　怖い店とかやないの？」

 

 

 

 

「あはっ　大丈夫だと思いますよ」

「思うてなんやねん」

「じゃあ・・・」

「うん」

「もし　危ない目にあいそうになったら～」

「うん」

「走って逃げずに～」

「・・・」

「アタシを守ってくださいね　王子様」

 

 

 

 

 

この子は・・・

 

 

 

 

 

 

ダサいなぁ・・・

 

 

 

 

 

つづく

 

 

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