青砥「忠治」酒場おにぎり探偵調査結果報告 その3
青砥には
呑兵衛心をくすぐる路地が
二つある

ひとつは
青砥北口中通り商店街



両サイドから
立花や秀や筑前屋などが
誘惑してくる

もう一つがサンロードの
ほっともっと脇の
細路地



より道やおくぼ
そして
ひときわ輝いているのが・・・

忠治
お噂はかねがね・・・
ひとり呑みでも場違いでなく
刺身が美味しいと
今日は昼から
そんな気分

刺身が旨くて大衆割烹
他の料理にも高まる期待値
のこのこと来ちまったけど
曜日は金曜
予約はしていない
人気店がゆえに
入れないこともあるだろう

青砥の刺身保険酒場は
ソコもダメなら
それらもダメなら
立石に戻って
邦右衛門もダメなら
今日はシコッって寝ちまえ
いざっ!

切り盛りなされてるのは
ご夫婦か
日頃の行いか
カウンターに招かれし僕
先日の雪の日に
お地蔵さんに笠をかぶせてあげたが
その効果かしら

L字カウンターもテーブルも
たいそうな賑わい
これは
参考資料には事欠かないゾ

「肉豆腐お待ちっ!」
ぬっ!
目の前の先輩の前に
運ばれてきた肉豆腐の
美味茶色
ときたら
しょっぱなから
刺身のつもりだったが後回し
品書き眺めて軌道修正だ

んっ!
しめじ土びん蒸し・・・?
土瓶蒸しって
松茸とかハモとかのアレか・・・
ボヤっとうイメージはできるが
いかんせん未食につき
その全貌はハッキリしない料理
せっかくなんで
「肉豆腐と土瓶蒸し下さいっ!」

誰かが言ってたな・・・
お通しは
漫才で言うところのツカミだと
魚と里芋の煮物に
ほうれん草のおひたしを添えて
ツカまれて
忠治に引き込まれていく僕がいる

先輩
ツマミ泥棒すいません

肉豆腐
ピッカピカのツッヤツヤッ!
覗き込む僕の顔
豆腐に写ってやしないかい

クゥ~~
濃い目だが
いき過ぎない
絶妙の甘コッテリ加減
ムグ・・・
ご飯の上にブチまけて
レンゲでジャブジャブ
かっこみたいが・・・
今日が終わっちまうんで
やめとこう

んっ?
マスターこれは・・・?
そっか
土瓶蒸しの出汁を注ぐ
お猪口なんですね
柚子の香りふくいくと

なんとっ!
これが土瓶蒸しですかっ!

想像以上に具だくさん
しめじ エビ カマボコ 銀杏
白身の魚に三つ葉も入って
色鮮やか
普通に出汁すすって
具ぅ食べて問題ないよな

ジュルっとな・・・
旨っ!出汁旨っ!
円熟味のあると言いますか
洗練された深みと言いますか
出汁自体が上質なのでしょう
そこに具材の風味がちょとずつ加わり
味これ秀逸


マスターかなりの腕前でらっしゃる
京都のたん熊で修業なさったんじゃないか
大衆割烹すみれのお父様のように
知らんけど

しめじに惚れ直した
こんなに豊かな香りを放つんだ
コレ高級本しめじとかじゃなく
普通のだよな
香り松竹・・・ いやっ!
香りしめじに味しめじだ

そろそろ日本酒・・・
土瓶蒸しで日本酒となると
出汁すすって日本酒すすって
お猪口からお猪口で
傍から見てると滑稽か

そう
今日忠治にきたキッカケは
お刺身
クジラじゃないし・・・
貝でもない・・・
カツオもちょと・・・
おいでおいではアレとコレ

お酒は大分の西の関
刺身はマゴチとイワシ
今日は昼からコレの気分

誰かが言ってたな・・・
今日の1杯目のビールは
今日1日の自分とのマリアージュ
だと
今日1日を振り返り
ソレをツマミに1杯目を呑み干す
素敵な言葉

ただ
この言葉を思い出すのは
いつも呑みの中盤
また今日も1杯目から
何も振り返らず
カパカパ呑んでバクバク食べた
醜さよ
忠治の料理が魅力的過ぎたので
マスターのせい
ってことで正当化

誰かが言ってたな・・・
刺身は醤油を舐めるための口実
だと

それに合点するかどうかはさておき
脂の乗ったイワシと甘みのあるコチで持ち上げた
醤油旨えぇ~

その口にお酒を
ツイーーッ!
ふぅ
これで今日の
失敗 過ち 誤り 不出来
ぜーんぶチャラ
毎日
繰り返しですよコレの

食い意地醜くて結構
食べますよ今日は
誰かが言ってたな・・・
ぼ ぼ ぼくはおむすびが好きなんだな
と
二つよりお受け致します
晩酌中ですが朝飯前です

明太子とシソの実のおにぎりと
西の関のおかわり
米をツマミに日本酒すすって
何か問題でも


明太子のおにぎり
パックンチョ
気持ちいですよね
旨い米が
喉を通り過ぎていく感覚って

シソの実って
おにぎり以外で
ほぼ出会えないから嬉しい
独特のプチプチ
なんか懐かしいなこの感じ・・・
あっ!

思い出したっ!
6年ぐらい前に行った
おにぎり金太郎でも
シソの実のおにぎり食べてた僕っ!
お客さん同士をくっつける
縁結びが趣味の女将さん
お元気かしら
ふぅ
ご馳走様でした

20代のカップルが入って来られ
カウンターでしっぽり呑り始めた
マスター女将さんと
仲良さげに談笑
聞き耳たてるに常連さん
どういういきさつで
ココに通うようになったのだろう
案外忠治で出会って
付き合い始めたとかかも
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