小岩「小野内酒場」小野内酒場って”伊勢元系列”ってご存じでしたか?

小岩駅
栃錦の銅像を横目に
駅北口へ

小岩駅北通りを進み・・・

蔵前通りを渡り
ちょい右に
とめ はね はらいの丁寧な書体の
看板が見えてくる

小野内
東京下町に
昭和12年から営業している老舗
実はこの酒場のルーツは・・・
愛知県なんです


L字カウンターとテーブルが3つで
賑わう店内
一人呑みでも画になる酒場
お隣のご隠居さんは
日本酒のツマミに
イカフライとスポーツ新聞
画になってますね
隠居されてるかどうかは
僕の勝手な決めつけだが

風情のある
黒い板に白文字の品書き
お通し無料
嬉しおす

ひときわ輝く
特大エビフライ2100円
✖印ってことは売り切れですか?
えっ あるんですかっ!
お願いしますっ!
なぜ✖を・・・
なるへっ!
特特大エビフライの
特をひとつ✖にしたんですね

お通しは冷奴
ん・・・
否っ!

温奴だっ!
うん
豆腐は温めたほうが
味が分かりやすくて好きだ
ひと手間よ

特大エビフライがホンマに特大っ!
江戸川区の酒場でエビフライと言えば
中村屋を思い出すが
アッチは3尾だったっけ
1尾の大きさに関しては
圧倒的に小野内だ

井之頭五郎なら
メジャーを取り出し
全長を計測するだろう
僕の指定規では
ざっと推定30センチ

衣薄着っ!
どこぞの
インチキエビフライのような
ほとんど衣やんではなく
ちゃんとデカいエビ
ムホホーーッ!
この食べ応えたるや
DA PUMP風に奏でてみよう

お酒の種類は豊富
ご隠居さんが羨ましい
日本酒いっちゃうか
合わせるツマミは・・・

天然ヒラメ昆布〆
日本酒は
土佐鶴の300mlボトル

江戸時代に
北海道から大阪までの日本海を往来した
北前船が
羅臼昆布を富山に運んでヒラメを包み
水分を吸わせることで保存性を高めたのが
ヒラメの昆布〆の始まりだそうな
昆布〆ってのは
保存食なんですね

昆布の旨みが吸収し
絶対普通の刺身より
昆布〆のほうが旨いっ!
もし
江戸時代に冷蔵庫があったら
昆布〆は誕生してなかったのかもしれない
初めて魚を昆布で包んだ人・・・
後世に名前が残るぐらい
評価されていいはず・・・
昆布〆の父に思いを馳せながら
パクリからのツイ―ーッ

ゴーン♪
振り子時計が20時をお知らせ
終了の響きか延長の合図か
モチロン延長
次酒選択

下町酒場の品書きに
ハイボールとウイスキーハイボールがあれば
前者は当然・・・

うん
ボール
「昭和12年から ウチはずっとコレ」
そう仰る
店員のお姉サマの口調は
誇らしげだ

ボールには
味濃い目のモンで戦わせたい
エビ ヒラメ と続いているが・・・

またまた海の幸
銀タラ煮付けが
手招きしてた

煮汁に絡まされ
テリッテリの仕上がり
先の2種類で
小野内の料理への信頼と実績は十二分
コイツも間違いないゾ

濃厚コッテリッ!
脂乗りまくりのタラと
ソレに負けない
力強い濃い目の煮汁
脳に旨さがガツンッと伝わる
コイツもごちそうだぜ

このインパクトは
アソコを思い出しちまったな
そう
浦安の羅甸を

となると
このタレを残す手は無いだろ~
だ
をやりたいが
見渡したところご飯のメニューは無い
聞く勇気っ!
「すいません ご飯ってありますか・・・?」
「ウチは ご飯類一切ナシ」
そう仰る
店員のお姉サマの口調からは
ウチは酒場だから感
がヒシヒシと伝わってくる

うーん
そう言われましても
このタレは残したくない
中指にチョンチョンつけて
舐めながら酒を呑んでもいいが
その様は卑しすぎる
ジップロックを買ってきて
コソコソ移し
持って帰るなんてのは
浅ましく見苦しい
何か手は無いか・・・?

あったっ!
コイツだっ!

厚揚げを頂戴し・・・

醤油薬味でツマむのも
そこそこに・・・

銀ダラ残り汁絡め厚揚げ
でございまっ!
これは常識の先に現れた幸福だ・・・
めっちゃくちゃ旨いっ!

お客さんも引き気味
大女将が客席でリラックス
これはチャンスこれはチャンス
勉強しないとね~♪
「女将さん ココは伊勢元の系列ですよね?」
「あら よく知ってるね」
「ちょっと復習したいんですけど」
「復習?」
「愛知県の伊勢湾の近くの 伊勢元という酒屋で」
「うん」
「修行していた小野内さんが」
「うん」
「その屋号を貰い 上京して
「うん」
「伊勢元酒店 伊勢元酒場の」
「うん」
「暖簾分けを 増やしたんですよね」
「アンタよく知ってるね」

「気になるのはですね・・・」
「なんだい」
「なぜココは 伊勢元ではなく」
「うん」
「社長の苗字の 小野内 なんですか?」
「それはね」
「はい」
「ウチの初代が この店開く時にね」
「はい」
「小岩の南口ね」
「はい」
「既に 違う伊勢元酒場があったのよ」
「なるへっ! 近すぎるのに屋号が被るから」
「ウチは社長の苗字を貰い 小野内 にしたのよ」
「よく 小野内を貰えましたねっ!」

「ウチの初代は 伊勢元の社長と一緒にね」
「はい」
「愛知から出てきたんだよ」
「えっ?」
「丁稚奉公でね」
「一緒にですか・・・」
「ウチの初代だけじゃなくてね」
「はい・・・」
「結構集団で上京してきたみたいよ」
「ってことは・・・」
「・・・」
「運命共同体で 東京に乗り込んできたんですね」
「みんなで夢持って 東京に勝負しに来て・・・」
「はい」
「みんなで夢を叶えたんだからね」
「凄っ! NHKの朝の連続テレビ小説で」
「ん」
「やらなあきませんね 伊勢元物語」
「あはははは」

親の代から酒は
のキャッチコピーは
小野内
と思われがちですが
元は
親の代から酒は伊勢元
なんです
店内の暖簾に書かれています

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