初台「たぬき」研ぎ澄まされた酒場センサー
ネット社会のこのご時世・・・
どんな隠れ家でも必ずといっていいほど
ネットで検索すれば情報が得られる事が出来る。
しかし果たしてそれを隠れ家と言っていいのか……?
本当の隠れ家なら、ネット情報一切なしの方が説得力あるのではないか?
今回紹介する初台の『たぬき』は全くネット情報がない。
ではどうやってこのお店をみつけたのか?
ある日いつものように渋谷本町の不動通りを散歩中、細い路地の奥に赤く光る提灯をたまたま見つけたので
店前まで行ってみたのだ。
赤く立派に照らしてる提灯に吸いよされるような感覚だった。
ちょっと怖めだがこれまた立派なタヌキも店前で存在感を存分に放っていた。
赤提灯とタヌキ。
子供の頃なんてこの2つに何も反応しなかったのだが・・・
今では過剰に反応してしまう。
なぜか?
それは紛れもなく「酒場ナビ」の看板を背負ってて、”サカバー“←(ユーチューバーみたいな言い方してます)としての自覚があるからであろう。
酒場センサーによって、発見されたこの酒場はなかなか酔い店構えではないか。
これぞ酒場百戦錬磨で鍛えぬいた
酒場センサーの実力だ!
幾度となく
この研ぎ澄まされた酒場センサーによって名店を発掘したものだ。
その日々成長する酒場センサーによって
発掘された『たぬき』へ迷わず入ってみた。
まずこの暖簾の文字をみる限り
表記は『たぬき』ではなく漢字で書かれてるが…
全く解読ができない……。
この記事では『たぬき』で表記させてもらおう。
このお店の売りはなんと言ってもおでんだ。
店頭にて沢山煮込まれてるおでんたち。
不動通りからは外れたところにお店は位置してるが
不動通りの通行人にも誘惑出来そうな匂いが漂ってる。
そしてそのおでんがめちゃくちゃ安い。
1個50円~という激安ぶりだ。
このおでんを渋い店内で日本酒でクイっといくようなもんなら
もうその瞬間は誰がなんと言おうと“立派やな大人”だ。
仕事が出来なくても・・・
独身でも・・・
童貞でも・・・
渋い店内でおでんと日本酒を違和感なく頂けるようであったら立派な大人認定だ。
席へ座るなり、いつものように店内を舐めるように端から端まで観察する。
店員さんは老夫婦2人で経営されてるみたいだ。
みるからにかなりの高齢者のようである。
一体この『たぬき』は何年の歴史があるのであろうか。
渋すぎる手書きのメニューから、これまた酒場センサーが反応したメニューをチョイスした。
お父さん、厨房1人で大丈夫ですか?とちょっと心配になる画である。
飲み物や料理が奥さんによって運ばれてくるのだが
我々のような若手の場合は自分からカウンターに取りにいってあげたいものだ。
こういった店で出てくる品物が遅くても、急かしたり、文句をいったりするのは絶対にNGである。
最初に出てきた「マグロとワケギのぬた」。
普段「ぬた」というものをあまり好んで食べないのだが、この「ぬた」は今まで食べた「ぬた」で一番美味しいかもしれない。
次に出されたのが「カキフライ」。
大ぶりの美味しいカキフライが6個?くらい盛り付けられてて、これも満足出来る1品であった。
この店、おでん以外の料理もしっかりと美味しいではないか。
最初に店主のお父さんを心配してしまった事をこの場を借りて謝罪したい。
現役バリバリの優秀料理人である事を認めさせて頂きます。
カウンターに並べてあった「いか煮」も美味しそうだったんで頂いた。
なぜカウンターに並べてある料理は美味しく見れるのか?
そこまでいか煮は好きではないのだが、物凄く美味しく感じた。
いか煮の登場と、この後来るおでんの為に
早速日本酒を投入した!!
そしておまかせの「おでん盛り合せ」がやって来た。
多いっ!!!
10種類以上のおでん盛り合せだっ!
もし1人で呑んでたら、つまみはこれだけでも充分なくらいだ。
肝心の味も、関東風の濃い出汁がしっかりと染み込んで美味しくて、日本酒との相性もバッチリである!
これで1つ50円〜からというのは安すぎるのではないか?
コンビニのおでんとは比べものにならないくらいだ。
『たぬき』の近くのコンビニでおでんを買おうとしてるお客さんが居たら
見知らぬ人でも「ここで買うより、すぐそこの『たぬき』って呑み屋でおでんお持ち帰りした方が、安いし、美味しいで!」って言ってしまいそうなくらいだ。
日本酒でほろ酔いになりながらも、帰ってまた1杯ヤりたいなと思い、おでんをお持ち帰りする事にした。
お父さんが手を震わせながら、おでんをすくってくれるのである。
お持ち帰りの際はこんな感じで袋におでんと出汁を入れてくれるのだ。
コンビニみたいにシャレた容器なんかじゃなくて、原始的にお持ち帰り出来ます。
もし家で待ってる嫁の為に「お土産買ってきたぞぉ〜」って、この『たぬき』のおでんを渡した時
「なにこれ〜おでん買ってくるんだったら、ちゃんとしたコンビニのおでん買ってきてよ〜」って言う嫁ならば
今すぐ離婚届を書いた方が良いと思う。
そんなおでんだ。
とにかく酒場センサーが反応して、行き当たりばったりで入ったお店な割りには大当たりな酒場だと言えるであろう。
今回の酒場放浪は自分的にもすごく成長出来たと思う。
ネットでしっかりリサーチして酔い酒場を訪れるのも、勿論大事な事であるが
たまには行き当たりばったりでも、何かを感じたのであれば、迷わずGOしてみる事も大事だ!
例えそれが酒場選びに失敗したとしても、大きな成長と酔い経験だと言えるであろう。
サカバー(saka-ber) としてこれからも常日頃から酒場センサーをビンビンに張っていき、読者の皆様にあまり知られてない酒場を体を張って紹介させて頂くんで
今後とも『酒場ナビ』愛読の方をよろしくお願いします。
カリスマジュンヤの酒場放浪記
〜たぬき編〜(完)
多奴喜(たぬき)
住所: | 東京都渋谷区本町2-17-14 |
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TEL: | 03-3378-6065 |