越中島？？

こんな駅あったっけ・・・？

 

 

 

お目当ての酒場の位置を

スマホで確認していて思った

 

 

上京してきて２０年以上経つ

 

酒場巡りで

東京のあちこちの路線を利用してきており

そこらへん

は熟知してるつもりでいた

 

 

ピンとこない駅が未だにあることに

ちょっと悔しく

ちょっと嬉しく

複雑な心持で歩みを進めた

 

 

 

 

 

門仲の駅から

魚三やらますらおやらを無視し

南下すると

大横川にぶつかる

 

 

巴橋を渡ると

すっかり住宅地

 

 

駅前の喧騒とは異なる街並みに

突如現れたのは・・・

 

 

 

 

川越屋

 

 

赤提灯や暖簾の

すがれ具合

も堪らないが

もっと目を見張るのが・・・

 

 

 

 

店頭に並ぶ

焼き鳥達

 

 

ショーケースとかではく

外に大皿で鎮座する

コイツらの眺めはどうだ

 

 

 

 

想像してみよう・・・

 

 

見えるぞ・・・

 

 

夕方になると

 

「おじさん　皮いっぽんください」

 

と

１００円玉を握りしめ

目を輝かせてる男の子の姿が・・・

 

 

見えるぞ・・・

 

その２０年後に

 

「アンタが女の子連れて　呑みに来るなんてねぇ」

 

と

冷やかされれている

青年の姿が・・・

 

 

 

見えるぞ・・・

 

その１０年後に

 

「皮でいいの？　そんなとこまでパパに似るかねぇ～」

 

と

息子に焼き鳥を買ってあげる

お母さんの姿が・・・

 

 

 

涙目で暖簾をくぐった

 

 

 

 

店内は

地球にやさしい緑色

 

 

焼き場にお父様

ホールにお母様

厨房にいらっしゃるのは息子さんだろう

 

 

 

 

空想しすぎて喉がカラカラ

 

 

ビールで喉を掃除しながら

ゆっくりメニューを拝もう

 

 

 

 

焼き鳥は外せないな・・・

 

おっ　玉こんにゃくですと・・・

 

 

 

 

フライドポテトと玉ねぎスライスは

２箇所に書いてあるな・・・

 

 

極み豚串カツ

って自信しかないな・・・

 

 

ひきずりうどん・・・

 

山形色が強いぞ・・・

 

 

 

 

おっ！！

 

生ピーマンっ！！

 

 

奇しくも門前仲町

 

 

となると・・・

 

 

 

 

つくねピーマンの

衝動にかられた

 

 

皆で

キャッキャいいながら呑んだ

庄助

 

 

懐かしいな

 

 

 

 

緑が被ってしまった・・・

 

井之頭五郎ならそう言うだろうか？

 

 

 

シャクシャクシャク

 

店内に咀嚼音が響き渡る

 

あまり

生野菜が得意ではない僕だが

これだけは

別舌

だ

 

因みに

つくねピーマン

があるなら

赤ウインナーパプリカ

があってもいいだろうと

作ってみましたがイマイチでした

 

 

 

 

玉こんにゃく

をつまんでいると・・・

 

 

 

 

お母様が

僕のお近くで作業を始められた

 

チャンスとばかりに

軽く質問を

 

 

「お母サマ　山形出身とかですか？」

「あっ　お父さんがね」

「だから　玉こんにゃくとか　ひきずりうどんとか」

「そうそう」

「あと・・・　関係ないんですが・・・」

「ん？」

「ここは門仲と越中島の駅　どっちが近いですか？」

「たぶん越中島のほうが近いと思うけど・・・」

「越中島使ってますか？」

「門仲しか使わないわよ」

「やっぱり」

「あれは　ほとんど海洋大学専用の駅なのよ」

「そうなんですね」

「何でも　東京のJRの駅でね・・・」

「はい」

「１日の乗車人数ワースト１位の駅らしいわよ」

「１位ですかっ！！」

「大江戸線でも仲間に入れてもらえなかったし」

「無念ですね・・・」

 

 

 

 

乗車人数ワースト１の駅か・・・

 

 

 

どんな酒場があるのか気になるな・・・

 

 

 

 

カリスマジュンヤが合流し

酎ハイで仕切り直し

 

ツマミを

もう一品追加したいところ

 

 

せっかくなんで・・・

 

 

 

 

極み豚串カツ

を所望

 

 

 

ウホッ！！

 

 

メチャメチャ旨そうやっ！！

 

 

 

 

ソースが

出にくさの極み

なのはご愛敬

 

 

串カツの旨さへの

滑走路

だと思えば逆に嬉しいぐらいだ

 

 

 

 

ホンマにメチャメチャ旨いっ！！

 

 

豚肉がデカくてジューシーで絶品

 

玉ネギも味が濃い

 

淡路島産ではなかろうか

 

うん

 

ネーミングに偽りなしだ

 

 

 

 

 

川越屋・・・

 

 

何頼んでも旨いんやろな・・・

 

 

 

 

時刻は１８時

 

門仲に戻ってもいいし

越中島を攻めてもいい

 

聞くとお隣の

潮見駅

もなかなかの閑散っぷりらしい

 

 

夜風に当たりながら

酒ケジュール

を考えますか

 

 

 

お会計をお願いした

 

 

 

 

帰り際

お父様とお話が出来た

 

 

「川越屋ってどういう由来があるんですか？」

「アレの父親が　埼玉の川越出身だからだよ」

「お母様のお父上が」

「うん」

「ってことは　マスター２代目ってことですか？」

「そうなるね」

「マスター山形がご出身とか？」

「うん　集団就職でコッチ来てね」

「はい」

「酒屋の配達の仕事してたんだよ」

「もしかして　川越屋にも配達してたんですか？」

「そうだね・・・」

「それで　お母様と知り合ったんですか・・・？」

「そうだね・・・」

「ってことは・・・」

「・・・」

「酒だけじゃなく・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「あは　いつのまにか　恋心まで配達しちゃってたんだな」

「ご馳走様ですっ！！」

 

 

 

 

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