【第4回】門前仲町「庄助~魚三酒場~凪○」読者と出会った『孤独じゃないグルメ』
読者飲み企画の第四回。
今回も女性ひとりでの参加。第二回目の時もだが、なぜかこの企画には”女性一人”での応募が多い。もちろん大歓迎ではあるが、酒場の魅力がそうさせるのか、私たちの魅力がそうさせるのか、何にせよ女性ってのはやはり『度胸』があるなとつくづく思う。
今回の開催場所は、依頼者の希望で『門前仲町』だ。
説明皆無の東京を代表する飲み屋街。依頼者の”はじめての門前仲町飲みを酒場ナビと行きたい!”という責任重大な任務を果たせるのかと不安になりつつも、『門前仲町駅』に全員が集まり一軒目の酒場である『庄助』へと向かった。
酒場に入る前に今回の依頼者紹介。
kana さん
東京都出身在住で、とにかく”渋い酒場”が大好きとのこと。
その酒場知識は、メンバー随一の酒場知識があるイカと対等に語れるほど。
『庄助』
せっかくなので、イカと”ダブル暖簾引き“を体験してもらい中へと入る。
うーむ、”引き慣れ”しているな。
店内はカウンター数席とテーブル席が2つ。かなり小さい酒場だがなんとも居心地の良い雰囲気である。
早速、チューハイで”酒ゴング“を鳴らし、これもまた読者飲み企画の恒例行事、”クロス飲み“をカリスマジュンヤとしてもらう。これで彼女も立派な『飲み仲間』である。
「今日この庄助に来る前に『孤独のグルメ』を読み返してきました!」
事前にkanaさんへ一軒目だけは『庄助』に行くと伝えたところ、わざわざこの『庄助』も登場したことがある『孤独のグルメ』を読み返してきという熱心ぶり。ちなみにこの『庄助』はテレビドラマ版の第一話で登場したのだ。
「kanaさんエライ!ほな”例の物”頼んだろかい!」
同じく『孤独のグルメ』ファンのイカが、そのドラマ登場回でも注文していた”例の物”というものをいくつか頼んだ。
ちなみに私だけ『孤独のグルメ』を見たことがないので、一体何のことかは分からなかったのだが──。
『つくねと生ピーマン』
生のピーマン!?
メニューにもないその料理に暫し面食らっていると、イカやカリスマジュンヤ、kanaさんまでもが当たり前の様に生ピーマンにつくねを乗せて潰し始めた。
そしてそれをムシャムシャと食べ始める三人。正直、私はピーマンが苦手なのだが食べない訳にもいかないので、恐る恐る真似をして食べてみた。
!?……んまいっ!!
ピーマンの何が苦手かって、あの”青臭さ”に尽きる。もちろん、この生ピーマンも青臭さはあるものの、大振りのつくねの肉々しさがピーマンの青臭さをマイルドにさせる。つくね自体、あえて”ジューシーさ”がないのがより一層ピーマンを物理的に食べやすく、そしてつくねとピーマンの互いの持ち味を引き立たせるのだ。
『信玄袋』
袋料理はシンプルなのがいい。この袋の中は『ホタテ』と『オクラ』のみで、破いた袋に醤油を入れて具を混ぜてチビチビ食べればチューハイが進む……進む!。
『焼きめし』
メンバーを圧倒するこのkanaさんの食べっぷり、永谷園からCMの話が来るんじゃないだろうか。
アクセントに『しらす』と『シソ』が刻まれており、kanaさんでなくとも”かっこみ”たくなる。味付けや焼き方にもどこか懐かしい感じがあり、イカは「ママが作ってくれた焼きめしと同じや……!」とノスタルジーに浸っていた。
ノスタルジーを感じさせるのは、料理だけではなく店そのものもだ。
そしてその雰囲気をさらに和ませてくれる女将さんの笑顔がとても印象的な酒場であった。
二軒目『魚三酒場 富岡店』
続いて門前仲町の代名詞と言っても過言ではない『魚三酒場』へ入る。
さすがは人気店。平日の夜でも1階から3階まで客でパンパンだったが、運よく三階の座敷席に座ることが出来た。
もちろんここでも”酒ゴング”を鳴らす。お座敷テーブルで乾杯って何か好きだ。
『アラ煮』と『ホヤ』
アラ煮が50円!?しかも、そこらへんのアラ煮と違って仕事が丁寧。大抵のアラ煮は「骨ばっかりじゃねえか!」となるが、ここのは殆ど骨は無く、うっすら甘い味付けも上品極まりない。
『ホヤ』も生きてる時はあんなに醜いのに、こんなに美しく、こんなに美味しく仕上げてもらったら本望だろう。
「うますぎるっ!!」
思わず声が出るほど旨かったのがこの『ホタルイカの刺身』だ。ボイルは結構あっても、なかなか刺身でホタルイカを出す店はないであろう、それほど新鮮じゃないと刺身としての商品にはならないのだ。もちろんこのホタルイカは新鮮そのもので、かつ”ワタ”の濃い味は今でも鮮明に覚えている。
今まで食べてきたすべての『ホタルイカ』で一番うまかった。
もはや依頼者のkanaさんともすっかり打ち解けており、彼女の生い立ちや地元の話、元夫が私が信仰するアイドル『でんぱ組.inc』の”幹部クラスオタ”であることなど何でも語り合った。
やはり酒の席はこれくらいになると、初めて会う人だろうがなんだろうが楽しさしさが止まらなくなる。
“立ち飲みに行きたいっ!!”
全員の思いがひとつになった瞬間、”立ち飲みフリーク”の4人は最後のシメにと立ち飲み屋を探しに出発した。
しかし珍しく今夜は”まったり”と飲んでいるな、いや、これから何かが起こるのだろうか……?
三軒目『凪○ 門前仲町店』
実はずっと前から行きたかった立ち食い寿司屋。店内は少し混んでいたが、相席で何とか4人入ることが出来た。
大衆食堂でたまにあるトレーを持ってのセルフ式。ここは普通の立ち食い寿司屋と違い、バラエティ豊富な酒のツマミもある”酒飲み特化型寿司屋”なのだ。
とりあえずは今日最後の”酒ゴング”。寿司を待ちながら飲む酒はひと味……いや、三味も四味も違う。
『寿司9カンセット』
寿司っていうのはいつでも日本人の心を幸せにしてくれる。私たち4人も例外なくその登場に歓声をあげた。
んまいっ!!
関東、関西、東北……出身は違えど『寿司』というものに対しての”うまい”という味覚は全国共通。
しかし東京の寿司ってのは、築地が近くなればなるほど、その旨さも比例するものだな。
「これ、どうぞ使ってください」
寿司でキャッキャしている私たちにひとりの男性が声をかけてきた。
それは相席していた男性二人組みのひとりからで、私たちの為におしぼりを持ってきてくれたのだ。
おしぼりを持ってきてくれた男性は過去に大阪に住んでいたらしく、イカやカリスマジュンヤが関西弁で大声でしゃべるのもあって声をかけてくれたようだ。ここにきて更に『飲み仲間』が二人増えたのだが……やはりこれで終わりではなかった。
「せやねん!」
「ほんまでっか!?」
(あっはっは!)
「うせやん!」
「なんでやねん!」
(あっはっはっはっは!)
6人でヤイヤイやっていたのだが……さっきからこの6人とは別に、どこからともなく笑い声が聞こえる。
ん?
私の後ろから聞こえる?
振り返るとスーツを着たひとりの男性が、確実に私たちの話の内容と連動して笑っていた。
私は思わずその男性に声をかけた。
「あのー、よければ一緒に混ざりませんか?」
「えっ!?いやいやいや!僕はここからお話を聞かせてもらいますから!」
「だったらこっち来ちゃいましょう!」
私は無理やりその男性の酒とツマミの乗ったトレーを私たちのテーブルに移動させ、7人の大所帯で立ち飲むことになった。ここまで来たら4人も7人も同じである。
そのスーツの男性は、よく仕事帰りにひとりで酒場へ寄り酒を楽しんでるというリアル『孤独のグルメ』をやっていた。
はじめはとても遠慮がちだったが、余程このグループに気を許してくれてのか、頼んでもいないギャグをやりだしたりと終始ご機嫌な様子。
最初の二人組みの男性たちも「門前仲町は好きだけど深川のヤツらは嫌いっ!」などと、もし店内に深川地区の人間がいたら乱闘になってしまうんじゃないかなどという場面もあったが、そんな話も含めてこのテーブルは、ただの立ち食い寿司屋とは思えないほど異常に盛り上がったのだ。
セクシービデオで『出会って5秒で○○○』などというシリーズがあるが、もちろん現実にそんなことはほぼありえない。
だが、この酒場ナビには『出会って5分で乾杯!』シリーズは確実に存在するのだと、改めて確信した夜となった。
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すっかり主役のkanaさんを”置いてけぼり”にしてしたまった感があったのだが、この写真の”キマり顔”を見たら楽しんで頂けたのではとひと安心。
やはり最後はいつも通りやかましくなってしまったが、最高に楽しい夜であったことは間違いない。
門前仲町のみなさん、
そして、kanaさんありがとうございました。
また、どこかの酒場で会いましょう。
庄助(しょうすけ)
住所: | 東京都江東区富岡1-2-8 |
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TEL: | 03-3643-9648 |
営業時間: | 17:30~23:00 |
定休日: | 土曜・日曜・祝日 |