荒川七丁目「やきとん ますだ」飲食店経営において一番大切な事を教えてくれた
先日、酒場ナビでも記事になってる町屋「でこ助」で吞んでた時・・・
「次はどこで吞もうかなぁ~」なんていつものように独自の検索方法でリサーチしてると
気になる酒場がヒットしたのだ。
しかしその酒場はあいにくこの時定休日・・・
ボクのケータイ酒場メモの「行きたいとこリスト」にその酒場の名前をメモし
この日はでこ助で吞み倒した。
次の日
インスタでその酒場の投稿などをみてると
写真だけで伝わってくる名店の匂い。
そしてタイミングよく、酒友からの吞みの誘い・・・
「気になる店あるし、今から町屋の方吞みに行かへん?」
ボクはそう返事した。
何事もタイミングだ。
しかし店に予約の電話をするも、時間のせいもあってか留守電だったが
我々は〔酒場の神様〕を信じ、町屋へ行ってみた。
Googlemapを見る限り、駅からまぁまぁな距離である。
しかしこの「陸の孤島感」が隠れた名店の証だと言うのは
もう酒場ナビでは口うるさく言ってるから、皆さまお分かりであろう。
町屋駅から20分ほど歩いただろうか
こんなところに店あるんかいな?ってところに突如現れた本日のターゲット。
え?
団地の下・・・!?
「ますだ」とだけ書かれた表札のデカさは恐らく日本中の「ますだ」の中でもトップ3に入るであろう。
「やきとん ますだ」
果たして、今日は本当に営業してるのであろうか?
店頭の貼り紙には16時30分開店と書いてある。
まもなく16時30分になろうとしている・・・
徐々に不安になってくるボクに酒友がこう叫んだ。
「換気扇動いてるぞっ!!!」
やはり持つべきものは信頼できる酒友だ。
「へぇ~肉の卸売りもやってるんやぁ~」
「結構な種類の部位売ってくれるんやなぁ~~」
なんて感心してると・・・
「ガラガラガラ」
ドアが開き、ママさんが出てきた。
そしてその瞬間にタイミングよくやってきた2組の常連さんたち・・・
はじまる、ついにはじまるぞっ!!
「こんちわっ!2人行けますかっ!?」
キラキラした目でボクはママさんに問いかけた。
しかしママさんの返答は・・・
「ごめんねぇ~今日は予約でいっぱいなの~~」
との事だった。
先程のキラキラ目は涙のキラキラに変わろうとしていた・・・
しかし、このままでは諦められない。
電車に乗って、歩いてやっと来れた酒場だ。
このまますんなり終わるわけにはいかないのだ。
「ま、まじっすか・・・1杯だけでも無理ですかね?」
「う~ん、予約がねぇ・・・」
「10分だけでも良いですっ!!いや、なんなら5分だけでも・・・」
「・・・ちょっと待ってね!」
そう言い、誰かに電話しだしたママさん。
「今日の予約って何時からだっけ?」
恐らくマスターに予約状況を確認してくれてるのだろう。
緊迫する店前の空気感・・・
とても長く感じた数分後
「予約が18時からだから1時間くらいで良ければどうぞ。」
とママさんが言ってくれた。
今日もありがとう酒場の神様・・・
やはり真面目に呑んでたら良い事あるのだと再々々々々……確認。
見事「やきとん ますだ」へライドオン成功。
もうこの時点でほぼほぼ勝ち試合決定だ。
「ごめんね、今一人だから全部遅くなっちゃうけど・・・」
全然良いんです。
入店させてくれただけでも感謝。
そうか、マスターは開店時間になってもやってこない”破天荒スタイル”か・・・
これは期待出来るぜ。
ボトルキープの数が店の愛され具合を示している。
鏡月のデカいペットボトルサイズをボトル風に出すのが豪快でカッコいい。
うん、きっとマスターも相当な大酒吞みなんだろう。
大好きなキンミヤだってあるから言うことなし。
「キンミヤソーダ割り」
ドリンクを持ってくる前にママさんはおしぼりを何故か『一人二つ』渡してくれた。
その意味とは
「一つはおしぼりで、もう一つはコースター代わり」と説明を受けた。
今まで日本各国色んな酒場へ行ったが
おしぼりの”二刀流”は初めての経験だ。
しかもおしぼり用はしっかり温かくて、コースター用は冷たいという細かい配慮も素晴らしい。
さて目的の絶品肉をどう攻めようか
刺し、焼き、煮込み、一品料理と色んな調理法で食べてみたい。
じっくりと考えよう・・・
いや、まてっ!
我々には1時間制というタイムリミットがあったんだ!
モタモタしてられない
早くママさんに注文をしようにも、未だワンオペで忙しそうなママさん・・・
マスターは何してるんだ・・・
大酒吞みだからきっと前日の夜から昼くらいまで吞んでて、まだ寝てるのかもしれない。
今我々に出来る事は・・・
「早くマスターが来てくれ!」と祈るのみだ。
本日のオーダーを頭の中でイメージする事が出来たので
隙をみて、ママさんにコール。
ガツ刺しが2800円に見えますが、600円と激安なのでご安心ください。
「お通し」
「ガラガラガラ」
ドアが開く音がした。
ついにマスター登場かっ!?
と入口を見ると・・・
お子様と綺麗なママさん
如何にこの酒場が地域密着型なのかというのが分かってくる。
しびれを切らしたママさんが電話している。
遠くからでもしっかりと聞こえた
「いつ来るの?」
と少しだけ呆れた声で。
ボクは信じてるさ、酒(主)役は遅れてやってくるもんだ。
明らかに狂いまくってる時計を無視し、自分のケータイで時間をチェック。
大丈夫、まだ時間はある!
そんな時一人の女性が店内に入って来て、そのまま厨房へ。
何をするかと思えば、ビールをジョッキに注ぎ、先程の親子さんのテーブル席へ直行した。
「客が働く酒場は名店が多い証拠だぁ~」
なんて微笑んでると
厨房からママさんが
「ちょっと!えりちゃん、働いて!!」
と先程のビールジョッキ女性に言い放った。
えりちゃん働いて???
え、え・・・
まさか?
店員さんなん??
「いや、店員かぁぁい!!!」
我々は思わず、突っ込んでしまった。
ママさんはすかさず
「私と娘の二人でやってるの。あの子だけよ、家族でお酒吞むのは・・・」
と反応してくれた。
え、どういうこと?
勝手にマスターが居ると思ってたけど・・・
まさかの母と娘のツーオペっ!?!?
今日一番の衝撃・・・
「えりちゃんいい加減にしてっ!」
そう注意するママさんをフル無視し
自分のビールジョッキを吞み終えた”えりちゃん”はようやく働きはじめた。
「刺し盛り合わせ」
結局悩みに悩んだ末、注文したのは刺しの一点張り。
本気で肉と向き合うのは刺しが一番だと思ったからだ。
さすが肉の卸売りもやってるだけあって、鮮度抜群。
光り輝く肉刺しのおかげで箸が止まることはなかった。
まさにライオンになった気分
そう我々はライオン。猛獣のごとく肉を喰らった。
酒が全く足りねぇぇ!という事で
キンミヤソーダ割りをメガジョッキでコール。
えりちゃん「お酒進んでないんじゃないですか~?」
ボク「いや、吞みまくってますよ!!」
えりちゃん「はい!イッキ、イッキ~~~♪♪」
キャラの強いえりちゃんを前に我々はライオンどころか子猫ちゃんのように弄ばれてる。
まさかここで「イッキコール」をやっていただけるなんて・・・
肉目当てで来たけど、次からはえりちゃん目当てで来てしまいそうだ。
残念ながらすぐにタイムリミットはやってきてしまった。
帰り際、ママさんはハッキリとこう言ってた。
「えりちゃんはね、言うこと聞かないけど・・・
結局来るお客さんたちはほとんどえりちゃんの知り合いばかりだからね・・・。」
料理の腕も大切だが
やはり「集客力」こそ、飲食店の最大の武器
そこに笑いと癒しがあるから、みんな飽きずに通うのだ。
次来る時はちゃんと予約して、更に肉をテイクアウトもしよう。
芝浦食肉市場にある「増田商店」にも挨拶行きたい。
えりちゃんという武器がありながら、それでいて超旨い肉があるのだから・・・
(写真提供:イカ)
増田家恐るべし・・・
やきとん ますだ(やきとん ますだ)
住所: | 東京都荒川区町屋7-9-20 108 |
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TEL: | 080-1361-1038 |
営業時間: | 17:30〜23:00 L.O22:30 |
定休日: | 日曜祝日 |