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盛岡「細重酒店」サウイフ角打ちニ、ワタシハイキタイ【おまけ記事あり】

 

【おまけ記事】偶然、22歳の女の子と新幹線で飲んでみた

 

 

 

岩手県盛岡にある『細重商店』で酒を飲み、しばらく盛岡の街を楽しんだ後、東京に帰るために私は東北新幹線に乗り込んだ。

 

時刻は19時。

発車まで20分ほどあったが、私は駅のコンビニで購入した缶チューハイとつまみを広げ、東京まで数時間の〝ひとり宴〟をはじめようとしていた。

 

私は自由席の一番後ろの席に座った。
発車10分前になると、客もポツポツと車内に乗り込みはじめ、私の席の横を通り過ぎては席を埋めていく。そういえば『細重酒店』の女将さん、東京が大雨だって言っていたが大丈夫だろうか……、

 

あれ……?

 

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何人目か、私の席の横を通り過ぎたうしろ姿に見覚えがあった。

その女の子は、私の席のかなり前の方で止まり着席した。

 

うーむ、あのうしろ姿、服の雰囲気、どこかで見たような……。

 

 

 

・・・

 

 

 

盛岡駅を出発して、仙台駅を過ぎた頃。

やはり気になった私は、缶チューハイを窓際に置き、前方車両にあるトイレへ向かった。

そうなのだ、戻って来る時に顔を見てやろうという魂胆なのだ。

 

私はその女の子の席を一旦通り過ぎ、小便を済ませた後、自分の席に戻りつつその女の子の顔を見た――。

 

 

 

「えっ!?」

「あ――!!」

 

お互いに指を差し合う。

 

 

 

その女の子は『ユナちゃん』だった。

 

 

 

『ユナちゃん』とは、イカが以前〝22歳の女の子と立石で飲む〟という記事を書いていたのだが、その〝22歳の女の子〟というのが『ユナちゃん』なのだ。

 

実は私も、記事が公開された後に一度イカから紹介してもらっていて、多少の面識があった。

 

 

「ユナ…ちゃん、だよね……?」

「あはっ!奇遇ですねミロンさん!」

 

ユナちゃんは口元で手の平を広げ、まん丸い眼で驚いた表情をみせた。

聞けば地元がこっちの方で、たまたま帰郷していたというユナちゃんと、たまたま東京に帰る新幹線が一緒だったのだ。こんな奇遇、本当にあるのかと驚く……、いや、これはまさに『奇跡』だ。

 

「あ……、俺の隣がまだ空いてるから、来ない?」

「いいんですか?じゃあせっかくなので行きますね」

 

イカに紹介された時は殆ど会話をしておらず、誘ってみたものの若干の緊張があった。

 

 

 

「ヨイ…しょっと」

 

車内は、通路を挟み三列シート、二列シートが並んでおり、私は二列シートの窓側に座っていた。
そこへ突然、『橋本 愛』似の22歳の美少女が、肩同士が密着するくらいの距離で座ってきた。まぁ、私が誘ったのだが……。

 

「あ…あのユナちゃん、酒飲む?」

「え?頂いていいんですか?」

「もちろん!〝酒ゴング〟しようよ」

 

「あはっ!望むところですっ!」

 

ででで、出た――っ!!

望むところですっ!〟出た――――っ!!

 

イカの記事では知っていたが、実際本人の口から聞くと、何だか堪らない感情が込み上げてきた。

 

そう、その時私は、

 

 

ドキドキしていた……。

 

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「あ、そうだミロンさん、おつまみたべます?」

「食べる食べる!」

「じゃあ、ちょっと前を失礼しま~す」

(えっ……)

 

ユナちゃんは、席の上部にある荷物置き場に両手を伸ばして、かばんの中をゴソゴソとつまみを探しているのだが……、

 

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(ち…、近いっ!!)

 

ゆったりとした薄い服からは、華奢な体に似合う〝控えめ〟な胸の膨らみのシルエット……。そのせいか、あと少しで私の顔に当たりそうで当たらない。

 

「あ、あった」

「お…おー、よかったよかった」

 

少し残念な気持ちと共に、ユナちゃんは手に何かを持ったまま席に座った。

 

 

「はい、どうぞ」

「あ、ありがと……、『菜ころん』?」

「帰りにわたしのお姉さんが買ってくれたんです」

 

『菜ころん』

はじめて見るものだったが、仙台の『かまぼこ』の一種らしい。仙台といったら『笹かま』であるが、このかまぼこは〝ふんわり感〟が『笹かま』よりもあり、優しい食感に仕上がっている。

 

「わたしも食べちゃお」

「うん、これうまいよ」

 

「ハモハモ」

「ど……どうユナちゃん?おいしい?」

「ハモハモ、おいひーれふーハモハモ」

うっ……、なんて自然かつ、純粋な〝追い越しボーノ〟だ……。さすがイカが〝恋煩い〟するだけあり、かまぼこを咥えるひとつにしても、他の女の子とはひと味違う。

 

「ハモハモ、ミロンはん、こちらもどーれす?ハモハモ」

「ユ、ユナちゃん、飲み込んでからで大丈夫だよ(か、かわいいっ!!)」

「ふぁあい」

 

そう言って、今度は鮭、チーズ、貝ひもなどが小さくカットされたつまみを出してくれるユナちゃん。

 

「あはっ!実は食べかけでーす」

「あー、全然いいよ。貰ってもいいかな?」

「ちょっと待ってくださいね。…どれが出るかなぁ~?」

 

ユナちゃんは、つまみの袋に手をゴソゴソと入れ一つだけ取り出し――、

 

「ミロンさん、手を出して」

「え?……はい」

 

それを私の手の平にポンと乗せた。

 

「当たりです」

「え?当たりとかあるの?」

「ないです」

「な…、なんだよ」

「あはっ!」

 

 

 

16歳……。

私が高校生一年生の時に産まれた子と、今、何の因果かわからないがこうして一緒に酒を飲み、そして〝弄ばれて〟いる。

缶ビールを飲むその仕草は、まだまだ幼さも感じるものの――、

 

 

なぜ……、

 

なぜか……、

 

なぜなんだろう……、

 

ユナちゃんをひとりの〝女性〟と意識している自分がいた――。

 

 

 

「ミロンはん?」

「はっ、はいぃぃぃっ!?」

「ろーしたんれすか、もーふぐとーきょーつきまふよん?」

「あ…、うん……って、ユナちゃんも、そろそろおつまみ飲み込みなよ(クーッ、かわいいっ!!)」

 

 

 

あっという間の時間だった。
気づけば、窓の外には大都会の夜景が出迎えている。

 

しかし……、

夜も大分遅いけど、ユナちゃんをこのまま帰してしまっていいのか自分……?

 

……ええーい!!

 

 

 

 

 

『東京~、東京です。お忘れ物がないよう――……』

 

 

 

「ふー、着いたぁ~」

「あ…、ユ、ユナちゃん…もしよかったらこの後…、」

「じゃあミロンさん、あたしこっちが出口なので!」

「お……おー!じゃあね、気をつけてね……!」

 

 

 

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ペコリと頭を下げ、スマホを見ながら改札へ向かうユナちゃん。

 

こんなモヤモヤした気持ち、何年ぶりだろうか。

 

 

ただ帰っていく背中を見ているだけなのに、何故か〝失恋〟したような気分だった。

 

 

 

……いや待て、

 

イカはユナちゃんに失恋したが、自分は、違う!!

 

彼氏がいるらしい?
そんなモン、しらねーよ……!!

 

 

 

遠ざかっていくユナちゃんに、私は思わず駆け寄り声をかけた。

 

 

 

「ユ、ユナちゃん!!」

「――はい?」

「こ、今度……今度また、二人で飲んでくれるかな!?」

 

 

「あはっ」

 

「……え」

 

 

 

「それは望まないでください」

 

 

そう言うと、ユナちゃんはそのままエスカレーターに、消えた。

 

 

 

私はすぐにイカへ連絡をして、飲み屋で朝まで語り合ったのだった。

 

 

 

 

 

おまけ記事 終

 

 

 

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