酒場ナビスペシャル『酒場人観察記』/カリスマジュンヤ(ロック歌手)

 

2017年2月冬。

 

私は中野のある酒場で飲んでいた。

飲み始めて間もなく、私の携帯電話が鳴った。

 

相手は酒場ナビカリスマジュンヤ。電話に出る。

 

「ウェ~ィ!今から飲みに行きはんなりしませんかえ!?」

 

京都・福知山弁で彼が飲みの誘いをしてきたのだ。
他に予定もなく、私は了承した。

 

「ダァーッシャッシャ!!ほな、これから中野に行きますわ!(プッ、ツーツー)」

 

時間も待ち合わせ場所も何も決めてないまま電話は途切れた――。

 

 

 

 

 

 

酒場ナビスペシャル『酒場人観察記』

 

酒場人――。

 

それは酒場を愛し、酒場に生きる人々――。

 

これは、そんな酒場人が酒場ではどんな発言や行動をするのかを観察したドキュメンタリーである。

 

初回である今回、酒場ナビメンバーのカリスマジュンヤを観察する。

 

 

 

・・・

 

 

 

20分後――。

 

中野駅前の喧騒の中、また携帯電話が鳴った。

 

「中野の北口着いたッス!」

「北口ね、わかったー」

 

私は中野駅北口へと向かった。

 

 

 

「お~い!! ここッス!!」

 

声の方を見ると、そこには真冬だというのに半袖姿のカリスマジュンヤが汗まみれで手を振っていた。

 

 

 

 

カリスマジュンヤ27歳。職業、ロック歌手。
マイクより缶チューハイの方が多く握ってると本人は語る。

そして人々は彼のことをこう呼ぶ。

――”大衆酒場のカリスマ”

 

 

 

 

 

その異様な出で立ちに、私は思わず聞いてみた。

 

「え!?どうやってここまで来たの!?」

「マラソンッス!」

 

なんと大のマラソン好きの彼は『幡ヶ谷駅』から『中野駅』までの約4kmを走って来たのだという。

 

「ウッス!じゃあ、ボク行きたい店あるんで行きまっしょい!」

 

私の驚く間もなく、中野の飲み屋街へと颯爽と向かうカリスマジュンヤ。

 

 

 

 

 

「あんれー?どこやったかなー?」

「行った事ある店かい?」

「そうッス!『燿 (ヒカル)』って店なんスけど、ちょっとスマホで調べてみますわ!」

 

そう言って少し待っていると突然カリスマジュンヤは絶叫した。

 

 

 

「うせやんっ!!潰れてるやん!!」

 

どうやら『燿 (ヒカル)』は閉業してしまったらしい。

 

「なんでや!?店長のおっちゃん、店名を自分の娘の名前と同じ”ヒカル”にしたから頑張るんや言ってたやん!!潰れてもーてるやん!!」

 

とんでもない『燿 (ヒカル)』のマイナー情報を”噛まず”に説明してくれた彼は、胸に十字を切り、気を取り直して別の店を探し始めた。

 

 

 

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休日ということもあり、どの店も混んでいる。
そして、やっとのことで入れた店が『四文屋』であった。

 

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『四文屋 中野北口店』

 

実は私もカリスマジュンヤもここの『四文屋』に入るのは初めてであり、意外と広い店内に驚いた。

 

 

 

「よっしゃ!端から端の料理頼んだろかい!」

 

何でも”全力投球”の彼の提案を制止し、定番メニューの『やきとん』と『煮込み』を注文。

 

 

 

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上から『ハツ』『カシラ』『炙りレバ』『トロ』

 

チェーン店ならではの安くて安定した味。ここ『四文屋』や『秋元屋』のあまり大衆酒場に行かない一般人にも『やきとん』の認知度を高めた功績は大きい。

 

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『煮込み』

 

今でこそ他にも”煮込み”に関してはうまい店をたくさん知っているが、田舎から出てきて初めて四文屋の煮込みを口にしたときは衝撃を受けたものだ。

 

 

 

「ハッ!ハフッハフッ! ウマイッスね!」

 

トレードマークの金髪がタテガミに見え、『モツ肉』を貪り食う姿はまるで百獣の王ライオンの様に見えるカリスマジュンヤ。
そんなライオンも食べているときは静かだったのだが……。

 

「うわあああ!? 『ロック』やん!?」

 

突如、天を仰ぎ”雄叫び”を上げた彼の理由は、ある店員の名札に書いてあった”名前”だった。

“ロック歌手”ということもあり、酒場と同じくらい音楽好きで人一倍”パンク”や”ロック”というワードに敏感なカリスマジュンヤは、東南アジア系の外国人店員の名札に『ロック』と書いてあったことに興奮状態となったのだ。

 

「なんでや!?なんで『ロック』なん!?本名なん!?」

「イイエ、ロック、スキダカラ、カイテルー」

「うせやんっ!?ワタシモーロック、スキデスー」

 

興奮のあまり思わず外国人店員の言葉がうつるカリスマジュンヤ。そしてどういう理由か、その店員と一緒に記念撮影をするのだった。

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「めっちゃええ店や~!テンション上がったんでボク”梅割り”飲みますわ!!」

 

“ロック”という言葉だけで気を良くした彼は、四文屋名物『梅割り』を注文。『梅割り』とは、焼酎グラスに”キンミヤ焼酎25℃”をストレートで入れ、その上から梅シロップを並々と注ぎ溢れさせて”モッキリ”状態で飲ませてくれる酒だ。因みに一日3杯までしか飲めないルールがある。

 

注文してすぐに、さっきとは別の外国人女性が焼酎とシロップを持って注ぎに来た。

 

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「おねーさんもっとや!もっと!」

「ウーン、アトスコシネー」

 

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「あとちょっと入れてや!!」

「ウーン、ココマデネー」

「ダァーッシャッシャ!!」

 

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見事に”欲張りモッキリ“を成功させたカリスマジュンヤ。そしてなぜかまたその店員とも一緒に写真を撮るのだった。

 

 

 

「アノー、ボクモ、シャシンウツリタイデス」

「よっしゃよっしゃ!なんぼでも撮ったろかい!」

 

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この異色の客に興味を持ったさらに違う外国人男性店員が一緒に写真を撮ろうと話しかけてきた。
傍から見れば、なぜか盛り上がっている謎の金髪と店員は、さぞ異様に見えたに違いない。

 

 

 

ターンッ!!

 

と、気づけば3杯目の『梅割り』の空きグラスを置き、

 

「ヘベレケじゃいっ!!」

 

と言い、フラフラで店を出ようとしたところを、ダメ押しの「ミンナデ、シャシントロウ」という店員からの申し出にも快諾するカリスマジュンヤ。

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「ごっちゃんでした!!」

 

と、撮影後に言い残し、私を忘れてひとり幡ヶ谷へとマラソンで帰る彼の背中には『酒場人』としての面影が見えた。

 

 

 

 

 

――カリスマジュンヤ。

 

彼が酒場へ行けばそこが『輪』となり、

彼が酒場を去ればその跡は『和』となる。

 

京都が生んだ酒場人・カリスマジュンヤの酒場人生はまだ始まったばかり――。

 

 

 

 

 

酒場ナビスペシャル『酒場人観察記』 (終)

 

 

 

四文屋 中野北口店(しんもんや なかのきたぐちてん)

ジャンル: 居酒屋、焼きとん、焼鳥
最寄り駅: 中野駅から259m
住所: 東京都中野区中野5-58-1
TEL: 03-5380-2188
営業時間: 16:00~23:00
定休日: 無休

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投稿者プロフィール
2016-11-30-11-56-03
【出身地】
秋田県秋田市
【オススメの酒場】
信濃路(鴬谷)
【お気に入りの酒】
焼酎紅茶割り
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