山谷「やきとりや むとうさん」ドヤ街の先輩と盃を交わしてきた。
「綾瀬に物凄い店員さんがおる店あんね~ん!」
酒場ナビのグループLINEが夜な夜な鳴り響いた。
イカ氏からであった。
「もしその店が閉まってたり入れんかったりしても、綾瀬やったら場所的にも”キタもあるし”ミナミ“も行けるし、明日誰か呑みにいきまへんか?」
どうやらこの男・・・
北千住、南千住のことを「キタ」、「ミナミ」と略して呼んでるみたいだ。
関西出身のイカ氏と筆者(カリスマジュンヤ)からすれば、「キタ」と言えば、大阪の梅田近辺を指し、「ミナミ」と言えば難波近辺の事を指すのが一般的である。
確かに我々は今東京に住んでるが・・・
東京の人は果たして北千住の事を「キタ」と言い、南千住の事を「ミナミ」というのか?
そんなの聞いた事もないし、恐らくだがNOだと思う。
そんな事を討論してるうちに、すぐに”ミナミ”へついた。
「せっかくやし、寄り道するかぁ〜!」
南千住を寄り道すると言う・・・
粋な事をしてみた。
そう南千住と言えば、日本三大ドヤ街の「三谷」がある街でもあり、あの『明日のジョー』の舞台になった場所でもあるのだ。
筆者のなかで空前の大ブームである「ドヤ街呑み」がジョーの街で出来ると考えるとテンションが上がらないはずがない。
南千住駅に舞い降りた。
駅を降りてすぐのところにある「大坪屋」はこの日土曜日であったが、理由不明の謎の休み・・・
この辺のテキトーさも南千住っぽくって良い。
まだ日も明るく時間にも余裕があったので「いろは会商店街」へジョーたちに会いに来てみた。
この「いろは会商店街」もなかなかパンチが効いていて、段ボールを敷いて寝てる特殊先輩の方々が多数居たり
商店街の地べたで酒を呑んでる方が居たりなど、異様な光景なのだ。
改めて『明日のジョー』が舞台となった「三谷」という街はすごいなと、毎回思わせてくれる。
ジョーの模型が見たいが為に、安易な気持ちで山谷に行くのは辞めておいたほうが良いが
本心では是非とも行って欲しいと思う。
山谷の街を一周回ってると、イカ氏が前から気になってたらしい「日正カレー」が姿を現した。
神保町などにあるオシャレなカレー屋さんとはかけ離れた、渋すぎる佇まいのカレー屋さんである。
ここでちょっと休憩がてらに、カレーでも食べながら一杯呑みますか!と
奥義”暖簾引き”で店内の様子を伺ったのだが、まさかの16時閉店と変則的な営業時間にシャットダウンされてしまった。
しかたがなく、また山谷を散歩するのだが・・・
誤って出たら確実に大怪我をするであろう「大和荘」があったり・・・
「甲子園球場」以上に”蔦”で覆われて、もはや廃墟を超えたとんでもない民宿があったり・・・
一体どんな人がここに住んでるのか気になりまくった。
自炊も出来るみたいなので、クレイジーな旅人の方は是非ともここで一泊して頂き、お話を聞きたい。
立ち並ぶ民宿と陳列された多数の自転車はドヤ街を証明してくれる。
「ジュンちゃん、ほなそろそろあそこで一杯やろか。」
イカ氏に雰囲気バキバキの居酒屋?屋台?人ん家?・・・よく分からない酒場へ連れてこられた。
店内と道路にはみ出てる席はすでに三谷の特殊先輩の方々によって賑わっていた。
「二人やけど、いけまっか〜?」
「おう!兄ちゃんたち!この椅子に座んなよ!」
店員さんではなく、特殊先輩の方が我々を誘導してくれた。
少しボロめの年季の入った椅子にお邪魔させて頂いた。
焼き台もあるし、どうやらこの店は焼き鳥屋さんであるみたいだが・・・
誰一人何も食べてないし、店主さんも何も焼いてない。
とりあえず前金で700円払って、ジョッキではなく缶ビールを2本頂き、ようやく三谷での酒ゴングが鳴らされた。
早速いつものように店内観察をするのだが、ここでは店内より特殊先輩の方々の方が気になって仕方がない。
この女性が身につけてる指輪はひとつ何百万円するのだろうか。
我々を誘導してくれたこちらの方が恐らくボス的存在の方であろう。
荒い口調でさっきから暴言ばかり吐いている。
「安倍政治はよぅ〜ホントにクソなんだよ!」
「この前ここでケンちゃんと呑んでたんだけど、先に帰ったケンちゃん道端で潰れてたよ。ホントにアイツはロクでもねぇ!」
「さぁ〜もう良い感じに酔ってきた事だし、その辺で寝るかぁ〜」
ひとつひとつの会話にパンチがありすぎて、我々は無言でその会話に耳を傾けた。
どんな最高の音楽よりも酒場ではやはり人声が最高のBGMになる。
今この酒場でビートルズの名曲が流れても、この特殊先輩の会話BGMには勝てる事は出来ないであろう。
そのくらい心地よかった。
後から続々とやってくる特殊先輩の皆さま・・・
この女性の方は足元がオシャレすぎる。
パリも三谷もやはりオシャレは足元からなのであろうか、オシャレ基準に関してはやはり世界共通なのである事が改めて感じとられた。
パリコレファッションショーの日本代表はこのお姉様に任せたいくらいだ。
そんな事を考えながら呑んでるとさっきから
ボス的存在の特殊先輩が
「ライターがねぇ!!!」
と叫び倒してる。
気を使ったイカ氏が急いで特殊先輩のタバコに火をつけてあげた。
(この特殊先輩、なぜか股間に自分の鍵を吊り下げてた)
酒場ナビが三谷に認められた貴重な一枚の写真がこちらだ!!!
三谷のボスと盃を交わしたイカ氏がなんだか羨ましく思え、筆者はノースモーカーであるが
今後ドヤ街に来る際はタバコとライターを持ち歩こうと強く誓った。
ところで今更ではあるのだが、この酒場の店名を知らなかったので
イカ氏に聞いてみたのだが知らないとの事だった。
確かに看板は無いし、暖簾にも何も書いて無い・・・
特殊先輩に聞いてみると
「おやっさんが武藤さんって名前だから、俺たちは『武藤さん家』って呼んでるぜ。」
との事だった。
確かに武藤さんである事は間違いないみたいだ。
あとからネットで調べてみたのだが、正式名称は「やきとりや むとうさん」というのがわかった。
誰も焼き鳥を食べてなかったが、せっかくなので焼き鳥を何本かテキトーに焼いてもらう事にした。
焼き鳥が焼かれるのを待つ時間に
何も食べず、かと言って酒を呑み続けるわけでもない特殊先輩を見て、「この方たちはいつ帰るのだろうか?」と素朴な疑問を抱いた。
冷蔵庫ではなく、冷凍庫から出した焼き鳥を焼く武藤店主。
正直味なんてどうだっていい・・・この雰囲気が楽しめればそれで良いのだ。
この雰囲気が最高の酒のアテになるのだから・・・
そして「やきとりや むとうさん」渾身の焼き鳥がこれだっ!!!
見た目は悪くない・・・
しかしここで一番気をつけて欲しいのは、外呑みの席はしっかりとした机がないと言うことである。
席が埋まってて、机代わりの椅子が無い時は
最悪タバコが落ちてる地べたに置かないといけないかもしれないので覚悟して置きましょう。
缶ビールに地べた焼き鳥となると、”お祭りに来て屋台で買った焼き鳥を公園で呑み食いする”あの感覚と同じでドキドキした。
勿論興奮度でいうと日本各国どこのお祭りでも勝てないくらい、山谷の外呑みは刺激的だ。
躊躇なく焼き鳥をかぶりついた。
タレは砂糖を使ってないんじゃない?ってくらいしょっぱめの味で、甘くなかったので筆者好みだった。
「どや?美味しいでんやろ?」
筆者の反応にイカ氏は得意気だった。
昼からドヤ街で特殊先輩たちと一緒に呑んでる・・・
なんだかとても悪い事をしてるように思えた。
中学生の時、粋がってタバコ吸ってたあの感覚と似てるのではないか・・・
大人になってもずっと悪さはしたいものだ。
「じゅんちゃん、あの先輩と乾杯してきたら?」
先程タバコの件で盃を交わした特殊先輩との酒ゴングを薦めてきたのだ。
そういえば、まだ筆者はこの山谷に認められてない気もする。
思い切ってドンである特殊先輩に乾杯を求めた。
特殊先輩は優しく「いらっしゃい」と優しく包み込んでくれた。
寿町の先輩といい、西成の先輩といい・・・
「ドヤ街の酒場って本当に怖い人居るの?」ってくらい優しくてノリの良い人ばかりだ。
まだまだ続くドヤ街呑み。
西成、寿町、山谷以外でもこんなDEEPな街あります!と言った情報ありましたら、是非とも教えてください。
小さな情報でも構いませんので、こちらのお問い合わせよりよろしくお願いします!
全国各地飛んで行きますので愛のあるご連絡心からお待ちしております!!!
そして文頭で言ってた『綾瀬の物凄い店員さん』に逢いに、三谷をあとにし綾瀬へ向かった。
やきとりや むとうさん(むとうさん)
住所: | 東京都台東区清川2-3-1 |
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TEL: | 不明 |
営業時間: | 16:00-22:00 |
定休日: | 不明 |