本八幡「八幡や」 届け孫へ・・・おじいちゃん頑張ってるよ!!
前回の本八幡ナイトの続き・・・
前回記事をご覧になってない方はそちらから読んでもらうとより酔える内容になるでしょう。
酒場難民になりかけてたところを、救ってくれた一軒の〔救世”酒”〕・・・
「八幡や」
先ほどの「わたらい」と同様に立派な暖簾と大きな「八幡や」の文字に
吸い込まれるようにライドオン。
「すみません、一人いけますか・・・?」
「あと30分くらいでラストオーダーだけど、それでも大丈夫?」
うん、長居する気はサラサラない
そしてこちとら酒場を選んでられる身分でもない。
「はい、すぐ帰るんで3杯だけ呑ませてください〜」
なんとか渋い酒場へ辿り着くことが出来た。
「酎ハイ270円か・・・」
「烏龍ハイに関してはPM10時までだと250円・・・」
本八幡って本当に安い酒場が多いなと感心してると
マスターが
「2杯以上呑むなら、こっちのセットがオススメだよ」
と別のメニューを差し出してくれた。
『お疲れさんセット』
生ビールと2杯目
前菜と串3本がついてくる
ちょうど酔い塩梅のセットだ。
そしてこれが1000円だなんて嬉しい限りだ。
「生ビールと前菜」
ハシゴに少し時間がかかってしまったので
ほぼほぼ本日1杯目感覚の生ビール。
店に入ってから気づいたけど、お客さんボク一人か。
「あ、すんません。もしかしてもう閉めるところでした?(汗)」
「いや、大丈夫だよ〜閉めようかと思ったけど、今日あんまり売り上げ良くないからもう少し頑張ろうって思ってたところだからさ」
よし、こう言われたなら気を遣う必要なんて1ミリもない。
早速2杯目の酎ハイをお願いすると
そのタイミングでマスターが
「お兄さんはさ、なんでこの店に入ろうと思ったの?」
と話しかけてくれた。
「暖簾と赤提灯が渋かったんで、吸い込まれましたよ!」
「あ〜、あれはねぇこの店を開店した時にお世話になってる酒屋さんが作ってくれたんだよ」
先ほどのわたらいのドデカキンミヤボトルもそうだが
酒屋さんが店に開店祝いをしてくれるのは昔からある文化なのか・・・
「カッコいいよね、この暖簾。作るのに結構良い値段したと思うよ」
「ちなみにここは創業何年くらいなんですか?」
「もう45年になるねぇ〜」
「45年っ!!!マスター、2代目とかですか!?」
「違うよ、ここは俺が作った店だよ」
「凄いっすマスター!」
この店に入れたボクの〔酒場センサー〕は
今宵もギラギラに研ぎ澄まされてるようだ。
「さっきのセットなんだけど、焼き鳥が1本選べるけどどれにする?」
「じゃあ塩タンでお願いしますっ!」
「ちょっとさぁ〜愚痴みたいになっちゃうんだけどさ、聞いてくれる?」
「え、どうしたんですかっ!?」
入店した時は
寡黙そうなマスターと思ったが、結構おしゃべりさんなマスターで嬉しい。
マ「お客さんが来て欲しいからこの『お疲れさんセット』作ったんだけどね」
マ「ほら、若い子たちってせんべろってのが好きなんでしょ?」
マ「このセット目当てに若いお客さん増えたんだけど・・・若い子たち全然呑まないからさ・・・」
マ「なのにこのお疲れさんセットで2時間も居たりするの・・・これじゃ正直儲けが出ないのよ」
ジ「せんべろセットあるあるですよね・・・」
マ「だから思い切って、システムを1時間1000円にしたの」
マ「これだと呑まない子は1時間で帰ってくれるから、回転率も上がるしね」
マ「こんなことするのって意地悪なことなのかな〜」
ジ「いや、大正解だと思います。カフェみたいに使われるのもね・・・」
せんべろシステムを導入するのって覚悟が要りますね・・・
「焼きとり、骨つくね、塩タン」
焼きたての焼き鳥を目の前にして
あと1口で無くなってしまう酎ハイだけで戦う事は
120℃のサウナに水無しで挑むくらい過酷なのは知っている。
「マスター、追加でお酒の注文しても大丈夫ですか?」
「うん、勿論だよ」
「ありがたや」
「ここには書いてないけど、呑む人には時間のことは言わないようにしてるんだ」
マ「あとね通常メニューをよく見て欲しいだけど、通常でも2時間制にしてるの」
ジ「1、2杯でずっと居座る方がいるからですか・・・?」
マ「その通り!こうやって書いとかないとラストオーダー取れないじゃん?本当はこんなこと書きたくないんだけどね・・・」
やはりどこの街にも1杯で粘る強者がいるんだな・・・
ちょっと癖強めだなと思われるかもしれないが、ボク的には全然アリだと思うし
このやり方で45年やってこれたのだから、それが答えだろう。
「出汁巻玉子焼」
そんなちょっぴり癖ありマスターが作るだし巻き玉子は
意外にも甘いヤツ。
「よかったらマスター1杯呑んでくださいよ!」
「オレさ、酒呑まないんだよ。ありがとね」
「あ、マスター下戸なんですか」
「気持ちだけ受け取っとくよ」
壁には何も間違ったことを言ってないメッセージ書きが。
言い方、書き方って大事だなぁ〜って思う納得する書き方だ。
ちょっと禁止事項多くない?
って思う人も居るからもしれないが、全員が気持ちよく呑むにはやっぱり酒場にルールって必要である。
そしてこんなルールを店側に作らせてしまったのは
我々客側のせいであることを今一度理解しときたい。
「マスター、お会計お願いします!」
「ありがとう〜1700円だね」
2000円渡し、お釣りは要らない旨を伝えると・・・
「ありがとね、じゃあここに募金しとくね」
と貯金箱に小銭に入れられた。
「それ貯まったらどうするんですか?」
「宝くじを買うんだ。もし当たったら熱海旅行でも行こうよ」
「酒場の神様にお祈りしときます」
「その時はお兄さんも誘うからねぇ〜」
「そういえばさ、さっきから写真撮ってるけど・・・何かやってる人?ほらYouTubeとか、オレあまり分かんないんだけど」
「YouTubeもやってますよ!この店ネットで宣伝しておきますね!」
「ありがたいねぇ〜この前さ、たまたま有名なユーチューバーの子が来てね、この店をYouTubeにアップしてくれたらしいの」
「その動画効果でお客さん増えたんちゃいます?」
「それも嬉しかったんだけどね、もっと嬉しいことがあってね」
「どうしたんですかっ!?」
「その動画を見た、俺の孫がさ”おじいちゃん、YouTube出てたよ”ってわざわざ電話くれたんだよ」
「それは嬉しいっすねぇ」
「子供の頃はよく”おじいちゃん、あそぼ〜”なんて言ってくれてたけど、もう大人になると喋ってくれなくなるじゃん」
「ですよね・・・」
「だから物凄く嬉しかったんだ!」
そう話すマスターの顔は今日一番の笑顔だった。
「マスター、最後の最後でめちゃくちゃ良い話ありがとうございました!」
「こちらこそ色々お話聞いてくれてありがとね」
「ボクがこの八幡やをネットでバッチリ紹介しときますんで、もう一回お孫さんから連絡が来る覚悟しといてくださいっ!!」
「あはは、ほんとありがとね〜今日は遅くまで店開けといてよかったよ」
マスターと漢の約束を交わし、店を出た。
まだ少し肌寒い本八幡の夜風
すっかりボク自身まで気持ちよくなってしまったが、冷静に考えると・・・
年頃の女の子が酒場ナビを見ることは・・・
ほぼ無いか。。。
八幡や(やわたや)
住所: | 千葉県市川市八幡2-14-14 |
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TEL: | 047-336-9457 |
営業時間: | 16:00~02:00 |
定休日: | 日曜日 |