西成「難波屋」竹原ピストルが愛した酒場
前回の記事で「いさむ酒店」を出た筆者(カリスマジュンヤ)はその足で
20代前半の時、人生で初めて西成で吞んだ思い出の酒場へ行くことにした。
もはや『関西サカバー』の皆さんなら誰もがご存じであろう西成の聖地「難波屋」だ。
以前酒場ナビでも記事なってる酒場でもある。
相変わらず何も変わってない佇まい・・・
この「難波屋」の三文字は安心感さえも感じるのだ。
まだ時間は朝だけど、この日は土曜日。
すんなり入れるかな?と早速入店してみると、意外にも先客は1名様のみ。
せっかくなので、真ん中のベストポジションで呑む事にした。
「難波屋」の強味と言えば
やはりこの豊富なメニュー数である。
王道メニューから「トルティーヤ」などの変化球メニューなど・・・
そして日替わりメニューもあり、常連客さえも飽きさせる事のない、さすがのラインナップである。
メニュー数が多くて、お客様が選びにくいからあえてメニュー数を絞ってる酒場があるが
筆者はやはりこの多すぎるくらいのメニュー数の方が『酒場ムラムラ』するのだ。
そんな「難波屋」のメニュー短冊をツマミに
まずはチューハイ(300円)で仕切り直し。
冷凍庫から出されたジョッキに注がれたチューハイはキンキンに冷えてて、朝から目が冴える。
この雰囲気だけで、チューハイが何杯も呑めるのも
これまた「難波屋」の強味であろう。
チューハイを呑みながら、何を頼もうか考える。
難波屋人気NO.1ツマミ「肉豆腐」から攻めるか・・・
それとも目の前にある、美味しそうなカレーをツマミにいくか・・・
はたまた、カウンターに置いてある大皿に乗った本日の日替わりメニューから攻めるか・・・
結局チューハイを1杯吞み終えた頃に
「今日は筑前煮をいくぞっ!!!」と決心がついたので
チューハイのおかわりと一緒に「筑前煮」をママに注文した。
「兄ちゃん、若いのにちゃんとこういう野菜を選んで偉いなぁ~。これ私が作ったんやで!」
とママが自慢げに小皿に盛り付けて、そのまま出してくれた。
やや濃い目に味付けされた酒のツマミ仕様の筑前煮はとても美味しく、実家京都のおかんが作ってた”薄味”の筑前煮とは違った味であった。
若かりし頃、実家で筑前煮が出て来た時なんて
箸一つ触れないように食事をしてたのだが
歳を重ねるにつれ、こういう身体に良いモノが美味しく感じるのだ。
ベロが大人になっているのだろう。
「ママ!これめちゃくちゃうまいっすわ!!」
「そやろ~揚げ物ばっかり食べてたらあかんで~こういうのもちゃんと食べて欲しいから、朝から頑張って作ってるんやで~」
愛情むき出しのママの対応が嬉しかったりした。
筑前煮の写真を撮ったり、内観の写真を撮ったりしてると
隣にいらっしゃった先輩が独りぼっちの筆者に自然と話しかけてくれた。
「兄ちゃん、その機械(ケータイ)はソフトバンクか?オレも昔そんな機械持ってたわぁ~」
「あ、ケータイですか?ボクはauさんを使ってますね。」
「昔はなぁ~ソフトバンクの機械を友達に5万円で売ってしまったんよ。」
「ソフトバンクの社長と知り合いやから、また貰おうと思ってんねや。兄ちゃんの分も貰っといたろか?そのかわりタダではあげへんで?ぎゃっはっはっは!!!」
「・・・」
どうして酒場の先輩には「実は元社長や」と言う人や、「有名人と知り合いだ」と言う人が多いのであろうか・・・
最近になってなんとなく分かって来たのだが、恐らくお酒のせいで気が大きくなっているのであろう。
若手の皆さん・・・
今後酒場に居る先輩が「元社長」とか「あいつ知り合いやぞ」とかそういったフレーズが出てきたら
全てを信じ込まずに、一度疑う心を持っていただきたい。
スイッチの入った先輩はマシンガントークで筆者に色んな話をしてくれたので
その話をツマミにしばらく楽しく吞ませていただいた。
お酒も進み、おかわりは「トマトハイ(300円)」をママにお願いした。
冷凍庫からキンキンに冷えたジョッキを取り出したママだが
筆者のグラスを見て
「あ、兄ちゃんさっきプレーンのチューハイ吞んでたなぁ~!ほなジョッキそのままでいこか!洗いモン増えて困るでなぁ~。ライムとかカルピスが入ってるチューハイやと味変わってしまうからあかんのやけど、プレーンやったらそのままで大丈夫や!」
と、洗い物を減らす作戦に打って出たのだ。
そしてロックグラスになみなみと注がれたトマトジュースと焼酎が出された。
トマトジュースと焼酎を1対1で割るので
必然と濃い目のトマトハイになるので、濃い目のお酒が好きな方には嬉しいドリンクである。
普通のトマトハイが呑みたい方はおかわりでトマトジュースを貰えば
2杯分吞めるのでお得感もあるのだ。
そして飲み方にも注意点があって
『最初にトマトジュースだけを1口飲んで、それからグラスに焼酎と飲みかけのトマトジュースを全部入れるとちょうどグラスに入り切る』との事である。
なので1対1と書いたが、実質焼酎の方が多くて
まさしく「殺人トマトハイ」なのだ。
ちなみにママが丁寧にレクチャーしてくれるので、始めてトマトハイを注文する方もご安心を。
そんなトマトハイは
勿論難波屋名物のドリンクなので、必須で頼むべきだ。
殺人トマトハイを呑みながら、メニュー見てると
ひと際目立つ【今日のフランス料理】というサカバー心をくすぐるホワイトボードを見つけてしまったのだ・・・
どうやら本日のフランス料理は
「難波屋のねぎグラタン」との事だ。
これを頼まないでスルーするようになった時には・・・
酒場ナビの引退を意味するであろう。
ちなみにその横にある酎ハイの「巨乳」はどんな酎ハイなんだろう・・・
ママの母乳割りが来るのだろうか・・・
いやそれなら下の「カルピス」と被ってややこしくなるな。
色んな事を考えながら
無意識でママに「難波屋のねぎグラタン」をコールした。
のだが・・・
ママからは
「これ夜にバイトで来るフランス人の店員が作ったから、あたしじゃ作り方が分からへんねん。」
と予想もしなかった回答が返ってきたのだ。
「よし、それなら巨乳酎ハイに切り替えるか!」
と思ってたところ、もう一人の店員さんが
「これ温めるだけなんで、すぐ出せますよ!」と助け船を出してくれたのだ。
大皿に出してあった「ねぎグラタン」を1人前取り分けて、電子レンジで”ぬくめて”もらった。
「難波屋のねぎグラタン(200円」
たっぷり使われたネギとチーズの相性は抜群で
さらにそれをグラタンにする事で、フランス料理感が増し
決して西成で食べれる料理とは思えない味だったが・・・
料理の出し方や見栄えは、やはり”西成“であった。
この「難波屋のねぎグラタン」を作ったフランス人店員さんに逢って、是非ともご挨拶をしたいところだったが
これは次回の宿題として、今度は夜に訪れる事を誓った。
『今日も明日も難波屋で』
今度は夜に来る楽しみも出来たし、楽しいお客さんも沢山いらっしゃるので
この貼り紙のメッセージ性が強く感じ取られた。
殺人トマトハイが少し効き始めて良い感じに酔ってたところ・・・
ママが突如
「兄ちゃん、そんな派手な格好して音楽やってるんか?ちょっとこっち来てみ!」
とお店の後ろ側に連れて行かれたのだ。
店の奥にはカワイイ猫がちょうど日向ぼっこしてる最中だった。
「ウチはなぁ~ピストルさんもここでライブした事あるんやでぇ~」
と自慢げに大事そうに壁に貼ってあったポスターを見せてくれた。
ピストルさんこと「竹原ピストル」さんは
去年末の『紅白歌合戦』にも出られたパンクシンガーで
個人的に筆者も大好きなアーティストさんである。
「難波屋」は店の奥にライブスペースがあって、ほぼ毎日そのステージで夜な夜なライブが行われてるので
酒場人と同様に音楽人も出入りが多いのだ。
竹原ピストルさんが「難波屋」でライブするのをまた見てみたいなぁ~なんて思いながら
次なる西成酒場を求め、2杯目の殺人トマトハイを一気飲みし
30分ほどではあったが濃すぎる時間を過ごし、店をあとにする事にした。
帰り際、ママが後ろから
「兄ちゃん!トマトハイ2杯吞んだやろ!?トマトハイは足にくるから帰り道気をつけやぁ~みんな店出た瞬間転げまわっとるから~」
と、親切に注意してくれたのだ。
たまたま同じタイミングで店を出る事になった隣のソフトバンク先輩。
自称「昔は音楽活動も少しかじってた」と言う、これまた怪しい情報を最後の最後までぶち込んで来たのだ。
サングラスが割と似合ってる先輩の自転車には
必要以上にビニール傘が装着されていた。
まだまだ続く
カリスマジュンヤの西成酒場ナビ・・・
刺激的な西成酒場で逢いましょう。
難波屋(なんばや)
住所: | 大阪府大阪市西成区萩之茶屋2-5-2 |
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TEL: | 非公開 |
営業時間: | 月・火・水・金は10:00~翌1:00 その他は8:00~翌1:00 |
定休日: | 木曜日 |