渋谷「細雪」閉店する最終日に昼休み呑みしてみた
3月下旬
酒場ナビメンバー味論が
「細雪 今月いっぱいで閉店するっペよ」
と 言ってきた
渋谷の細雪・・・
マークシティーの近くにどっしりと構える
飲み屋の多いあの一角の
ボス的な存在感のある大衆酒場だ
僕は一度も行ったことがない・・・
あの古びた感じの店が閉店・・・
建物の老朽化か・・・
大将の体が原因か・・・
何十年も同じ場所で営業していた酒場が
その歴史に終止符を打つ
感じておきたい・・・
ちょうど
という企画を
立ち上げたところだった僕は
最終日である3月31日の昼休みに
細雪の幕引きに参加すことにした
僕の職場は何時に昼休みをとってもいい
この日は細雪の開店に合わせ
遅めの16時半から昼休みをとった・・・
渋谷の駅前という立地で
この風貌と風格
ほそゆき
ではなく
ささめゆき
この店の閉店を悲しむかのように
街はシクシクと涙雨・・・
傘をたたんで提灯を傾けた
自動扉のガラスは割れているのだろう
ガムテープでギリギリ保たせてある・・・
こりゃ
おそらく店内で
バレンティンと矢野コーチが
ハデにやりあったに違いない
手動で扉を開けると・・・
えっ・・・?
ここホンマに渋谷の駅前か??
店内の
いい意味でくすんだ雰囲気は勿論のこと
先輩方の顔ぶれが凄い
アマチュアの特殊先輩がウヨウヨだっ!!
若者の街渋谷
なんてキャッチコピーは
細雪には無縁の言葉だ・・・
しかも正確には
16時半という時間は
開店前の時間らしい・・・
先輩方・・・
最終日なもんで早めのご出勤なんですか・・・
前回の
カリスマジュンヤが潜入した
まではいかないが
ここもかなりなガラクタ感を放っている
大雑把なドリンカーと
お酒をあっためる鍋が
いい味を出している・・・
今日で終わるなんて
もったいなすぎる・・・
お店を切り盛りするのは
ホールに
お母さんと若手のお姉様のお二人
奥の厨房では
お父様が包丁を握られてるみたいだ
お酒の品書きを眺め
味論が
「細雪のホッピーは殺人だっぺよ」
と 言っていたのを思い出したが
いかんせん今は昼休み
若オネエに瓶ビールをお願いした
グラスに注いだビールで
喉を掃除する
ぷしゅーーーー
社長申し訳ありません・・・
殺してください・・・
味論に煮込みと肉豆腐が旨いと聞いてたので
若オネエ様に頼むが
まだ火も入れてないし
豆腐屋さんも来てなくてできてないとのこと
お刺身ならできるとのことなので
マグロをお願いする
うわっ!!
脂がのって艶っぽい色をしている・・・
太田和彦さんなら
35歳の人妻とでも比喩なさるだろうか・・・
美味しい
ひと切れ持ち上げたら
もうふた切れくっついてくるところも
魅力的だ
こってりとしたマグロを
ビールで流し込む・・・
至福・・・
もう一度言います
昼休み中です・・・
気付くとまだ17時前だというのに
店内凄いお客さんの数だ
皆様 最終日ということを知ってらっしゃるのだろう
二人掛けのテーブルに座っていたので
先輩と相席になった
この先輩がお一人なのに
まぁ 口数が多い
「俺のアジフライまだ来ねぇのかよー」
「この熱燗ちいとも熱くねじゃねえかよー」
「灰皿濡れてるじゃねーかよー」
怒り気味の先輩に話しかけてみた
「先輩 細雪はよく来られてたんですか?」
「そんなことねえよ・・・ たまにだよ・・・」
「ホンマにたまにですか?」
「ホントは・・・ 毎日来てるよ・・・」
「毎日ですか??」
「別にいいけどな・・・」
「はぁ・・・」
「酒呑める店はここだけじゃねえんだしよー」
「はぁ・・・」
「こんな汚え店・・・ ザマミロってんだ」
なんだろう・・・
この 悪く言ってるのに褒めている感じは・・・
痩せ我慢の悪口を放ちながら
お猪口を傾ける先輩が
僕にはカッコ良く見えた・・・
それにしても
先輩のアジフライが来ない・・・
先輩より確実に後から来たお客さんの
串カツなんぞは提供されている
シビレを切らせた先輩が
店内に響き渡る声量で
深いセリフを叫んだ
「俺のアジフライいつくんだよ もう こんな店潰れちまえー」
店内の空気が一瞬止まる・・・
そして1秒間を置いて・・・
店内が大爆笑になった
皆様 いい顔をなさっている
愛されすぎている酒場の最後の日
来れて良かった・・・
帰り際
厨房のお父さんに
閉店の理由を聞くと
「飽きたからですよ お母ちゃんの足の具合もちょっとね」
とのことだった
40年以上もお疲れ様でした
有難う御座いました
外に出ると
雨が細雪に変わってい
まぁ そんなことはないか・・・
最後に
味論が楽しんだ
殺人ホッピーと煮込みをご覧下さいませ
【閉店】細雪(ささめゆき)
住所: | 東京都渋谷区道玄坂2-8-9 |
---|