【第5回】野毛「宮川橋もつ肉店」「栄屋酒場」他 読者に野毛を案内してもらった
読者飲み第5回目。
今回は”とにかく酒場が大好き!”という女性二人組みでの参加。特に、横浜の飲み屋街の代名詞ともいえる『野毛地区』ではよく飲んでいるという。
ならばと、酒場ナビメンバーが普段あまり行かない野毛を”逆に案内してもらおう”というコンセプトで今回は挑んでみた。
『横浜・桜木町』
私の地元が港町だった為か、やはり何度訪れても親近感が沸く町だ。
さらにそんな町のディープ地区『野毛』で読者と飲めるとなればテンションも上がる。
ではまずは今回の読者紹介。
さっちん さん
今回読者飲みに応募して頂いた方。横浜市在住で、もちろん”ディープ酒場”は大好きとのこと。
クリちゃん さん
同じく横浜市在住で、さっちんさんとは学生時代からの友人。
元々、クリちゃんさんは酒が飲めなかったものの、さっちんさんの”開発”によって見事立派な『のんべえ女子』になったとの事。
まずは、はしご酒の1軒目に『野毛ちかみち』という地下飲み屋街にある『立ち飲み処 ふくふく』へ行くのだが……。
まさかの満席!
読者飲みに限らず、飲み歩きではよくあること。どうしようかと思っていると読者の二人が、
「隣の『一休』は『ふくふく』の系列店らしいです!」
さすが野毛ガール!すばやい状況対応である。
すぐさま、同系列店であるという隣の『一休』の暖簾をくぐったのだ。
一見、どこにでもありそうなこの酒場。なぜここを1軒目に選んだかというと……。
『凍結丸ごとレモンサワー』
中目黒の『ばん』でお馴染み”レモンタワー”を彷彿させるが如く、凍ったレモンの”輪切りタワー”のインパクトで、読者飲み企画恒例の”クロス飲み“をやりたかったのだ。
早速、物理的に今までで一番やりにくいであろう”クロス飲み”ではしご酒が始まった。
なぜかカリスマジュンヤと”クロス飲み”をする私。
儀式も済んだことで、料理を注文。そしてその料理たちのインパクトもまた大きかった。
『王道の玉子焼き(めんたいチーズ入り)』と『ハムカツチーズ』
まるで母親がサッと作ってくれたような雰囲気の玉子焼き。だが、ケチケチしている母親の玉子焼きとは違い、中には大量の明太子が詰まっており火の入り方も抜群。
ハムカツは、さっちんさんに持ってもらって分かるようにかなりデカい。厚めのサンドウィッチの様相で、滴るチーズを気にしながら食べるハムカツは正義でしかない。
「地下から出れないんです……」
読者の二人が謎の発言をした。
聞けばこの『野毛ちかみち』、レベルの高い酒場が密集しており、毎回この地下街だけですべて飲み終わってしまう為に、地上の野毛本来の町で飲まずに帰ることも多いとのこと。
そういえば何気に選んだこの酒場、『酒蔵 石松』と『ゴールデンもつ』という有名店にも挟まれている。
地下街を少し見渡してみたが、なんとも良さげな佇まいの酒場が並んでいる。確かにこんな場所だったら地上に出られなくなるかも……。
しかし今回は”逆酒場ナビ”である。野毛を私達に案内してもらう以上、読者の二人には地上へ出ていただくしかないのだ。
私達5人は、足早に店を出て地下通路をから地上へと向かう階段を登る。
さあ、野毛の地上の光は見えてきた……!
なんという……
なんという……
なんというサカバー心をくすぐる町なんだっ!!
迷路の如く入り組んだ飲み屋街、どこを見ても良さげな酒場酒場酒場……!
これが日本有数の飲み屋街の実力か……。
酒場ナビメンバー陣はこの興奮を一度抑えるため、はしご酒2軒目となる立ち飲み屋へと寄った。
『桐のや水産』
ふらっと入ったこの立ち飲み屋も、町に溶け込んだ雰囲気の良いの酒場だ。
ホットスナック感覚で『紅しょうが天』と『ハムカツ』などを頼み、”酒ゴング”を野毛の地上へと鳴らした。
早速、この野毛をどのように攻略するかの作戦会議をホッピーを咥えながら始めると、さっちんさんが自分のスマホを取り出した。
「これ、自分でブックマークしてまとめている行きたい酒場リストなんです!」
やはりこの読者、ただの若い女性ではなかった。
スマホに出てくるわ出てくるわ、大量にチェックしている酒場リストから酒場を探し始めたのだ。
それにつられてか、我が酒場ナビメンバーも『あそこはどうだろうか!?』や『ここは絶対行きたい!』などとキャッキャと話し合い始め、その光景はさながらディズニーランドに来た男女グループが、これから乗るアトラクションの計画をたてているかの様な微笑ましさに似ていた。
いや、あながち我々の様なのんべえには、この野毛でも”魔法の国効果”を体験していたに違いない。
その証拠に、まるでパレードを見てるかのような恍惚な表情で町を見渡す二人。
とにかく話はまとまり、大人気の『ビッグサンダーマウンテン』……いや、大人気で読者の二人も”あるモノ”がオススメという『宮川橋もつ肉店』へと向かった。
『宮川橋もつ肉店』
“相当並ぶ”らしいとのことで、実は地上に出てすぐに”ファストパス開店時間確認”をしており、この日は18時開店だということを知っていた。
開店30分前の17時30分頃に店先へ到着すると、男性数人の1組が待っているだけだった。
さすがに早すぎたかと思いきや、18時前になると私達の後ろには……
長蛇の列っ!!
いやいや嘘だろ!?こんなの最後尾なんていつになったら酒が飲めるんだ……!?
そんなことはお構いなく、開店時間の18時が訪れたのだが……。
5分経過──。
10分経過──。
全っ然、入り口が開かない……!
待ちくたびれた私達の前の男性組が、中をのぞき始めたりしているが開く気配がない。
これはさすがに読者の二人に申し訳ないなと思っていたが……
さっちんさんはイカから『泥酔懺悔』という謎の本借りて読んでおり……
クリちゃんさんは、同じく待っている方から貰ったハイボール缶を飲んでおり……
カリスマジュンヤなど、何故か他の待ち客に”キャッチャーのサインの出し方”を披露していたのだ。
自由過ぎるっ!!
そうこうしていると、やっと入り口が開き中へ入ることができた。
といってもそこからさらに注文をするためにカウンターへ並ぶ。もちろんこれも長蛇の列である。
だが、この店に慣れているさっちんさんは外の席を確保、そしてクリちゃんさんはいち早くカウンターに並び、酒と目的の”あるモノ”を注文をするという超絶連係プレイを見せてくれたのだ。
なにはともあれ、やっと”酒ゴング”をここでも鳴らすことが出来た。いや、これは本当にディズニーランドで並び疲れて休憩してる時そのものだった。
そして、これだけ並んでゲットしたかった”あるモノ”とはこちら。
『皿焼レバー』
今、
「あっ!!」
と言った読者の方。
決して、”アレ”ではない。
名前をよく見ていただきたい。皿”焼”レバーなのだ。
その為、注文するときも間違って”アッチ”の名前で注文しようとしても受付してくれない。
文字通り”焼き”の工程がここから入るので、各テーブルに備え付けてある”ガスバーナー”で焼いてから食べる必要があるのだ。
なんてことはない。焼肉と同じであることをご理解いただきたい。
──夢の様なひとときを体験していると、看板の灯りも点いて辺りはすっかり暗くなっていた。
先ほど半端に食べた”焼肉”に触発され、こちらも読者二人が教えてくれたはしご酒4軒目である『野毛☆大夢』へと向かう。
『野毛☆大夢』
ここは昼間に野毛を散策しているときから既に大賑わいであったが、夜に来てもやはり賑わっていた。
満席かと諦めていたが、酒場好きが五人も集まったせいもあり、”酒場運”アップで少し待つとすんなり入れた。
酒場神様、いつもありがとうございます。
至る所から上がる大量の煙にも負けず、”酒ゴング”で4軒目をスタート。
『お通し(キビナゴ)』
釣りをやってるとどうしても『キビナゴ』イコール”魚のエサ”的イメージが強いのだが、久しぶりに食べてみると思いのほかうまかった。
うーん、今度釣具店で『キビナゴ』を見つけた時は、自分用の”エサ”として購入しよう。
こんなBBQの様な雰囲気の場所では、やはり肉は外せないと『牛シロコロ』と『牛はらみ』を注文。
そして”焼き奉行”はもちろん、『京都・福知山のファイヤー男』ことカリスマジュンヤである。
彼が炎を扱えば……
炎をやさしく撫でたり……
時に炎を厳しく叱りつけることで……
このように、おいしそうに肉を育てることができるのだ。
そして、外で炭火焼きをした肉は炭独特の風味と油を纏い、説明不要の香りとおいしさを楽しむことができるのだ。
あまりの煙まみれで、店を出る頃には全員”火事現場から這い出てきたのか”と思えるほどの煙に包まれていたが、そんなことを気にも留めないほど全員”笑顔”にも包まれていた。
そしていよいよ、はしご酒5軒目の最終酒場『栄屋酒場』へと5人は足を踏み入れる。
『栄屋酒場』
読者の二人が”ノーマーク”だっというこの酒場。
確かにこの店構えでは、この若い二人には渋すぎて入りづらいはず。だが、依頼を貰ったメールには”渋い店に行ってみたい!”と書いていたのを思い出した。
ならばと、今回やっとここに来て『酒場ナビ』としての存在意義を発揮させる時が来たのだ!
カリスマジュンヤの「突入はオレに任せんかい!」という胸を張った余裕な表情。
パンッ!!
イカによって軽々と引く”暖簾引き”。
まるで小学生の頃、女の子にやったスカートめくりを彷彿させる機敏な動きだ。
ズンズン!と勇ましく店内に入るメンバーを見て、読者の二人もうっとりしていた、はず……。
狭渋いっ!!
所狭しとリザーブされた酒たちに圧倒されてしまう内観。これには、読者の二人も”渋い酒場”として納得していた様子。
企画の最後に相応しい酒場に、お互いにビールを注ぎ合い、今夜最後の”酒ゴング”を鳴らす。
暫くこの素晴らしく渋い空間にて、今宵最後の時間を堪能する5人。
せっかくなので、ここで何かつまみを頼もうと女将呼ぶと……
「この紙に書いてー」
と、紙とペンを渡された。ここでは料理の注文は紙に書いて渡すシステムだったのだ。
「ボクがわかりやすく絵に描いて渡しますわ!」
なんとこの最高の雰囲気に気を良くしたのか、”京都・福知山のパブロ・ピカソ”ことカリスマジュンヤが何故か料理名ではなく、料理の”絵”を描いて注文すると言い出したのだ。
まるでどこの酒場でも、いつもそうやって頼んでいるかのような慣れた手つきでスラスラと絵を書くカリスマジュンヤ。
そして、書きあがった絵がこちら。
……!?
「女将さんすんませーん!これでお願いしますわ!」
「……これなんだい?」
「シャコの刺身です!」
「ウチはクジラは置いてないよ」
「いやシャコですやん!?クジラはこうですわ~」
そう言ってさらにクジラの絵を書き出すカリスマジュンヤだったのだが……。
うわぁぁぁぁぁっ!?
念のために言っておくが、上が『シャコの刺身』で下の”足”が生えてるのが『クジラ』である。
読者の二人はもちろん、私やイカも彼の絵を初めてみたが”ガチのピカソ”がこんなに身近にいたとは思いもよらなかった。『カリスマジュンヤのおつまみスケッチ』という新しいコーナーでも新設したい程である。
そもそも絵を見る限り、『シャコ』を魚だと思っている可能性があった為、結局口頭で説明して『シャコの刺身』を注文した。
とは言っても、回転寿司などである”ペラペラ”のシャコとは違って、しっかりと食べ応えと旨味を持っていることに、ここが海の近い港町であることを思い出させてくれる。
そんなこんなで夜も更け、解散の時を迎えるのだった──。
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酒場ナビメンバーもあまり馴染みの少ない『横浜・野毛地区』。
今回はいつもとは逆に、地元の方に酒場を教えてもらうという方法で企画を開催したが、やはり地元の人間の知識や経験はとても勉強になることが多かった。
これを機に、”逆酒場ナビ”をこれからもどんどんやっていきたいと思う。
さっちんさん、クリちゃんさん。
長い時間、お付き合い頂いてありがとうございました。そして、本当に楽しい『野毛』をありがとうございます。
また、きっとどこかの酒場でお会いしましょう。
宮川橋もつ肉店(みやがわばしもつにくてん)
住所: | 神奈川県横浜市中区宮川町1-4 |
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TEL: | 非公開 |
営業時間: | [平日] 16:00~23:00 [金・土] 16:00~24:00 [日・祝] 16:00~22:30 |
定休日: | 火曜と祝日の月曜 |