それはこの表現に限る。 阿佐ヶ谷「鳥久」
よく、
グルメ番組で食べた後の感想を「甘い」だの「ふわトロ~」などと表現するが、
私はそれが嫌いである。
なんか、気持ちが悪い。
若い女タレントが言うならまだしも、オッサンが「ふわっふわっのトロットロォ~」って
よく言えたものだ。気持ちが悪いよ。
「やんわらかぁ~」
うるせぇな。
柔らかいイコール高価で美味しいと評価するのは如何なものか。
阿佐ヶ谷は「鳥久」に行ってきた。
この街は私の散歩コースの一つで、馴染みのある店は特にないものの、
私自身には非常に思い入れもある街だ。
北口を出て、所謂「ディープ」な通りにその店はあった。
中の見えない古い入口。
ガラリとドアを開けると、思いのほか狭い店内にはぎゅうぎゅうとお客が入っている。
カウンターの内側には店主、女将、2代目?の3人がいた。
「すみません、すぐ片付けますんで」と女将が狭い店内の奥からやってきてカウンターを片付ける。
どうやらタイミングが良かったようだ。
うん?メニュー表がない。
まぁそんな店もあるわな。どれ、壁に飾ってあるメニューを見るか。
焼き鳥がメインの店だが、特別に品が多いわけでもない。
なら適当に頼むか。
「お通しです」
茄子のおひたしであった。
これは旨い。私は茄子料理が好きなのだが、この店主は茄子慣れをしている。うん。
注文を待っている間も、引っ切り無しに客が店内に入ってくるが、満席を確認すると店を出ていく、という光景が続く。
中々の人気店である。
そして、焼きが出来上がる。
ねぎま、ハツ、レバ、鶏皮、つくね、シソが目の前の小さな隙間から次々に押し出される。
単純に、どれも旨いと思った。
が、さらに「レバ」だけは特筆するものがあった。
センスのある奴はミディアムレアとでも言ったのであろうか、「半生」具合が丁度いい。
味付けは塩で頼んだののだが、臭みが全くない。思わずおかわりを注文してしまった。
間に、”甘い青唐辛子”とやらを頼んでみる。
なるほど、サクっとした歯触りでかなり旨い。
鳥わさも頼んでいた。
コイツも、なんだその……「やわらかく」て旨い。
なんなら今までの鳥わさで一番おいしい。
そうなのだ。
この店の鳥料理に共通するすべては「やわらかい」なのだ。
気づくと、
私は「やんわらかぁ~」としか言っていなかった。
鳥久(とりきゅう)
住所: | 東京都杉並区阿佐谷北2丁目12−22 |
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TEL: | 03-3310-2606 |
営業時間: | 17:15~24:00 |
定休日: | 日曜・祝日 |