お泊まり会の次の朝 赤羽「まるよし」
「うわぁ、懐かしい!!」
赤羽は20年近く前に、同い年の親戚が住み始めてよく遊びに行ったものだ。
赤羽と言っても、赤羽駅と北赤羽駅の間にそのアパートがあったため、毎回駅からはよく歩かされた。
しかし今思えば、アパートまでの長い距離も色々な店が並んでいて、わりと楽しかった気がする。
「フロンティア」という老舗のエアガンショップがあるのだが、私は地元に住んでいる時にエアガンやサバイバルゲームに嵌り、この店の通信販売でよくエアガンを購入したものだ。
そんな思い出のお店がアパートまでの途中にあり、初めて訪れた時は大興奮した。
アパートに遊び来ていた当時は、酒を全く呑まなかったので「なんだか古い呑み屋がたくさんある街だなぁ」くらいにしか思わず、この街が”酒飲みの街”であることを知ったのは、随分大人になってからのことだ。
数年分ぶりに赤羽を訪れた。
西口にあるヨーカドー、東口の喧騒は変わらない気がした。
私は、しばし街を散策した後、これもまた老舗の店「まるよし」に入った。
実は初めてこの店を訪れる。
立て付けが悪い引き戸を開け、中には長方形のコの字カウンターがあり、その横にテーブル席が3つ。
「お客さん、何名さん?」私は人数を伝え、配膳係のおっちゃんにテーブル席を通される。
まずは酎ハイで様子をみつつ、「ハムカツ」を頼んでみた。
旨い。
このハムカツすげぇ旨い。
一見、メンチカツっぽい様相で、衣とハムの厚みのバランスの良さ?なのかとても旨い。
あ、ここの食い物は当たりだな、と確信した私はコの字カウンターの中にいる女将に、
「お姉さん、注文いいですか?」と言うと、何故か「ムッ」とした顔をされた。
返事はなく、”お姉さん”ってのが嫌味になってしまったのかなと思っていると、
急に猫ナデ声で「すぐに注文貰いにいくからね~」と酒場女将あるあるの”ツンデレ”であることが分かった。
先ほどの配膳係のおっちゃんが来る。
「やきとんにポテサラと…」一通り注文を伝え、食べ終わった食器をまとめようとすると「いいから!いいから!」と余計なことはするなとばかりにそれを拒絶。どうやら自分のやり方があるらしい。
しばらくして、やきとんをまた配膳係のおっちゃんが持ってくる。
空いたグラスをまとめて渡そうとすると「あ~!いいから!そのままで大丈夫!」とまた拒絶。
色んな拘りを持つ店をみてきたが、配膳にこんな拘りを持つ店は初めてだ。
相方を白ホッピーに切り替え、やきとんを流し込む。
やきとんもそうだし、ポテサラや〆鯖もそうなのだが、例えるなら「人んちの朝飯の味」が私の中で一番しっくりきた。
伝わり難いかもしれないが、子供のころに友達の家で”お泊まり会”をして、次の日に友達のお母さんが作ってくれる朝ご飯って覚えてないだろうか?
味が濃かったり薄かったり、辛かったり甘かったりと、自分の家の朝ご飯と比べると良くも悪くも「違和感」を感じたが、なぜかそれが新鮮ですべておいしく感じた。
この店の食べ物はその”懐かしい”感じを思い出す。
そういえばこの配膳係のおっちゃんみたいな友達の親父もいたし、友達のお姉さんは大概ツンデレだったな。
この街ってのは、私にとってそういう事をいつでも思い出させてくれる場所なのかもしれない。
「うわぁ、懐かしい!!」
まるよし(まるよし)
住所: | 東京都北区赤羽1-2-4 |
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TEL: | 03-3901-8859 |
営業時間: | [月~金] 15:00~22:00 [土] 14:00~22:00 |
定休日: | 日曜・祝日 |