
【台湾】HOW TO『熱炒』これだけは知っておきたい台湾酒場「10のこと」
はじめて訪れる酒場で気になることといえば、どんな酒や料理があるのか、注文の仕方やその店特有のルール、店員さんはどんな人だろうかなどであるが、そもそも酒場だけではなく、その酒場のある街が初めてだったりするとさらに気になるところは増え、それが日本を飛び出し〝外国〟ともなれば、それ相応の事前知識が必要となってくる。
本格的に台湾の酒場を目的として、いざ事前準備で台湾酒場を調べると、やはり日本の酒場を調べるのとはまったく違った。まず『言語』が違うことにブチ当たる。ある程度漢字から意味を汲み取ることは出来るのだが、『蛋』という漢字には思いっきり〝虫〟という字が入っているのにも関わらず、これで鶏の卵を意味したり、『下水湯』などというとんでもない名前のスープがあったりと、そう単純なものではないのだ。そう思うと、日本の上級者向け酒場地域の『西成』でさえ、日本語が通用するだけまだいい。
まぁ『言語』についてはある程度勉強すればそこまで問題はないのだが、やはり一番難しいのは、単純に台湾酒場で〝どうやって酒を飲むのか〟が、呑兵衛としては気になるところだ。私も色々調べてみたものの、こればかりは現地の酒場へ行って体得するしかなかった。
そこで今回、珍しく〝タメになる〟記事として、私が感じた台湾酒場での〝これだけは知っておきたい〟というポイントをいくつか紹介してみたいと思う。
題して、〝HOW TO『熱炒』これだけは知っておきたい台湾酒場「10のこと」〟
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1. 酒場は地域で固まっている
はじめに、台湾では日本にある一般的な大衆酒場のことを『熱炒』と呼ぶことを覚えておいてほしい。その熱炒に行こうとなるのだが、これが意外と見つけづらい。日本なら駅前にでも行けば、どんな田舎でもひとつやふたつの酒場はあるが、台湾で一番大きい台北駅周辺には魯肉飯、タピオカ、マッサージの店なんかは山ほどあるものの、〝熱炒〟という看板の文字を見つけるのはひと苦労だ。そもそもの食文化が『食うなら食う』、『飲むなら飲む』としっかりと区切られているようで、酒を飲む場所も〝飲むならここ〟という地域に分けられているようだ。
『長安東路』
東京の歌舞伎町とはまた違ったネオンの通りが続き、その中にいくつもの熱炒が並ぶ。この通りでも何軒かはしごをしたのだが、その中でも特に派手な熱炒へ入るとしよう。
2. 暖簾がない
『中央市場生猛海鮮』
世界的にみれば何でもないことなのだろうが、台湾酒場には『暖簾』がない。我々日本の呑兵衛として、酒場に入る前の《暖簾引き》という前戯がないことは、どこか物足りなさを感じる。そんな時は〝エア暖簾引き〟をして中へ入ろう。
3. 食い跡が派手
これは熱炒だけではなく屋台でも言えることなのだが、前客の残した食べ跡はかなり派手である。これも食文化のひとつなのか、食いこぼしがハンパではなく、店員さんもそれを雑巾でガーッとバケツに落とし入れ、さらに床に落ちた食いこぼしも豪快にモップで掃き捨てるのだ。
結果的に綺麗にしてくれが、潔癖症の方はウェットティッシュでもうひと拭きすることをオススメする。
どうでもいいが、なぜか割箸に〝有効期限〟がある。
4. 酒は自分で取りに行け
黙っていても「何飲みますか?」などと店員さんが聞いてくるでもなく、酒が飲みたければ店の中にある冷蔵庫から自分で好きな酒を取ってきて飲むというのがほとんどだ。
日本で言う『角打ち』のようなシステムだが、残念なのが圧倒的に酒の種類が少ないことだ。ビールがメインで、あとは焼酎をそのままかお茶で割るかくらいなのだ。因みに、栓抜きは大抵テーブルの脇に引っ掛けてある(この情報は意外と重要)
5. 料理だけでも台湾語を覚えておけ
酒を飲んだら次は料理だ。料理に関しては、酒と違ってどの店もメニューが豊富。それはうれしいのだが……
全然、読めないっ!!
店によっては日本語で書いてあるメニューもあるが、熱炒に関してはほとんど台湾語のみで書かれている。冒頭でも説明しているが、漢字のイメージで注文するのは止めておいた方がいい。何度か〝たぶん餃子的なものだろう〟と注文して、ワケのわからないスープが出てきたことがあった。そんな事を防ぐためにも、料理に関する台湾語だけは勉強しておこう。焼く、揚げる、煮る、蒸す、この言葉を理解できるだけでもだいぶ違う。さらに主な食材も勉強すればなおよし。
6. すべて大盛りだと思え
毎回料理を持ってくるたびに「えっ、うそっ!?」と声が出ることは間違いない、とにかく料理の量がハンパなく多いのだ。これはおそらく、料理は〝大人数で食べる〟が前提だからではないだろうか。どこの熱炒にも広いテーブルがズラリと並び、それを5、6人で囲っている光景をよく見た。
7. ンまいっ!!
『牡蠣のオムレツ』
日本の繊細な焼き加減のオムレツとは違い、両面をガッツリと焼き上げるタイプ。しっかりとした生地の中からトロリとした小粒牡蠣の旨みが際立つ。そのままでもウマいが、このタイプはチリソース、醤油、ウスターソースなどを付け足した方がもっとウマいはず……が、テーブルに備え付けの調味料はない。というか、熱炒でソース系の調味料を置いている店を見た記憶がない。
『豚スペアリブの唐揚げ』
揚げ物はやはり中華の右に出るものはない。見るからにカリっとした衣はサクサクと堪らない歯ざわりで、香辛料も効いて非常に香ばしく、中のリブロースも極めてジューシー。このウマさと量が、日本円でたったの450円とか信じられない。
料理として〝出汁が効いてる〟とか〝時間をかけてじっくり〟……という感じではないが、とにかくおいしいところをドンッ、『どや、これウマいやろ!?』と主張してくる料理が多い。豪快ではあるが、手抜き感は一切感じさせない。
8. やっぱり、日本の酒はうまい
ビール天国の台湾にいると、どうしてもビールばかりを飲みがちになってしまうのだが、数日間もいればさすがに飽きてしまう。
『台湾ビール』は安くておいしいのだが、やはり日本のビールに比べると〝パンチ〟が弱いのだ。そんな時、冷蔵庫でふと見つける懐かしき日本語のラベル。
『キリン 一番搾り』
堪らず冷蔵庫から取り出して、栓を抜いてグラスへ注ぐ。トクトクという音さえ懐かしい気がする。
グラスに泡がこんもりとなったところを《出所したての高倉健》の如し、両手で持ってグイッ……グイッ……天を仰げばガツンとしたいつもの苦味が喉を通り抜け、からだ全体に沁み渡る。フーッ、ンまいッ!!
本当の日本の酒のウマさというものは、日本を離れていなければ決して知り得ないのである。
9. 呑兵衛は日本も台湾も同じ
赤ら顔で友人らと気炎を上げ、老夫婦が言葉数少なく静かに飲り、テレビを観ながらひとりお気に入りの酒を嗜む中年男性──言葉や文化は違えど、そこにある酒場模様は日本とまったく変わらない。〝音楽には国境がない〟というが、それと同じく酒場にも国境はないのだ。
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以上が台湾酒場の基本的な愉しみ方である。
はじめは酒や料理の注文の仕方が微妙に違って戸惑うが、飲り方自体は日本と変わらない。他に特殊先輩がいる酒場もあれば、ツンデレ女将がいる酒場もあるが、酒場ナビを愛読するような読者であれば、いつも通り吞吐できる名酒場……いや、『名熱炒』ばかりである。
これを読んで少しでも熱炒に興味を持っていただければ、此れ幸い。
……おっと、最後にもうひとつ。
10. おつりの金額はよく確認しろ
この店ではないが、私はたった2千5百円のお釣りを胡麻化されてしまった。
あなたはそんなことがないように……
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中央市場生猛海鮮(中央市場生猛海鮮)
住所: | 台湾台北市中山區長安東路一段52-1號 |
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営業時間: | 11:30~14:30 16:00~翌5:00 |