【第3回】大山「味ん輝」客の来ない居酒屋で読者とトンデモ体験!?
読者飲み企画の第三回目。
遂に今回は現役の酒場運営者の参加。
舞台は知る人ぞ知る呑べえの町『大山』。
参加者の男性3名、メンバーを合わせると男6人という大所帯はハプニングの予感がプンプンする。
かくして『大山駅』で合流した6人、まずは地元で有名店の『鏑屋』へと向かった。
『鏑屋』
さすがに6人はすぐ入れないとのことだったので、名物である『煮込み』をテイクアウトで購入し、それをツマミにどこかで”角打ち”できる場所がないかと辺りを彷徨っているとカリスマジュンヤが叫んだ。
「あそこの休憩スペースなんてどないどすえ!?」
京都・福知山弁が駅前アーケード街を響かせた。
『コンビニ』
なんと……カリスマジュンヤが酒場として提案したのは、コンビニにある”休憩スペース”のことであった。
いくら酒場ナビと言っても、初めて会う人達と一番最初に酒を酌み交わす場所が”コンビニのイートインスペース”って……。
さすがにイカも反対するかと思いきや、「じゅんちゃん、名案がすぎるやん!」とカリスマジュンヤの肩を叩いた。
参加者の3名は……いや、参加者3名と私は、狐につままれた表情でコンビニの2階へと上がった。
何はともあれ、まずは缶ビールで恒例の儀式である”クロス飲み“をしながら簡単な自己紹介。
ゆうちぇる さん
某有名チェーン居酒屋店の部長さん。
部長 さん
同じく、某有名チェーン居酒屋店の部長さん。
リューイチ さん
そして今回の読者飲み企画のご依頼者。
前の二人と合わせて、同じ職場の社員さんでの参加。
お互いに軽く挨拶を済ませ、早速『鏑屋』の煮込みをみんなで味見する。
うまいっ!
そういえばこの『煮込み』を買うときも、何人かがテイクアウトで並んでいただけあって、そんじょそこらの煮込みレベルではない。
味の濃さやモツの柔らかさはもちろん、ボリューミーな豆腐が男達の缶ビールを進ませる。
休憩スペースで煮込みをハフハフ食べる謎の6人は異様にも見えるが、これはこれで新しい”読者飲み”の方法として確立したに違いない。
「たまたま仕事でサイトを見つけて、おもしろいなと思って応募しました」
と、語る依頼者のリューイチさん。
メンバー全員が今回特に気になったのが”読者飲み”応募の経緯だった。
大手のチェーン居酒屋の、しかも役職まである方々。
私たちのようなまだまだ弱小サイトに目を入れてくれるだけでも嬉しいのに、さらに企画にまで応募してくれるとは……。
「応募して採用になったので、今日も社長にOKもらって参加しました。」
もはや”嬉しい”を通り越して”恐縮”である。
****
休憩スペースの後に向かったのが本日のメイン酒場である『味ん輝』である。
『味ん輝』
この店名でピンときた読者は相当な”酒場通”だろう。
実はこの『味ん輝』は、”客の来ない居酒屋”として最近ブレイクした話題の酒場なのだ。
Twitterで拡散され一気に人気店になったらしいのだが、是非ともその経緯を店主に伺うべく、読者飲み参加者までを巻き込んで潜入を試みた。
「あれ!? まだやってない!?」
人数が多かったので、念のため予約を入れておいたのだが、予約時間の数分前に店へ行くと入り口は真っ暗だった。
そんな馬鹿なと、入り口の扉を開けてみると店主が身支度をしながら、
「あ!ちょ、もうちょっと待っててください!」
と、一旦店の前で待つようにとの仰せ。
言われるように6人で店の入り口で待っていると、店の中から続々と人が出てきた。
一人二人の話ではない。
年配の男性、子連れのお父さんなど、すぐには数えられない人数が次々と店から出てくる。
イカも思わず「何人出てくんねん!」と声を荒げる程であった。
……もしかして、開店前まで”事情のある特殊集団”をここで匿って住まわしてるんじゃないかという憶測まで飛んだ。
「おまたせしましたー、どうぞー」
数分後、
店へ通されると、さらに目を疑う光景が待っていた。
な、なんだこのだだっ広い空間は……。
十畳ほどあるであろうか、窓もなくコンクリートの壁に囲われた空間が広がる。
やはりこの密室で、”事情のある特殊集団”を匿っているのか……!?
「そこに隠れてんのはわかってるんやぞ!!」
イカが急に走り出し、謎の集団がまだいないかと、部屋の隅のカーテンを覗くが誰もいなかったようだ。
「ここで合気道の教室やってるんですよ」
店のマスターの言葉に誰もが耳を疑った。
詳しく聞くと、この謎の空間は酒場として利用していない時間を『合気道教室』として使用しているらしく、さらにマスターはその指導者でもあり、さっきの謎の集団はその生徒達だったのだ。
とにかく、”事情のある特殊集団”を匿ってることではないことに安堵し、改めてビールで”酒ゴング“をするのだった。
事前の情報によると、”料理がうまい”とのことだったので、気になったものをいくつか頼んでみた。
『お通し』
このボリューム!
しかもこの野菜の上に乗っている刺身はなんと『ボラ』である。
釣りが好きな人はご存知だと思うが、通常『ボラ』という魚の身は臭くて食べれず、顔も気持ち悪いしオマケに全然釣れないという”どうしようもない魚”なのだ。
その魚のしかも”刺身”を食べるのは初めてだが……。
うまい!!
恐る恐る口に入れてみると、これがなんとも美味で臭みどころか旨味も『ブリ』に似て濃厚な味わい。私は思わず奥の厨房で調理中のマスターに聞いた。
「ボラなんて珍しい食材、どんな特別ルートで仕入れてるんです!?」
「スーパーです」
壁かと思っていた場所からひょっこり顔を出すマスター。
その後「本当は豊洲です」と言うギャグセンスもすばらしい。
そして次々と自慢の料理がそこから運び出されるのだ。
『サメテキ』
サメ肉を使ったステーキ。これもまた臭みが強いはずのサメ肉の旨味だけを残し、臭みなど微塵も無い仕上がり。
マスター曰く、”モウカザメ”という小ぶりなサメだから可能な料理だと言う。
『アジナメロ~』
強制的に”舐めろ!”と言わんばかりのネーミング。実際はミョウガがてんこもりの『アジのなめろう』なのだが、味噌とのタタキ具合も丁度よく酒が進む。
しっかりと”骨せんべい”まで添えられているのも嬉しい。
『肉じゃが』
私個人の意見ではあるが、肉じゃがに対する一番のポイントはイモの”硬さ”である。硬すぎても柔らかすぎてもダメ。丁度いい溶け具合いのこの肉じゃがは”完璧”のひとことだ。
まだまだ他の料理も頼んだのだが、どの料理に関しても言える事が”マスターの料理に対しての愛情”だ。
その創意工夫は、客に美味しいものを食べさせたいという思いが十分伝わってきた。
「5年前にここに移転して来たんですが、まったくお客さんが来なかったんです」
元々店があったビルが老朽化で取り壊す為、5年前にこの場所へ移転してきたが、まったくお客さんが入らなかったというマスター。
たしかに一般的な飲み屋としての立地はよくはないが、その客の来なさには相当苦労したようだ。
店のTwitterも始めてはみたものの、4年間でフォローしてくれたのはたったの47人。
そこからまさかのブレイクが起こったのは去年のこと。
「あまりのフォロー通知が多くて、壊れたと思ってスマホをソフトバンクショップに持っていったんですよ」
マスターのTwitterをみた人々が、同情からか拡散に拡散をしたことでその知名度が爆発的に広がった。異常なまでの”フォローされました”の通知音に、何も知らないマスターは恐怖し、気づけば半月で約2,000フォロワーが増えていたとのこと。
とても”客の来ない居酒屋”の店主だったとは思えないほどの陽気さと弁舌ぶりに、私たちは大笑いでその話を聞き入った。
「今がバブルなだけで、バブルが弾けた時の為に”出稼ぎ”もしてます」
ブレイクしてもなお謙虚なマスターは、この酒場以外にも色々な業種の仕事を兼業(出稼ぎ)している。
そのひとつでもあるのが『合気道教室』の指導者である。
「合気道のご指導をお願いします!」
マスターの話に感化された酒場ナビメンバーと参加者の6人は、最後のシメに『合気道』を注文。
優しいマスターは”お遊び程度に”ということで、この注文を受けてくれた。
まずは参加者のリューイチさん。
大胆にもマスターの首を締めにかかるが、この後一瞬で腕を払いのけられる。
続けてカリスマジュンヤがマスターの腕を掴む。
が、一瞬で掴み返されあっという間にカリスマジュンヤをねじ伏せる。
「うおぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
それらを見かねたイカがマスターに襲いかかった。
が、もちろん首の秘孔(ひこう)をつかれ派手に倒されたのだ。
こうなったらと、全員でマスターに飛びかかったのだが……。
[動画]
ゆうちぇる「きぇぇぇぇぇっ!!」
イカ「タイィィィガァァァァァス!!」
部長「サモハァァァァァンッ!!」
リューイチ「ヤキトリセェェェェェンタァァァァァ!!」
ジュンヤ「ミィィィィィンキィィィィィッ!!」
大の男が束になってかかってもマスターに触れることは許されなかったのだ。
「マスター!腕相撲で勝負や!」
どうしても納得の出来ないカリスマジュンヤが、なぜか”腕相撲”でマスターに勝負を挑んだ。
[動画]
もはや”合気道”とは何の関係もない。
こんなことに一時間も付き合ってくれたマスター。
これからさらに店が繁盛して欲しいと思いつつ、この気さくなままの『味ん輝』であり続けて欲しいと切に願う。
マスターありがとうございました。
そして、
ゆうちぇるさん、部長さん、リューイチさん。
おかげさまで”童心に戻った”という言葉が一番ふさわしい”読者飲み”企画となりました。
酒場というのは、一度同じ空間に入れば、そこがどんな場所でもどんな相手でも関係なく楽しめるのだと再認識させられた夜でした。
大変勉強になった時間をどうもありがとうございました。
またお会いしましょう。
味ん輝(みんき)
住所: | 東京都板橋区大山町40-3 アイルイン大山 2F |
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TEL: | 080-3028-8608 |
営業時間: | [日~木] 21:00〜翌0:30 [金・土] 17:30〜24:00 |
定休日: | 不定休 |