【マラソン企画】大井町「豚々豚亭」美人すぎる酒場女将
「危なかったやでぇ!」
信濃路マラソンの初回で飲んだ”マカハイボール”の効き目かどうかは知らないが、前回の『信濃路 大森店』で出会った”1000人切りお姉様”と危うく1001回目の相手となるところだったイカと、遂に謎の信濃路5店舗目『豚々豚亭(とんとんとんてい)』のある大井町駅へと来たのだった。
駅に着いた私達は、早速『豚々豚亭』へ走った。
「これまであんなに渋い店ばかりだったのに、単なるチェーン店みたいな店だったらどうする?」
などと、殆ど情報の無い店に少しの不安を抱きつつも、大井町のシンボル的な裏路地を抜け店の前までやってきた。
元・信濃路系列店の『豚々豚亭』
誰が綺麗な店だって?
看板ボロボロじゃないか。まさかこんな年季の入った店だとは思いもしなかった。
外観からしてきっと”ツンデレ”で”パンチの効いた”年配の女将さんが出迎えるに違いない。
気合を入れて私が暖簾を潜ろうとした時に、内側から誰かの手と触れた。
「あ……いらっしゃいませ」
外でモタモタしていた私達を迎え入れようと、女将が暖簾を開いた手に触れたものだったが、
まず何より先にこれを言っておきたい。
──とんッでもない美人ッ!!
私は女性に”お世辞”を言うのがとても苦手なのだが、その分、本当に綺麗な人を見ると思わず言葉に出てしまう。
船橋の時もそうだったのだが、女将を見た瞬間、
「えぇぇぇぇぇッ!? めっちゃくちゃ美人!!」
と、思わず本人の目の前で言ってしまった。
女将は少し笑いながら、私達を奥の席に座らせてくれた。
店内はかなり狭く、1階はカウンター席のみ。
2階もあるが、登るにはまるで”梯子”の様な急な階段を上り、一家族分が入れる程度の広さしかない。
まあ、こんな美人がいるなら屋根や壁が無くったって文句はない。
美人女将は”タエさん”という名前で、他にバイトリーダーの”サヨさん”、中国から来たばかりの”リーちゃん”の三人で営業している。
この時、私達以外に客はひとり。
「本当はこの時間、いつもすっごい混んでるんですよ」
と女将が語る。
そりゃそうだ。殆どが女将目当てで来る男ばかりだろう。
「僕たち、信濃路を回ってて、このお店が系列店だってことを聞いて来たんです!」
「そうなんですか?でも実はもう信濃路からは完全に独立したですよ」
もう知っている。
でも、程よく年輪を重ねたこの美人の口からもう一度確認しておきたかったのだ。
もはや私は”マカハイボール効果”なのか”恋”なのか分からない程の”昂奮”状態であった。
そんな中、思い出したように”信濃路マラソン”で必ず頼んでいる『厚揚げのカレーかけ』の存在を確認した。
「ごめんなさい。ウチではやってないんですよ」
残念ながら『厚揚げのカレーかけ』はなかったものの『厚揚げ』のみはあったので、それでよしとした。
さらにカウンターに焼鳥が並んでいたのでそれも頂く。
厨房が狭すぎる為か、一般家庭にある普通のガスコンロのグリルで焼鳥は焼かれる。味がどうのという前に、その家庭的な調理方法が、まるでタエさんの家で手料理を食べさせて貰っている……そんな感覚に陥るのだ。
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「なんでそんなに美人なんですか?」
こんな馬鹿みたいな私の質問にも女将は相手をしてくれる。
「タエさんはね、昔”タカラジェンヌ”だったんだよ」
と、バイトリーダーのサヨさんが教えてくれて私達は驚きと同時に納得した。
そして私は変質者の様に、ますますタエさんの顔を見ては黒ホッピーを飲み込むのだ。
あまりに褒め称える私に少し気を許してくれたのか、タカラヅカ時代やっていたというバレエの写真を見せてくれた。
写真はかなりボヤけていたが、私はそれに美人だと10回言った。
さらに気を許してくれたのか、当時の動画を見せてあげると自分のスマホでYOUTUBEを開いてくれたが、速度制限のせいで再生されなかった。
読み込み中のグルグル回るアイコン、私はそれに美人だと3回言った。
現役だったらきっと”ヅカファン”になっていたのは言うまでも無い。
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暫くすると、3人のオジ様達が店へ入ってきた。
“来なくていい!”と、心で叫んだがタエはみんなのタエだ。
ただ男ってのは、そこに美女がいれば”妙な連帯感”が生まれるものである。
お互いの”出方”を伺う為なのか……例えるなら、先日放送していた『紅の豚』のアドリアーノに集まる屈強な空賊達が、美女のジーナが登場するだけで大人しくなる様に、タエさんの前に私達と3人のオジ様は直ぐに打ち解けるのだ。
奇しくも店名は『豚々豚亭』……そんなことはどうでもいい。
3人のオジ様達は、コーラスのグループをやっているらしく、その日は練習の帰りにここへ立ち寄ったとのこと。
テンション高めで、歌い足りなかったらしく、私達に歌声を披露するという。
本当はジーナ……いや、ターエの歌声をうっとりと聴きたかったが、3人のジジーナの歌声も素晴らしかった。
コーラスの発表会があるとのことで日程を紹介したかったが完全に失念。動画だけでその美声を楽しんで頂きたい。
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タエさんの言うとおり、徐々に人が集まり出し(全員男性)、次で最後の信濃路が待っていたため私達は席を譲る事にした。
……これ程に、名残惜しい酒場はあっただろうか。
何はともあれ、最後に見送ってくれたタエさんや、サヨさん、リーちゃん、3人のオジ様達の笑顔が印象的な素敵な酒場だった。
さて、すべての読者が思ったであろう、『タエさんの顔をみせろ』だが、残念ながらどうしても写真を撮らせてくれなかったのだ。
“Googleで画像検索!”と閃いたあなたも残念。検索しても何枚かの店の写真と、酒場ナビの関連写真しか出てこないのだ。
どうしても見たい方は実際に『豚々豚亭』に出向いてその美貌を拝むしか術はない。
“ノンマカハイボール”で必ずまた行きます。
そして、その時は……。
最終回へつづく
豚々豚亭(とんとんとんてい)
住所: | 東京都品川区東大井5-4-8 |
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TEL: | 03-5461-1707 |
営業時間: | 14:00~23:00 |
定休日: | 日曜日 |