中野新橋「ホルモン 良ちゃん」超絶品!!ホモルン料理の名店で誕生日パーティー
〝〇〇会〟という名の飲み会は色々ある。歓迎会、送別会、新年会、忘年会……結局のところ酒なのだが、酒が飲める〝会〟というのは楽しい。特に〝誕生日会〟──いいですよね。一年365日、必ず開かれている唯一の会。その人の生まれた日を皆で祝う、子供から年寄りまで愉しめるという、これが一番親しまれている〝会〟ではないだろうか。
先日、酒場ナビで漫画を描いている『廣瀬瞳』からLINEが届いた。カリスマジュンヤが31歳か……ここ最近は全くと言っていいほど会っていなかったから、たまには顔を出そうかな……いや待て! カリスマジュンヤ絡みの会は、決まって〝やんちゃ〟な方々が集まって結果的に暴れるんだよなぁ……というか、カリスマジュンヤが率先して暴れるじゃないか。私もいい歳になってしまったし、体力的な理由でここは遠慮しておきますか。
〝行けたら行きます〟
送信、と。
関西人から教えてもらったコミュニティワード〝行けたら行く〟──関西人はいい言葉を知っている。実際に行ってもいいし行かなくても波風を立てないいい言葉である。少しすると、廣瀬から返信が届いた。
ナオミちゃんだって!? ナオミちゃんというと、最近酒場ナビのYouTubeによく出ているあの〝美パイちゃん〟のことか……!?
私は〝会〟以上に〝パイ〟が好きなのだ。はじめてそのナオミちゃんの美パイ生配信を見たとき、思わずチャンネル登録をしてしまったほどだ。そうなると話は違ってくる。是非ともナオミちゃんのリアルパイをこの目に収めておきたい。……ズーさんというのは初めて聞く名前だが、まぁいい。私は訂正LINEを打った。
〝行けるので行くパイ〟
送信、と。
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『ホルモン 良ちゃん』
誕生日会当日の会場は、最近カリスマジュンヤがお気に入りだという中野新橋のホルモン酒場だ。こういう秋元屋、四文屋、ひなた、赤尾など〝ビニール外野席〟のある外観は、実に安心感がある。店の中からは早くも賑やかな声が聴こえてくるが……。
「オ”イィィィィッス!! こっちです味論さん!!」
奥のテーブル席から登場したのは、今夜が主役のカリスマジュンヤ青年である。すでにそのゴールドヘアの傍らには廣瀬をはじめ、地元の友人夫婦、酒場ナビ読者など、お祝いに駆けつけた有志らが集まっており気焔を揚げている。まぁ、今さら私がカリスマジュンヤの誕生日会を率先して愉しむのもアレなので、今夜は隅の方で静かに飲っていよう。
店内の壁には黄色いメニュー札がびっしりと張られ、肉煙のいい香りが充満している……ホルモン屋はこれが堪らんのですよ。それはそうと、ナオミちゃんは何処だろう……あ、いたっ!!
「どうも、はじめまして~」
「あ、あ、あの……は、はじ、はじめまして!」
いいですねぇ……いやぁ、いいですねぇ! 薄手の黒ワンピースにつんもりと膨らむのは、夢にまで見た〝美パイ〟だ。この際カリスマジュンヤ君の方は置いておいて、コッチに集中しちゃおうかな。
「ジュンヤ君のキンミヤボトルがあるので飲みますか?」
「……」
「あの、キンミヤは……」
「……えっ!? あ、はい頂きます!」
あぶないあぶない、変態の様に凝視してしまった。仕方がない、チラチラ見るとするか……んっ?
「あの……どちら様ですか?」
気が付くと、隣には短髪髭面でガチムチの男が座っていた。
「ハイッ!!『ズー』と申します!❤」
あぁ……LINEにあったズーさんとはこの人のことだったのか。しかし、この『ルックス』と独特な『しゃべり方』、これはもしや……
「あの、もしかしてソッチ系の方ですか……?」
「ハイッ!!❤」
やはりか……! さすがカリスマジュンヤ、誕生日会となれば色々な人種が集まって来る。ただ私は、ソッチ系に1ミリだって興味がない。私は目の前の〝ナオパイ〟で飲りたいのだ。
酒のアテはこのナオパイで十分だが、ナオパイをアテにするためのアテを頂くとしましょうか。
『牛タンと大根の醤油漬け』
これは初めて見る代物だ。その名の通り、牛タンと大根を醤油で漬けたものだが、これがよく出来ている。醤油がよく沁みたコリシコ牛タンに、短冊切りのコリサク大根がまた合う。そして、秀逸なのはこの切り方のバランスだ。牛タン、大根がこのサイズより大きくても小さくてもダメ、このサイズだからウマいのだ。
「飲み干しったったらぁ──ッ!!」
「おおっ!」という歓声と共に、主役のカリスマジュンヤがビールを飲み干した。いよいよ本格的にエンジンがかかってきたようだ。
『カシラ・テッポウ・シロコロ・ホルモン』
見るからに新鮮で良い色してますねぇ。まずは内臓系を先にコンロへ寝かせる。ジュ──ッといい音を鳴らしながら肉煙が舞う。表面が焦げるくらい待ちましょう。
いい感じですねぇ。さて、次はカシラの番だ。焼肉の部位で一番好きなのがカシラだ。こいつは丹念かつ、じっくりと焼く。そうすると段々と表面がツヤツヤの飴色になる。あとはそのままもう少し育ててやると……んっ?
「じゃあ、次のホルモン焼きますね❤」
「いや、それ俺のホルモンですけど……」
どさくさに紛れて、ズーさんが私の〝ホルモン〟に手を当ててきた。すぐに払いのけようとするが、ズーさんはガチムチの筋肉でそれを完全抵抗する。あたりまえだが、初対面の男にホルモンを握られたのは41年生きてきてはじめてだ。
「ダ──ッシャッシャッ!!」
其れに引き替え、カリスマジュンヤは女子に囲まれてご満悦だ。今日の誕生日会の主役なので仕方がないが……。
先に仕上がったカシラを、付け添えの生姜醤油でいただく。なるほど、生姜醤油とは名案だ。筋肉質なカシラの淡泊な味わいに、生姜の清涼な風味がピタリ。スッと一筋、気の利いた味に仕上がるのだ。
「ッしゃあぁぁぁぁ、来ぉぉぉぉいッ!!」
「ヌ”ンッ!!❤」
パァ──ンッ!!
「アイヤァァァァッ!!」
パァ──ンッ!!
カリスマジュンヤに関わる〝会〟の恒例儀式である《胸ゴング》の音が店内に響くと、ちょうど内臓系も焼き方が完了。
テッポウとホルモンは歯応えの中に蕩りとした甘み、シロコロは噛めば噛むほど味が変化するのが楽しい。いやぁ、ここはどれもウマいなぁ。
♪ハッピバースデイトゥーユー、
ハッピバースデイトゥーユー……
「おめでと──!!」
「グヂ”ャァァァァッ!!」
バースデーソングと共に、良ちゃんのマスターからパイ投げの粋なプレゼント。カリスマジュンヤは他に沢山のプレゼントを貰っていたが、結局彼はこんなプレゼントが一番うれしいのだと思う。
〝ジュンヤ君、電話でお母さんに感謝を伝えようよ〟
祝い疲れて静かになると、どこからともなくそんな声が聞こえてきた。三十代突入という節目の誕生日会に、母親へ感謝の気持ちを電話で伝えようということになったのだ。さすがのカリスマジュンヤも少々渋るが、皆に詰められては電話を掛けないわけにはいかない。その様子は、スマホのスピーカーモードで我々に余すことなく晒されるのである(下記動画参照)
いやはや、およそ今年もトンデモで、したがって大盛り上がりの誕生日会となった。そして、そんな会を快く引き受けてくれた『良ちゃん』の懐の深さに感服するばかり。
やはり〝会〟は良い。
読んで字の如く、人と〝会う〟というこの漢字ひと文字で、何にでも打ち勝てそうな気さえする。大変な時ではあるけれど、心の中にだけでもこのひと文字を秘め、もうすぐ訪れるであろう安寧を予感しつつ、これからも会っていこうではありませんか。
「僕がお酒飲ませてあげるから、じっとしてて……❤」
私は私で、今後ズーさんに〝特殊な会〟へ連れていかれそうな予感がするのだが……。
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ホルモン 良ちゃん(ほるもん りょうちゃん)
住所: | 東京都中野区弥生町2-27-6 |
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TEL: | 03-3229-1129 |
営業時間: | [月~木・日] 17:00~24:00 [金・土] 17:00~翌2:00 |
定休日: | 無休 |