押上「まるい」超絶品!!ホルモン料理の名店で誕生日パーティー
去る、7月24日──。
それは、酒場ナビメンバー・カリスマジュンヤの誕生日であったのだ。
その一週間前、とある酒場にメンバー三人で飲んでいると、イカが酩酊状態で叫んだ。
「来週!ジュンちゃんの誕生日に!『まるい』に!行こうや!」
そう言って、徐にスマホを取り出し『まるい』に電話をかけ始めたイカ。
『まるい』とは東京スカイツリーで有名な『押上』にあるホルモン焼きの名店。去年イカとカリスマジュンヤが初めて行った酒場らしく、その外観、内観、料理のクオリティに至るまですべてが『完璧』だったと当時語っていた。
とにかく〝予約必至〟で、去年は運よく予約が取れた超人気店とのこと。聞けば聞くほど、これも予約が超難関である平井駅の『豊田屋』を彷彿とさせる酒場。
そんな人気店、簡単に予約が取れるはずが……
「うわぁぁぁ!!予約が……予約が取れたでぇぇぇっ!!」
「ホ……ホンマっスか!?うおぉぉぉ!!」
なんと、予約が取れたというのだ。
「酒場の神様、ありがとうございます!!」と、店の天井を向いて拝むイカとカリスマジュンヤ。余程うれしかったらしく、こんなに喜ぶ二人は見たことがなかった。
「ワイ、もっと最高の誕生日になるように、酒場の神様に〝願掛け〟するわ!〝ホルモン〟に因んで、今日から当日まで〝オ●禁〟や!」
「ボクも誕生日まで〝オ●禁〟しますわ!オナーッシャッシャッ!!」
因みに私はしなかった──。
****
誕生日パーティー当日。
「ボク、ホンマに今日が楽しみで、前日寝れへんかったスわ!」
と、店に向かいながら語る主役のカリスマジュンヤ。
その顔は、私の地元・秋田にいる姪っ子を、仙台のディズニーストアに連れて行く時の表情とまったく同じであった。
店が近づくにつれ、スキップになるカリスマジュンヤに付いていくと、遂にその店が現れた。
『まるい』
おお……なんという年季の入った店構え。
〝こりゃ二人は嬉しがるわな〟と思うのはまだ早かった。ここの〝本拠地〟は『二階席』だと、鼻息を荒くして言うカリスマジュンヤ。
そして、二階へと上がる階段を登るとその〝本拠地〟が出迎えてくれた。
いや、
ただの家じゃねーか!!
おそらく、今まで生きた中で一度はこことまったく同じ間取りの家に行ったことはあるであろう、完全に〝人んち〟……いや、『まるいさんち』だったのだ。
私達の席も丸い〝ちゃぶ台〟で、より〝人んち感〟を演出してくれる。
『まるい』はこの店構えだけではなく、特にホルモン料理が絶品らしく、ここに来て私もこれから始まる〝カリスマジュンヤの誕生日パーティー〟が、いよいよ楽しみになってきたのだ。
「ジュンちゃん、おめでとさん!!」
ビールで〝喉洗い〟をしている間、イカが店員に『イカ的・まるいコース料理』を頼むのであった。
****
「おまたせしましたー」
「うわーっ!!出たっ!!」
『シロネギ入り』
や わ ら か い……っ!!
『シロ』はうまいのだが、どうしても〝固い〟イメージがあり、割と噛み切れずに飲み込んでしまう人も多いかと思う。だがここのシロはまったく顎の筋肉を使う必要がないくらいに柔らかい。なんなら、付け合せのネギの方が固かった。
早くも〝神的〟な料理のクオリティに圧倒していると、次の料理が届いた。
『レバタレ』
なんだ……このレバは!?
肉に歯を入れると、実際には鳴っていないが〝サクッ〟と音が鳴る様だ。そこへ間違いなく〝秘伝〟であろう甘~いタレが染みており、気絶しそうなくらいうまい。もちろん、レバの臭みなど1ナノもない。
「去年ぶりやん、ボクの〝レバタレ〟ちゃん!」
芸人用語で〝タレ〟とは〝女〟をさす隠語らしいが、ここの『レバタレ』もまさにカリスマジュンヤからしたら〝タレ〟であり、久しぶりの再会に軽めのキッスで〝タレ〟を迎え入れる。
「ボクもう我慢できないッスわ!大好きなチューハイを濃い目で飲みたいッス!」
「誕生日で我慢したらアカン!ボトルで行ったれボトルで!」
一気にテンションをトップスピードに持っていかれたカリスマジュンヤは、大胆にもこの名店でボトルを注文した。
『米焼酎 北彩ボトル』
ボトルセットってのは、やはりテンションが上がる。自分の好きな焼酎の濃さ、好きな味を好きなペースで作れるのは、車やバイク、エアガンなどのカスタマイズするのにも似ていて楽しい。
彼もまた、まるで少年が誕生日におもちゃを貰った時の様なハシャギようでチューハイを作る。
そして、その少年へのプレゼントはまだまだ続くのだ。
『馬刺し』
うおぉぉぉぉぉ!!
野郎三人が絶叫するこのビジュアル。そのビジュアルにも負けない存在感たっぷりの生肉の味は、人間に残る〝野生の血〟を蘇らせるかの如く、三人のライオンの舌を発情させてくれる。
「ジュンちゃん、すまん……。」
「え!?どないしたんスか!?」
『イカ的・まるいコース料理』のメインの登場直前、イカが神妙な顔でつぶやく。
「本当は、よく誕生日で皿にチョコで〝おめでとう〟と書いたプレートを用意したかったんやが、こういう店やし用意出来ひんかったんや……」
「何言ってるんスか!別に全然大丈夫ッスよ!!」
「一応、変わりにこんなん注文したんやが……」
『黒毛和牛ステーキ(アボガドのせ)』
カリスマジュンヤと私は同時に言った──
〝もっといいヤツやないかいっ!!〟
「なんとなしに、アボガドで〝おめでとう〟って書いてる様にも見えへんかな……」
「まったく見えへんけど最高やないかいっ!!」
誕生日プレートに等しい……いやそれ以上に嬉しい黒毛和牛のステーキに、テンションMAXのメンバー一同。語るまでもなく、厚切りでレアの肉をアボガドと一緒に食べると、ただでさえ濃厚な和牛と〝森のバター〟と呼ばれるアボガドの濃厚さが強烈に舌を〝口福〟へと至らしめる。
「えっ!?『仔牛サンドイッチ』まだ残ってるんでっか!?」
去年、イカとカリスマジュンヤがここへ来たときに、品切れで食べられなかった『仔牛サンドイッチ』が奇跡的に残っていたのだ。『酒場の神様』は、またも私たちに微笑んだ。がんばって〝願掛け〟をした甲斐もあるというものだ。
0.5秒で店員に注文をして、その初めて見る〝ご尊体〟を三人で待ちわびた。
『仔牛サンドイッチ』
デカ過ぎるッ!!
サンドイッチというか、食パン一斤分あるんではないかというほどの迫力。
手で持って並べると、一瞬どれが手か顔かサンドイッチかが分からなくなる。
そして、そんな巨大サンドイッチを……
カブリつく!!
さらに……
ガブリつくッ!!
このサンドイッチ、見た目だけではなく味にもかなりのインパクトがある。
具はもちろん、特にこのパンがホルモン屋の店のものとは到底思えない程やわらかく、かつモチモチとしてうまい。小さな子供がこのカリスマジュンヤの様に一気に頬張りでもしたら、その大きさと柔らかさで窒息する危険があるので注意が必要である。
「夢やッ!!これは夢なんや……!!」
あまりの幸せが続き過ぎたせいか、パニック状態で倒れこむカリスマジュンヤ。
せっかくの誕生日が命日となる前に、すぐさまイカがビンタで起こす。
まるで夢から覚めたかのように、その夢の様な誕生日パーティーも終わりの時間を迎えたのだ……。
初めての『まるい』
正直、私はこの店よりうまいホルモン料理屋を体験したことがない。
味、値段、店の雰囲気。来る前から二人が騒ぐ理由が分かる。
そして何より、誕生日に〝モノ〟ではなく、〝酒場〟で人をこんなにも幸せな気分にさせることが出来るのだと、四十歳手前にして初めて感じた思い出深い夜となった──。
「これ、ウチらからや」
「えっ!?なんスか!?」
店を後にし、上野駅まで来るとイカがカリスマジュンヤに紙袋を手渡した。
袋の中を見て「うおぉぉぉおぉぉぉ!!」と叫ぶカリスマジュンヤ。
『キンミヤのTシャツ』と『キンミヤのポスター』
まぁ、やっぱり〝モノ〟も嬉しいよね。
関連記事
まるい(まるい)
住所: | 東京都墨田区業平3-1-1 |
---|---|
TEL: | 03-3624-0205 |
営業時間: | [月~金] 17:00~22:00 [土] 16:00~22:00 |
定休日: | 日曜日 |