【W投稿】小岩「江戸政」愛すべきツンツン娘
“メンバーに行って欲しい酒場“企画、店名被り『江戸政』の2店舗”W投稿”のつづき。
※『江戸政』の1店舗目を見てない方は、先にコチラからどうぞ。
続けてこの日2店舗目は小岩駅にある『江戸政』のご依頼。
私は一度しか行ったことがないのですが、昔ながらというか昭和感があふれているお店です。 お店の入り口におばあさんがただ座っている時があります。 連れにはお店の前を通る度に見ちゃダメ!と言われます。 店員の人(娘さん?)が気が強すぎて、席についてメニューを開いた瞬間に『何にしますか?』と食いぎみにオーダーを取ってきます。 小岩じゃ有名なお店なんでぜひ行ってみてくださーい。 お値段も安いですー ぜひー♪
kana さん
まず、”お店の入り口におばあさんがただ座っている時があります。 連れにはお店の前を通る度に見ちゃダメ!と言われます。”とあるが、幽霊みたいでなんだか恐ろしいのだが……。
“娘さんも気が強い”との事なので、それならばと酒場ナビの”ミスター・ツンデレ処理”兼、『ツンデリスト』でもあるメンバーのイカを呼び出すことにした。
暫くして小岩駅でイカと合流し、5分程歩くとその店は見えてきた。
『江戸政』
一軒目に行った東日本橋の『江戸政』とは打って変わり、かなり年季の入った外観。これは期待に胸が高鳴る。
そして、入り口におばあさんは立っていなかった。いや、本当に幽霊になってしまったのだろうか。
ガラリと入り口を開けると、目の前には数席のカウンターと左側には座敷席。
「すいませーん!」
客は結構入っているが店員の姿が無い。辺りを確認していると、カウンターの下からひょっこりと店主が登場。
「ごめんなさ~い、気づきませんでした~」
なんとも”ゆっくり”な店主に癒されていると、奥から語気が強めの女性の声がした。
「あ、そっちの座席に座っててください」
……ははあ、この女性が例の”気の強い娘さん”だな。
座敷へは上がったものの、空いているテーブルが2つあったので早速イカが娘さんに尋ねる。
「どっち座ったらええですか?」
「……」
返事がない……。
気を取り直して奥の空いていたテーブルの方へ座りビールを頼んだ。
程なくして娘さんがビールを持ってくると、
「あのすみません、こっちもビール追加……」
「飲んでるグラス返してください!」
既に私達の後ろで飲んでいた男性客がビールを追加しようとすると、娘さんが鋭い語気を放つ。
とにもかくにも、私達は今回の情報提供者に乾杯。続けてイカが娘さんに料理をお願いするのだが……。
「すんまへん!料理頼んでいいでっか!?」
「ちょっとまって!」
そう言って娘さんはどこかへ行ってしまった。
うーむ、これはなかなかの”ツンツン娘”である。
「だいじょぶや、必ず”ツン”があれば”デレ”があるんや……!」
ツンデリスト・イカが訳の分からない呟きをしている合間に、私は戻ってきた娘さんに料理を注文した。
『牛すじ煮込み』と『マグロ頬肉ステーキ』
注文をして暫くすると、ほぼ同時で2品が置かれた。
『牛すじ煮込み』は濃い目の醤油味を基調にニンジンや大根も中までしっかり煮詰められている。『マグロ頬肉ステーキ』も同様の味付けなのだが、どことなく私の出身地である”北東北系”の味付けを感じた。
これは想像だが、メニューにも『きりたんぽ鍋』があったので、もしかしたら店主か料理人が秋田出身なのではないだろうか。
「おい見てみ!この2つ、見た目ほぼ一緒やん! これも”ツン”のひとつなんやろか……?」
ツンデリスト・イカが訳の分からないツンデレ分析をしている合間に、私は通りかかった娘さんに『刺身盛りあわせ』を注文した。
『刺身盛りあわせ』
これで500円とは驚きだ。量も多いのだが、味も”築地直送、獲れたて新鮮!”とまでは言わないが十分に美味しい。
「あのすみません、ビール追加……」
「飲んでるグラス返してください!」
相変わらず後ろの客はビール追加に苦戦をしているようだ。
「ちょっと、お通し早く作って!」
娘さんは、自分の父親である店主にも問答無用に”ツン”だった。それを「はいよ~」と慣れた対応で受け流す”ゆっくり”な店主。
イカが見ていたらしいのだが、15分程前に店に入ってカウンターに座った客は、酒どころか『お通し』もまだ貰っていない様子。私達は黙って注文を待つ、その丸まった客の背中に哀愁を感じるのだった。
(あの娘さん、もしかして”ツン”しかないんちゃう!?)
(そうかもしれない……)
にわかに2人の疑問は確信へと変わろうとした時、イカが最後にひとつの提案を打ち出した。
“娘さんにカリスマジュンヤをぶつけてみよう”
酒場ナビの『ミスター・人懐こい』であるカリスマジュンヤならば、あっという間にこの娘さんの心を和ませ、待望の”デレ”を見せてくれるのでは?と期待し、急遽カリスマジュンヤを召集した。
20分後──。
“もうすぐ店に到着するどすえ”
と、京都・福知山弁でLINEが届き、私とイカは彼の登場に期待した。
(ヤツなら、カリスマジュンヤならやってくれるはず……!)
間もなく、店の入り口の戸が勢いよく開いた。
「すいまっせ~~~ん!!」
やった……!
戸が開くなり『人懐こさオーラ』を全開にしたカリスマジュンヤが登場し、パァっと辺りが明るくなった。
私とイカは”さすが”と微笑み、うなずき合った。
娘さんがカリスマジュンヤに近寄る。
「……おひとり様ですか?」
「あっ!ちゃうんです! あそこの2人と待ち合わせで~す!」
そう言ってカリスマジュンヤが娘さんにウインクをした。
きっと、”そうですか、じゃあもうひとつ座布団用意しますね~”などと言って、遂に”デレ”が見れると思っていると、娘さんは私達に向かって言った。
「ダメダメ!人が増えるんなら先に言って!!」
今日、
この店一番であろう”ツン”を通り越し、店中の客が注目する程の『お叱り』を受けてしまった──。
危うく店を追い出されそうな空気になったものの、
しかし、なぜだろう。
そんな殺伐とした接客にも関わらず、私達をはじめとする客で不満をなどを漏らす者もいない。
それどころか、それを楽しんでいるかの様にも思えた。
まあ、こんな感じが大衆酒場の醍醐味であり、そうあるべき姿なのだと、この後3人でゆっくりと”ツン”を楽しんだのだった。
kana さん、
すてきなツンツン酒場情報ありがとうございました!
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応募者すべてのお店に行くという事ではございません。
※1 基本的に東京都内の店舗限定ですが、横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市などの東京都近郊も検討させて頂きます。
江戸政(えどまさ)
住所: | 東京都江戸川区西小岩1-30-6 |
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TEL: | 03-3672-1035 |
営業時間: | 昼11:30~13:00 夜16:30~21:00 |
定休日: | 日曜日 |