大倉山(神戸)「伊勢屋」超ド級!!昭和へタイムトリップ出来る食堂
「弁当作ったから持っていきっ!」
「だから要らんって言うてるやん!!」
「せっかく作ったんやから持っていきな!」
「何回言うたらわかんねん!今から色んな店でメシ喰うって言うてるやんっ!!!」
出たっ!
生でイカおかん恒例の「お弁当作ったで」が見れた!
朝から1コント見れて清々しい気分だ。
前日今里新地の「手作り餃子 サンキュウ」で呑んだあと
終電でイカの実家がある西宮へ泊まりに行ってたのだ。
念願の「中華ひるね」にも
はじめて行けて、深夜に激ウマチャーシューを食いまくった。
イカの記事では何度も見たが
やはり想像以上の名店であった。
この時の様子はまた後日記事にさせていただきます。
朝イカの実家を出発し
どこへ行くかはほとんど聞かされず、そして任せっぱなしのボクは特に行き先を聞こうともせずに
言われるがままに「阪神電車」へ乗り込んだ。
阪神電車に揺られて
到着した街は・・・
「大倉山」
行った事も聞いた事もない街である。
目的の酒場はここから徒歩で30分以上もかかるとの事だったので
タクシーに乗り込み「平野商店街」へやってきた。
知らなかったのだが、この辺は「平清盛ゆかりの郷」との事だ。
しかも平清盛さん、今年で生誕900年になったみたいで・・・
おめでとうございます!
そこから少し歩いて、少し”悲しくて”狭い路地を歩くと
住宅街へとやって来た。
イカよ・・・
こんな住宅街に何があるってんだ
と思いながらついて行くと・・・・・
「あ、あれやっ!!!」
突如叫ぶイカが指差す先には・・・
ドガーーーーーンっ!!!!
「なんじゃこりゃぁあああ!!!!!」
静粛とした住宅街の中で
二人の叫び声が響き渡った。
今にも取り壊されそうな廃墟寸前の物凄い佇まいな建物(褒めてます)が目の前に姿を現した。
いきなりラスボスが現れた的な・・・
『店構え三大酒場シリーズ』もこれで終止符が打たれそうな・・・
言葉では現されないくらいパンチ力のある店だ。
町中華が絶滅寸前とかそんなレベルではない・・・
昭和どころか明治くらいまでタイムトリップ出来るんじゃないだろうか。
錆びすぎてる看板にはかすかに読めるかな?ってくらいで文字が見れる。
ネット情報では11時オープンと書いてあったので
11時半くらいに訪問したのだが・・・
まだ暖簾が出ていない。
暖簾みたいな緑の布で
〔エアー暖簾引き〕をかまし、店内の様子を伺う事にした。
「すみません〜もうやってますか〜?」
「あ〜まだお湯が沸いてへんから麺類は出せへんのや〜」
「じゃあビール呑んで待ってるんで、中入っても良いですか?」
「どうぞ〜〜〜」
この緩い感じもまた酔い。
外観は昭和感満載であるが
店内も負けじと味のある雰囲気だ。
「とりあえずビールいただけますか?」
「はい〜。ごめんなぁ〜まだお湯が沸いてへんから麺が茹でられへんねん~もうちょい待ってな〜」
この緩すぎるマスターは”超癒し系”だ。
スーパードライと共にサービスで
お通しとして「たくあん」を出して頂いた。
まだ多少前日の酒が残りながらも
今から始まるハシゴ酒の景気付けに〔酒ゴング〕を鳴らした。
ちゃんと切れてない、このお通しのたくあんも
ここだと”癒される”のが不思議だ。
入店からまだ数分しか経ってないが・・・
この店の雰囲気がヤバすぎて・・・
もう何が起きてもびっくりしない。
床だってこのザマだ・・・
この床の崩れ具合をおやっさんに聞いてみると
なんと『阪神淡路大震災』の被害だそうだ。
「よく耐えましたねぇ~!!!」
イカがビックリ仰天しているが
ボクはもうそれどころじゃない・・・
店内にホームレスが迷いこんでこようが
野良犬が入ってこようが
もう何が起きてもびっくりしない・・・
・・・
ん?
おやっさん?お湯が沸くまで暇だからって、何してんだい??
「昔はなぁ〜これに料理入れて出前行ってたんや〜今はもうやってないけどなぁ」
「これ何年前のやつですか?良かったら一個くれません?」
イカは興味深々のようだ。
「店始めた時から使とったから、当時の雰囲気もそのままに残ってんでぇ~ほら昔の匂いするやろ?嗅いでみ?」
「うわっ!ホンマやっ!昔の懐かしい匂いがしますわっ!!」
「やろぉ~」
「マスターっ!この匂いをツマミにビール呑めますわっ!!」
この二人のやり取りについて行けてない自分が
〔サカバー〕として物凄く情けなかった・・・
この辺に住んでる小学生たちは
夏休みの自由研究でこの「伊勢屋」をレポートすべきである。
時刻は12時
ようやくマスターによって暖簾が出された。
じつにテキトーである。
物干し竿に白布を干したように見える・・・
「暖簾」とは少し言い難い暖簾だ。
DIY感が満載だし、ここまで来るともう可愛げに思えてくる。
暖簾越しに映るイカが
めちゃくちゃ格好良かったので
映画のワンシーンを意識して、店内で呑んでる姿を撮影した。
SNSのプロフィール画像にしたいくらい渋くてナイスな写真が撮れた。
「他人丼(ご飯抜き)」
これから始まるハシゴ酒の事も考えて、他人丼は”ご飯抜き”で頂く事にした。
他人丼とは・・・
説明するのが面倒なので詳しくはこちらの記事からご覧いただきたい。
豚肉と鶏卵と言う親子ではなく”他人”の組み合わせ・・・
他人同士とは思えないくらい相性は抜群である。
朝から何も食べず、更におかんの弁当までスルーしたイカは
早速その他人丼の”アタマ”に貪りついた。
厨房からおやっさんが何か言ってる・・・
「お湯沸いたから、もう何でもイケるでぇ〜」
「うどんと行きたいところやけど・・・中華そばが気になるっ!!」
「中華そば(370円)」
これぞ昭和の中華そば
場所が場所なだけに雰囲気もあいまって、この写真だけでは伝わる事が出来ない代物だ。
値段も370円と言う昭和価格も素晴らしい。
中華そばでは珍しい細麺タイプ。
スープも薄めの味で優しい味だ。
「この七味入れ、創業時から使ってるんやで~多分神戸で一番古い七味入れやわぁ~」
暇そうなおやっさんが絡んでくる。
さすが多数のメディアに取り上げられて、取材を受けてるだけあって
店の事を事細かく丁寧に教えてくれるので
こちらとしても物凄くありがたい。
「ジュンちゃん、おやっさんと一緒に写真撮ってもらいや」
「そうっすね!すみません、マスター!一緒に写真撮ってください!」
「ええで~」
「じゃあこんな感じでお願いしま・・・」
「店内やと逆光で綺麗に映らんし、店の前で撮ろか」
(めっちゃ仕切るやん・・・)
と一瞬思ったが、こちらの事も考えていただいて有難い限りだ。
さすが何度も撮影されてきただけあって
写真事情を良く知ってらっしゃる。
おやっさん・・・
本当に”酒場ナビらしい”ネタを提供していただきありがとうございました。
この日のハシゴ酒、最高のスタートが切れました。
昭和レトロが好きな方は
遠出してでもこちらの「伊勢屋」へ伺う事をオススメします。
伊勢屋(いせや)
住所: | 兵庫県神戸市兵庫区下祇園町18-6 |
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TEL: | 078-361-5963 |
営業時間: | 11:00~19:00頃 |
定休日: | 不定休 日曜営業 |