【書籍出版】大井町「肉のまえかわ」生肉の聖地で先輩とアレして大ヒット祈願
2018年7月20日、おかげさまで酒場ナビは本(電子書籍)を出版したわけだが、実は出版の話自体は昨年の2017年の10月頃から出ており、なんのかんので巻頭ページに載せるメンバーの写真撮影をやっと今年の4月に行うなど、酒場ナビらしくのんびりと上梓に至ったのだ。
巻頭ページ用の写真撮影は『大井町』という東京でも屈指の〝呑み助街〟ということもあり、撮影後の打ち上げには出版担当者、カメラマンさんとメンバー3人を含んだ5人でそのまま町へと繰り出したのだが……
本の〝書籍出版記念〟ということで、今回はその時の様子を紹介しようと思う。
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──4月。
「あれ、酒場ナビ? いつも見てるよ」
「ありがとうございます!!」
大井町の『東小路飲食店街』、『平和小路』で写真撮影中の酒場ナビメンバーには、とりわけ土地柄もあり読者諸氏に声をかけていただきながらも、かいがいしく写真撮影を進めていた。
写真撮影、インタビューなどを3時間ほどで終らせると、時刻は夜の6時。いよいよこれから〝打ち上げ〟が始まるのだ。
その『大井町』で酒を飲むといったらもちろん、この酒場に行かない手はない。
『肉のまえかわ』
はい、出た。
過去にメンバーのイカがこの酒場を記事にしているが、それ以外でもメンバーは個人的にも通う大井町の超人気店である。
少し混んではいたものの、《酒場の神様》はしっかりとメンバーと関係者の〝5席〟を用意してくださったのだ。
酒場の神様、いつもありがとうございます。
私たちも慣れたもので、ココといったら〝アレ〟と〝アレ〟を注文しない手はない。そして、店奥の冷蔵庫から缶ビールを取り出すと《酒ゴング》で打ち上げ開始の合図が鳴る。
写真を見て気づいたが、《酒ゴング》の写真を外側から撮られるのは実は初めてだったりする。
『牛タタキ』
この大胆極まりない〝肉感〟はどうだい……グラビアアイドルで言えば『篠崎愛』を髣髴させるその妖姿。
そんな牛女の〝サシ〟部分に噛り付くと、肉の弾力が歯にぎゅうっと心地よく纏わり、同時に牛エキスのミルキーな風味が口腔いっぱいに広がる──思わず嬌声が漏れる。
そして……
『ささみ刺し』
出────た────ッ!!
『ささみ』である……これは、『ささみの刺身』なのである……!!
東京の呑み助諸氏ならご存知、ここのささみ刺しはその見た目のインパクト、皿の可愛さに合わせて、新鮮でムッチリとした生肉の食感が夢枕に出てくるほど印象的な〝料理〟なのだ。たまに他の酒場でも見かける『鶏わさ』のようなタタキとは、そのすべてがまるで別物の〝存在感〟を擁する。
あえて食べ味の感想などは書かない。まだ賞味したことがない方は、是非ともその舌で〝体験〟していただきたいのだ。
その恍惚としたあなたの表情が目に浮かぶ。
「兄ちゃんたち楽しそうだなぁ~」
いつものように、まえかわを愉しんでいると横で呑んでいたひとりの《先輩》が話しかけてきた。
しかし、この先輩は……
立ち方に始まり、
キャップ──、
身長──、
しゃがれ声──、
顔立ち──、
今まで出会ってきた先輩の中でも、最も〝理想的〟な先輩像だったのだ。
こんな日に限ってこんな先輩との出会い……これは何かありそうだ。
「先輩! 何時から呑んでるんスか!?」
すぐさま、酒場ナビの〝ミスター人懐っこい〟であるカリスマジュンヤが応える。
先輩は舌を半分出しながら、
「昼の4時から呑んでるよ~、エッヘッヘ」
と、カメラに向かって超イケイケ状態で応えた。
やはり……〝始まったな〟
我々メンバー3人は互いに目を合わせ首肯し、これから起こるべくこの先輩との〝出来事〟を予感せずにはいられなかった。
早速、先輩と輪を組んで呑み始めるのだ。
近くから通っているという先輩は、我々など足元にも及ばないほど『まえかわ』の常連客で、一緒に酒を呑んでいると客や通行人から何度も挨拶をされており、常連客としての意味でも私たちにとって《先輩》であったのだ。
そんな先輩に、色々な話を聞いていると……
「じゃ、オレはそろそろ帰るからな」
突然、帰ると言い出したのだ。
まだ一緒に呑み始めて30分足らずだったので、理由をきいてみると、
「金が、無えんだ」
先輩は昼の4時から呑んでいたので、金が無くなってしまったと言うのだ。
「うせやん! もうちょっと先輩の話聞かしてーや!」
メンバーの中で特にこの先輩へ〝親近感〟を抱いたイカが引きとめようとする。
「本当に金が無えっつーの。ホレ、見てみろ関西人の兄ちゃん!」
先輩は無理に引き止めるイカに、およそ似つかわしくない婦人用の黄色い財布を広げて見せてきた。
「あっ……ホンマに空やん先輩!」
「だから言っただろ!」
あまりのスッカラカンに、思わずメンバーと関係者で笑ってしまったが、そのいかにも呑み助らしい〝潔さ〟に一緒にいた出版担当者が、
「おじさん、これで一杯やっちゃってください」
と、《酒場千円》を先輩の財布にぐいっと押し入れるという粋な計らいをしたのだ。
これには先輩も、
「アヒャー!? いいのかい!?」
パァァアァァっと、表情に花が咲いた。
そのまま間髪入れず──、
「にゃぁぁあぁぁぁぁっ!!」
「ほれ千円、お釣りくれ」
浅慮などという言葉は一切無い。先輩は千円札の入った婦人用の財布を小脇に抱え、カメラのシャッターを押す間もない猛スピードで酒を買いに行った。この早業には、同じ呑み助として〝清々しさ〟さえ感じたち。
酒を買い、エビス顔で戻ってきた先輩に向かってイカは叫ぶ。
「あなたこそが、ワイの〝理想の先輩像〟やっ!!」
先輩は「はぁ?」といった表情をしたが、イカはこの先輩の一連の動向にひどく感銘を受けていたようだ。
「先輩!! キスさせてください!!」
また始まった……
最近、このイカという男は酒場で出会う先輩に、ことごとく〝キスをしたがる〟のだ。
もちろん、九割方の先輩はその申し入れを断るのだが……
「おう、別にいいよ」
この先輩は、なんの躊躇いもなく……本当に一秒の躊躇いもなく了承したのだ。
「……好きやで、先輩」
ん────♥
うっ……わぁ……
……キスを終え、
まるで女子中学生のような先輩の〝はにかみ顔〟が、未だに忘れられない。
しかしまあ、
〝撮れ高〟もあったことだし、ウチらもそろそろ帰……
「おっしゃ!! 先輩、ボクもお願いしますっ!!」
……何を言っているのだ、この青年は。
まるで〝順番を待っていた〟かのように、カリスマジュンも先輩へ〝キス志願〟をしたのだ。
そして……
んちゅ────♥
うっ……わぁ……
また、女子中学生の顔をする先輩。
もはや〝酒池肉のまえかわ〟……いや、〝酒池肉林〟と言っても過言ではないこの場の状況に、イカがさらに耳を疑う発言をしたのだ。
「味論、次はお前の番やでっ!!」
……ただの聞き間違いか……または自分以外の〝味論〟への発言だということで私は完全に納得し、缶チューハイを口に当て──
「キスして先輩から〝酒場ご利益〟もらうんやっ!!」
私に向けるイカの目はマジである。
〝酒場ご利益〟……いやいや、ご利益をくれるような人物の財布が〝空〟であるわけがないのだ。無視をして、尚も私は缶チューハイを口に当て──
「〝酒場ご利益〟もらったら、本が売れるで味論!!」
イカは、狂気の顔で私たちに叫んでいた。
〝先輩とキスしたら本が売れる〟
これほどまでに〝根拠がないジンクス〟は初めて聞いたが……もはやこの場の空気で〝キスをしない〟というカードは残されていないというのも事実。
〝本が売れるという体で……〟
私は、ただただそれのみを自分に言い聞かせ、まずは……まずは一旦、先輩に顔を近づけてみる……
ギ……
ギ……グギギ……
そして……
ぬわ────っっ!!
舌……舌出すなぁぁあぁぁぁぁっ!!
ぺッ!! ぺッ!!
……よくよく考えたら、この前にはイカとカリスマジュンヤもこの唇と交ざっていたことを思い出すと、余計に気持ち悪さが増す。
だが……
この大ピンチを〝やり遂げた感〟はどうだ。
ご利益か……
よし、これできっと本も売れる──
ワケねーだろ。
〝先輩、ありがとうございました!!〟
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肉のまえかわ(にくのまえかわ)
住所: | 東京都品川区東大井5-2-9 |
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TEL: | 03-3471-2377 |
営業時間: | 16:00~21:30 |
定休日: | 主に日曜 |