東京都(三大酒場シリーズ)
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宝泉(王子)
酒場で飲やる席、いわゆる『酒座』には〝アタリ〟と〝ハズレ〟があり、その日の酒場の良し悪しは酒座によって決まるというのは、吞兵衛の諸氏なら周知のとおりだ。店が空いている時だとある程度は選べるが、余程タイミングがいいか、何十年も通う常連でもない限り〝ココに〟という酒座を、ましてや一見で選んで座ることは難しい。例えば、店が混んでいるのはいいとして、無理やり作ったような窮屈な席で、肩を丸めて飲やるのは何だ…著者: 味論記事を読む2022年5月18日 -
だるま(清澄白河)
私が『日本名カウンターの会』に入信したのは、かれこれ3年前になる。その夜、雰囲気のいい酒場のカウンターで飲やっていると、ふいに「あら?この便意を催す感じは何かしら……」という〝青木まり子現象〟に陥ったのだ。まさか食べていた生牡蠣に当たったのか、それとも安酒の飲み過ぎか……ただ、この感じは悪くない。これは〝この酒場の雰囲気〟に因るものだとすぐに解った。煤汚れた天井と壁、目の前のおでん槽で揺れる種、静…著者: 味論記事を読む2020年10月13日 -
さち呼
どんなものにも〝旬〟というものがある。食べ物ひとつでも、野菜はやはり春が最高で、夏のアジは脂がのって馬鹿ウマい。秋はなんでもおいしいが、やっぱり日本酒の『ひやおろし』が毎年待ち遠しい。冬はもう鍋一択でしょう。タラ、チゲ、牡蠣、おでん……早く冬が来ねぇかな。犬や猫には発情期、植物も実がなる頃か。人生にだって一番輝いている時があるもんで、何にでも〝旬〟というのがあるのだ。生き物だけではない。実は酒場に…著者: 味論記事を読む2022年9月24日 -
壱番館
〝酒場道楽〟なんてものはじめてからというもの、都内の酒場では飽き足らず、地方都市に行くことが多くなった。最近は〝新コロ〟の大馬鹿野郎のせいで行くことは出来なかったが、徐々にその活動を再開しつつある。自分の〝酒場忍法帳〟を見返したところ、今までに29都道府県を飲み歩いていることが分かった。全国制覇までまだ20県近くあるのかよと思いつつも、あそこの街が良かっただの、あの店のあの料理は絶品だったなどと、…著者: 味論記事を読む2021年12月16日 -
大黒屋
人間の三大欲求とは『食欲』『性欲』『睡眠欲』であることは有名であるが、実はもう一つ、人間の五感でいうところのシックス・センスのようなもので、〝四つ目の欲〟というものが存在する。〝フォー・デザイア〟とでもいおうか、具体的に言うと〝酒場欲〟だ。これはアルコール中毒とは違って、あくまで酒場に対しての欲求のことになる。「酒場の匂いが恋しい」「酒場の煮込みが食べたくてしかたがない」「酒場のテーブルに触れたい…著者: 味論記事を読む2021年8月21日 -
もつ焼きしみず
陸の孤島酒場を目指す時大事なのは道中も楽しめたらということそこに一番近い駅を選ぶ必要はない都営新宿線船堀駅へやってきたお目当ての酒場は東西線葛西駅が一番近いらしいのだがざっとストリートビューを見たところこちらからのアプローチのほうが景色が良さそうだったので・・・船堀街道を西葛西方面に歩み進めるとおっ百味家東京を代表するOHS酒場だアイドリングしてから・・・まぁまぁまぁ陣屋橋通りに入るとおっ渋い銭湯…著者: イカ記事を読む2022年1月12日 -
竹のこ
まったくの嘘の話なのだが、高校生の頃に『競艇』に嵌ったことがあった。土日になると、アルバイトで稼いだ軍資金一万円を握りしめ、秋田駅前から出ている『ボートピア河辺』行きのバスに同級生二人と乗り込む。いっちょ前に、競艇新聞を広げながらああでもない、こうでもないと一攫千金の成金高校生の夢を描くのだが、帰りのバスは大抵、素寒貧で後悔をする。まぁ、まったくの嘘の話なのだが。大人になった私はというと、博打には…著者: 味論記事を読む2020年5月13日 -
大川原商店
休日前日の深酒がたたって起きれば15時カーテンを開けると天気は雨うーん今日は家で一人呑みか・・・Amazonで頼んだ鍋島があるな・・・冷蔵庫にはポールウインナーもある・・・カワイイ子猫の動画でも見ながらダラダラ呑ってXビデオ見て寝ればいいか・・・なんて今日の予定を考えてると金髪呑んだくれパンクスことカリスマジュンヤからの電話が鳴る「イカはん!!船堀いきまっせっ!!」「・・・ふなぼり」「ギャンブル場…著者: イカ記事を読む2018年7月1日 -
川越屋
越中島??こんな駅あったっけ・・・?お目当ての酒場の位置をスマホで確認していて思った上京してきて20年以上経つ酒場巡りで東京のあちこちの路線を利用してきておりそこらへんは熟知してるつもりでいたピンとこない駅が未だにあることにちょっと悔しくちょっと嬉しく複雑な心持で歩みを進めた門仲の駅から魚三やらますらおやらを無視し南下すると大横川にぶつかる巴橋を渡るとすっかり住宅地駅前の喧騒とは異なる街並みに突如…著者: イカ記事を読む2021年2月25日 -
ますらお
子供の頃から度を越えた〝凝り性〟で、一度ハマりだすと有り金すべてをそれに注ぎ込んできた。エアガン、ラジコン、プラモデル、ギター、釣り……数えだしたらキリがないのだが、一貫していえるのは〝物体があるもの〟にしかハマることがなかったことだ。逆に〝物体がないもの〟というのはハマることはなく、例えば酒場ナビのイカやカリスマジュンヤは『野球』が好きなのだが、このスポーツを観戦するということは、まさに〝物体が…著者: 味論記事を読む2020年2月15日 -
晩杯屋 本店
「せんべろ」去年の酒場界的流行語大賞はこのワードだと筆者(カリスマジュンヤ)は考える。様々なメディアで「せんべろ特集」を目の当たりにした。世間は密かにせんべろブームが来てて色んな酒場がせんべろ出来るように「料金改正」、「せんべろセットの導入」と対策を練ったであろう。東京には色んなせんべろ酒場があるが、その中でも都内に何店舗も展開してる最強せんべろ店株式会社アクティブソースさんの『晩杯屋』がせんべろ…著者: カリスマジュンヤ記事を読む2017年2月27日 -
こマねちZ
私は、散歩が好きだ。たとえば、行きたい場所があれば、あえて最寄りの駅からひとつ前の駅で降りて向かうし、ちょっと道に迷っても〝おっ、散歩できるじゃん〟と頭に過り、なんならルンルン気分だ。もちろん、その片手には缶酎ハイをしっかりと握っており、それをチビチビと飲やりながら景色を眺めたり、珍しい人を観察したり、家々の家構えが結構面白くて、これがいいアテになるのだ。気が付いたら10㎞散歩してたなんてこともざ…著者: 味論記事を読む2022年7月5日 -
【閉店】いしはら食堂
「あんた、三鷹に住んでたんだっぺよぉ」地元の秋田に住むママが言うには、私は三歳の時に東京の『三鷹』という街に住んでいた──らしい。もちろん、当時の記憶などまったく無いが、何より驚いたのは、それから三十数年経った最近にその事実を教えられたことだ。そういえば、三鷹は今住んでいるところから割と近いのに、ママが言う三歳のころ以降、行った記憶がない。うーん……よし!!と、何かに呼ばれるかの如く、ある日私は〝…著者: 味論記事を読む2017年11月18日 -
野方食堂
マッタリと……いいですよね、平日休みっちゅうものは。皆さま、仕事は休んでますか?え?忙しすぎて休めないですって?ノンノンノン、仕事なんてソコソコでいいんですよ、休みましょうよ。休むっていっても、土日に休んだってしょうがない。だって、土日に休んだってどこも混んでるし、なんたって騒がしくてマッタリできないでしょ。平日ですよ、へ・い・じ・つ。有給休暇でもサボリでもいいので、月に数回は平日に休みましょう。…著者: 味論記事を読む2022年12月23日 -
千曲食堂
ひとり酒場で飲やっていると、聴くともなく聴こえてくるマスターや女将さん、そして先輩らの会話。これがまたいい酒の肴になるもので、くだらないダジャレや猥雑な下ネタだけかと思いきや、逆にホロリとする人情ばなしなんかもある。若い男女が好きだの嫌いだの話が聴こえるもんなら、時間稼ぎに酒を追加して、ニヤニヤと聞き耳をたてるのもいい。酒場珍耳袋さかばちんみみぶくろ第一話〝え?今、なんて言った……?〟その中で〝今…著者: 味論記事を読む2020年2月24日 -
ニューマルヤ
文豪池波正太郎の食べ物エッセイに表現される思わずヨダレが出そうになる言い回しが好きだ特に洋食の下りに多いのだがウスターソースをたっぷりかけてキャベツも別に一皿注文しておいて食べるウイスキーソーダ二杯でこのカツレツを食べ米飯をちょいと食べるのがいつもの私のやりかたである夕飯どきの少し前の空いてる時間に二階へあがり先ず帆立貝のコキールか何かで日本酒をのんでいると亡くなった先代が調理場からあらわれて「や…著者: イカ記事を読む2019年1月30日 -
牛もつ げんき
今年4回目の明けましておめでとうを会う人会う人と言い合うできればこの挨拶は年一回だけにさせて頂きたいがまぁこればっかりは・・・閉店してしまう酒場もチラホラ・・・だもんで・・・イケるうちにイキたい酒場へイっとかないとと浮足立っている僕がいる月島にやってきた雨後のタケノコのようにタワマンがニョキニョキしていくこの界隈来るたびにもんじゃストリートの景色が変わるただ一本入ると別世界細い路地のその先に・・・…著者: イカ記事を読む2021年10月11日 -
伊勢末商店
【東京三大店構え酒場】ちょうど一年ほど前にイカが酒場ナビの記事で書いた『三大酒場シリーズ』だ。記念すべき【東京三大店構え酒場】その1に選ばれたのは新小岩の「中村屋」であった。あれから一年・・・今回は筆者(カリスマジュンヤ)によって、"その2"を発表させて頂きたいと思う。一応『元祖店構エニスト』であるイカにも同行して頂き、ジャッジをお願いする事にした。今回は前置き無しでいきなりその酒場を紹介したい。…著者: カリスマジュンヤ記事を読む2018年6月1日 -
お山の大将
「ジュンヤ君、明日何してる?」そうLINEを送ってくれたのは前回の記事で登場したタケさんの親友であるユースケさんだ。前回連絡先を交換した関東在住のユースケさんが早速、筆者(カリスマジュンヤ)に誘いの連絡をくれたのである。「どっか良い呑み屋連れてってよ!」酒場ナビを名乗ってる以上、これまでに幾度となく言われてきたこのセリフなのだが・・・実は結構プレッシャーだったりするのだ。「酒場ナビ言うてるのに、全…著者: カリスマジュンヤ記事を読む2017年11月30日 -
BAR信
おやっ?と思う飲食店の看板やキャッチコピーってありますよね他人てっ!!本日のオススメメニューとちゃうんかい!!ウェルカムって漢字で書いたらこうなん!!いや決め付けるやーんっ!!などなど見つけると気になって仕方がない・・・もう何年も前になるのだが高田馬場のさかえ通り商店街を歩いていた時のことこれまた気になるスナックを見つけてしまった美人半額ブス無料モノ凄い料金設定だこんなもん女性がいって「あっお嬢ち…著者: イカ記事を読む2018年6月4日 -
鳥やす本店
焼鳥は〝突然と、無性に〟食べたくなる。とはいえ、焼鳥は「じゃあ、今夜はお家で焼鳥ね」などと、焼肉みたいにはいかない。まぁ、スーパーで売っているものを、レンジでチンして食べることもできるのだが、ここでいう〝突然と、無性に〟となると、そんなもんでは満足できない。カンカンに熾おこした炭でじっくりと焼き、秘伝のタレ壺にじゃぶりと潜らせて角皿へトントントンと寝かしつける。あっという間に積まれた焼鳥を、マスタ…著者: 味論記事を読む2021年3月9日 -
斎藤酒場
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【閉店】天将
「えっ!!フルマラソンやなくハーフマラソンやったんかいなっ!!」「そうですねんもう走り終わって銭湯いって今いこいで一人で呑んでまんねん」カリスマジュンヤは定期的にマラソンを走る男だ上の会話は先日フルマラソンを走り終えた瞬間の人間がキンキン冷えたビールを一気に飲んだらどうなるかという企画をやる為にジュンヤが走るマラソンのゴール地点赤羽の荒川大橋に缶ビールとプラッチックのコップを持ってたどり着いたのだ…著者: イカ記事を読む2017年5月10日 -
ウッチャン
定期的に打ち合わせをする我々酒場ナビメンバーの3人打ち合わせ場所は酒場と決まっている呑みながら酒の自動販売機を売り切れランプが点くまで呑んでみよう遊園地のコーヒーカップに乗りながらコーヒー酎ハイを呑む動画を撮ろう梅干を眺めながら湧き出てくる酸っぱい唾をツマミにしながら何時間呑めるだろう相席屋で男性陣と相席してたら周りはどんな反応をするだろう刑務所から出所したばっかりの人と呑んでみたいなぁなど日本の…著者: イカ記事を読む2017年5月27日 -
味とめ
世田谷の『三軒茶屋』は、私が住んでいるところから割と遠いのだが、二十年も前からなぜか所縁ゆかりがある。住んだこそないのものの、三茶に住んでいる友人宅に集まって飲やることが多く、過去には週3、4で集まることもあった。三茶・・の酒場での思い出はというと、とある酒場で初めて〝スズメの焼鳥〟を食べたのがそうで、それ以来スズメの焼鳥は大嫌いになった。そうそう、生まれて初めてキャバクラに行ったのも三茶の店で、…著者: 味論記事を読む2022年4月3日
※閉店・移転・休業の店舗も含まれます